The Expendables


2010年10月23日(土)「エクスペンダブルズ」

THE EXPENDABLES・2010・米・1時間43分

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts(IMDbではSDDSも)

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://www.expendables.jp/main.html
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

自らを消耗品「エクスペンダブルズ」と呼ぶ、バーニー(シルベスター・スタローン)をリーダーとする傭兵軍団は、ソマリアのアデン沖で海賊に襲われたタンカーを急襲、人質を解放するが、メンバーの1人、ガンナー(ドルフ・ラングレン)が薬物中毒で異常行動を示したことからクビにすることにする。その後、ツール(ミッキー・ローク)から新しい仕事でチャーチと名乗る謎の男(ブルース・ウィリス)に会うように言われる。チャーチは独裁者ガルザ将軍(デヴッド・ザヤス)に支配されたメキシコ湾の人口わずか6,000人の島国ヴィレーナの転覆と独裁者の殺害してくれという。そこでバーニーはクリスマス(ジェイソン・ステイサム)と共にヴィレーナに潜入、反政府活動家サンドラ(ジゼル・イティエ)の手引きで状況を偵察する。すると、将軍の陰で元CIAのモンロー(エリック・ロバーツ)が操っていることを知るが、潜入がばれて命からがら脱出することになる。このとき案内役のサンドラは自らの意思で残ることを選択する。CIAが絡んでいたことで、エクスペンダブルズとしては仕事を断ることにするが、バーニーは個人としてサンドラを救いに行く。

73点

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 さすがに手慣れた作り。アクション映画の王道を堂々と行く映画。トンでもない悪党、それに苦しめられる人々、助けを求める美女、そして命知らずの男達=ヒーロー。もちろんラストはスカッと爽快、男って、男の友情って、いいなあなんて思わせてくれる。多彩な男達を使いながら、やっぱり一番目立っているのは主演のスタローンで、次にジェイソン・ステイサムががんばっているが、あとは主に引き立て役という感じ。マネージャー?役のミッキー・ロークはなかなかいい味を出しているものの、自分はほとんど動かず仕事を取ってくるだけの役柄。

 ブルース・ウィリスとアーノルド・シュワルツェネッガーは特別ゲスト的な出演で、ブルース・ウィリスはさすがに短いシーンでも存在感があるあるしうまいが、知事になったシュワルツェネッガーははまるでシロートのような演技に見えた。これってうまいんだろうか。現役時代もそれほど名優というわけではなかったから、まっ、出てくれただけで良かったというところだろう。

 ようするに金で雇われる軍人、傭兵たちの物語だが、うまいのはミッキー・ロークが言うように、過去に、助けられる女がいたにの何もせず死なせてしまった、救っていれば自分の魂も救うことができたのに……という動機付け。結局は金ではなく、正義や友情といったところで男達は命を掛けるのだ。だから観客も心から応援できる。

 つっこみどころはある。HU-16アルバトロス水陸両用機で乗り込んでいながら、戦闘になってなぜ機体が拘束されていないのかなど……ただ、それを感じさせない勢いと情熱とパワー。さすがスタローン。

 そのスタローンは主演、脚本、監督の大活躍。最近の「ロッキー・ザ・ファイナル」(Rocky Balboa・2006・米)も「ランボー最後の戦場」(Rambo・2008・米/独)も主演、脚本、監督だった。しかもどれも評判が良い。ドル箱シリーズに自ら終止符を打ってしまって、これからどうするのかと思ったら、引退ではなく新作で勝負を掛けてきたか。まあ64歳とは思えない鍛えられた肉体とバイタリティは驚くばかり。これからも体力が続く限り、男臭いアクション映画をどんどんとって欲しい。使っていたのは、ベレッタM92、カスタム・ガバメント2挺(マグ・チェンジもやって見せる)、FN F2000、M4ショーティ、そして後の腰に着けたバック・ホルスターに切り詰めたSAAを入れていて、ファニングで早撃ちして見せる。

 相棒のクリスマスを演じたジェイソン・ステイサムは、やっぱり本作でもいい味を出している。主演作「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏/米)シリーズ、「アドレナリン」(Crank・2006・米)シリーズはともに面白い。「ザ・ワン」(The One・2001・米)と「ローグアサシン」(War・2007・米)でジェット・リーと共演している。使っていた銃はMP5K、M4ショーティ、信号銃など。

 マネージャー的なツールを演じたのはミッキー・ローク。この人はこんな汚らしい役だととてもいい味を出す。つい最近は「アイアンマン2」(Iron Man 2・2010・米)で悪役を演じ、「レスラー」(The Wrestler・2008・米/仏)ではオスカー他の賞に多数ノミネートされた。

 ヤクに溺れてメンバーを外されるガンナーを演じたのはドルフ・ラングレン。極真空手の黒帯で、世界大会にも出場。「ロッキー4/炎の友情」(Rocky IV・1985・米)のとき自らスタローンに売り込んだらしい。1990年代後半からあまり見なくなったが、つい最近「ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション」(Universal Soldier: Regeneration・2009・)で久しぶりに見たところだった。使っていたのはでかいナイフと、短く切り詰めたポンプ・ショットガンなど。

 金が必要だと言い続けている中国人のヤンを演じたのは、ジェット・リー。「リーサル・ウェポン4」(Leathal Weapon 4・1998・米)からハリウッド進出を果たし、着実に出演作を増やしている。この前には「ハムナプトラ3呪われた皇帝の秘宝」(The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor・2008・米ほか)に出ていた。使っていたのは、FN F2000、FN P90、MP9サブマシンガンなど。

 もとCIAの悪党モンローを演じたのはエリック・ロバーツ。ジュリア・ロバーツのお兄さん。この人はB級のこんな役が多い。最近はTVの「HEROE/ヒーローズ」にやっぱり悪役で出ていた。映画はなところでは「ダークナイト」(The Dark Knight・2008・米/英)。使っていたのはグロック。

 レスリングのせいで耳がつぶれ、カリフラワー・イアーと呼ばれているトール・ロードを演じたのは、レスリング出身のUFCチャンピオンランディ・クートゥア。使っていたのはMP5K。「プレデターズ」(Predators・2010・米)でエイドリアン・ブロディが使っていたフルオート・ショットガンAA-12を使っていたヘイル・シーザーを演じたのはNFL選手だったテリー・クルーズ。モンローの部下、背の低い方のザ・ブリットを演じていたのは、キック・ボクシング・チャンピオンのゲイリー・ダニエルズ。もう1人の部下、スキン・ヘッドのダン・ペインを演じたのは元プロレスラースティーヴ・オースティン……と共演者にはズラリと一流アスリートを揃えている。

 ほかに銃器はテロリストたちがAK、AKS、AKSショートなど。島の軍隊がAKにブローニングM19190 使っていた。またS&Wオートも出ていたような。胴体がちぎれたり手が飛んだりするので、日本のR15+は当然かなと。武器係はロバート“ロック”ガロッティ。「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米)や「マトリックス リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米/豪)、「マトリックス レボリューションズ」(The Matrix Revolutions・2003・豪/米)などを手掛けた人。

 スタントも兼ねた殺陣は「ニンジャ・アサシン」(Ninja Assassin・2009・米/独)などを手掛けたジョン・ヴァレラ。ジェット・リーは別にコリー・ユンが殺陣師としてついていたらしい。「D&D/完全黙秘」(My Father is a Hero・1995・香)以降組んでいる人で、ジェイソン・ステイサムとも「トランスポーター」シリーズで組んでいる。

 スタローン映画といえば大型ナイフ。大ヒット作「ランボー」(First Blood・1982・米)以降、良く使っている。たいてい有名ナイフ・デザイナーが映画のためにデザインしたものだったりする。「ランボー」と「ランボー/怒りの脱出」(Rambo・1985・米)がジミー・ライル、「ランボー3/怒りのアフガン」(Rambo III・1988・米)がギル・ヒブン。本作でも見事な大型ナイフが登場するが、クレジットはなかった。しかしどうもギル・ヒブンのデザインらしい。
 ラストのエンド・クレジットで長渕剛が唐突に流れるが、日本版だけ日本語の曲って、どうなんだろう。曲の良い悪いより違和感があった。むしろメンバーがバイクで出て行く時に掛かる“The Boys Are Back in Town”が良かった。

 公開2週目の土曜日初回、新宿の劇場は全席指定なので前日に確保しておいて、いつもどおり30分前くらいに着いてコーヒーを飲みながら待っていると15分前くらいに開場。20代くらいの若い人から、中高年まで幅広かったが、スタローンということでか高齢者が多い感じ。ただ、意外なことに若い女性も思ったより多かった。1/3は女性だった感じ。といっても、残念ながら一番大きな607席に2.5割くらいの入り。

 相変わらず携帯を座席に座ってから使っているヤツが多い。ロビーにいる時に切らせたらどうだろう。酷いヤツになると、遅れて暗くなってから入って来て、携帯をライト代わりにこうこうと光らせて座席を探すのだからあきれる。暗くなってから入った場合は、1〜2分動かず目を慣らせば見えるようになるので、それから移動すべし。こんなことは昔は常識だったが……。盗撮の注意よりこっちの注意の方が必要じゃないか。そして、真ん中の席を取って遅れてくるなよ。

 気になった予告編は……アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップが共演する上下マスク「ツーリスト」は、ティーザーで内容がわからなかったが、アクション満載でなかなか面白そうな感じ。

 またまたDCコミック原作の上下マスク「RED」は現役を引退した元スパイたちがチームを組んで戦う話らしい。配役も豪華で、めちゃくちゃ面白そう。ヘレン・ミレンがスナイパーとは!

 そして上下マスクの「グリーンホーネット」がまたアクションと驚異の映像満載で面白そう。ただカトーが日本人でないのは残念。まっ、もともとTV版ではブルース・リーが演じていたわけだけど……。


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