Despicable Me


2010年10月30日(土)「快盗グルーの月泥棒 3D」

DESPICABLE ME・2010・米・1時間35分

日本語字幕:黄色丸ゴシック体下、石田泰子/ビスタ・サイズ(デジタル、1.85)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS


(3D上映、日本語吹替版もあり)
公式サイト
http://www.tsukidorobou.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

エジプトのピラミッドが盗まれ世界的な話題になる。自称、世紀の悪党、怪盗グルー(声:スティーヴ・カレル)はそれより大きなものを盗む計画を立てる。標的は月。ところがネファリオ博士(声:ラッセル・ブランド)は資金が足りないという。そこで悪党銀行に資金融資を頼みにいくが、頭取のミスター・パーキンス(声:ウィル・アーネット)は、オマエは実績がないから、縮ませ銃を盗んできたら貸すという。グルーはバナナから作った黄色い小人のミニオンたちとともにアジアの某国から縮ませ銃を盗み出すが、まんまとライバルのベクター(声:ジェイソン・シーゲル)にそれを盗まれてしまう。そこで、養護施設の3姉妹、マーゴ(声:ミランダ・コスグローヴ)、イディス(声:デイナ・ゲイアー)、アグネス(声:エルシー・フィッシャー)が施設のクッキーを売るためベクターの要塞に入れることに目をつけ、3人を養女として引き取ることにする。

80点

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 漫画チックな作品で、リアルじゃないし、かなり笑えるのに、泣けた。そして楽しい。三姉妹がかわいらしく、しかもグルーが優しくて、久しぶりに両目から涙がこぼれてしまった。やられた。タイトルは「ルイスと未来泥棒」(Meet the Robinsons・2007・米)みたいだが……。これを単にアトラクション映画と呼んでしまうのはちょっとかわいそう。物語がおもしろく感動的なのに。

 登場キャラクターは、ミニオンたちを含めてみなデフォルメされてというか、カリカチュアライズされてアニメの正統。ヘンな顔なのに、とても魅力的。これは重要なことだと思う。ボクには「リロ&スティッチ」(Lilo & Stitch・2002・米)はまったくなじめなかった。キャラクター商品があることが信じられない。

 逆に風景などの環境は非常にリアル。まるで本物の中にキャラクターが存在しているかのよう。水、月、サメなんてまるで実写。このクォリィの高さ。そして3Dは、コンピューターで作った絵だから当然といえば当然ながら、結構画面から飛び出る。

 そして、おとぎ話のようなものだから、悪役も心底悪い人間は存在せず、どこか憎めない。あえて言えば銀行屋のミスター・パーキンスが悪いだろうか。ライバルのベクターにしても、おしまいにはダンスを踊ってみせる。

 ただ、ちょっと大人向けには短すぎる感じで、もうひとひねりか、フォロー、細かい描写が欲しかった気はする。そもそもバナナから作られたミニオンって何? 幼い子は集中がそんなに長く続かないから、これでも長いのかもしれない。

 怪盗グルーの声はスティーヴ・カレル。おバカ役が多く、日本人的はにはあまり合わないキャラ。「40歳の童貞男」(The 40 Year Old Virgin・2005・米)のヒットでメジャーになったらしい。「リトル・ミス・サンシャイン」(Little Miss Sunshine・2006・)にも出ているそうだが見ていない。近作は「ゲット・スマート」(Get Smart・2008・米)で、これは許せるギリギリか。

 魔女みたいな容貌の三角眼鏡のグルーのママの声は、なんとあのジュリー・アンドリュース。「サウンド・オブ・ミュージック」(The Sound of Music・1964・米)のマリアが……ま、「シュレック2」(Shrek 2・2004・米)でもフィオナ姫の母親役で声を当てていたけど。王妃的な役が多かったのに、今度はこの容貌か!

 3姉妹の長女、しっかり者のマーゴの声はミランダ・コスグローヴ。代用教員コメディ「スクール・オブ・ロック」(The School of Rock・2003・米/独)で生徒の1人を演じていた子。あのときは10歳だったのに、もう17歳。ちょっと斜に世間を見てる次女のイディスの声はダナ・ガイアー。本作が初めてのメジャーな仕事らしい。おちゃめな末っ子のマグネスの声はエルシー・フィッシャー。この前にTVの仕事をしていたというからプロの女優だ。まあ、とにかくかわいい。こんな子に「あそぼ」なんて言われたら断れない。

 グルーのところで働くネファリオ博士の声はラッセル・ブランド。アダム・サンドラーのコメディ「ベッドタイム・ストーリー」(Bedtime Stories・2008・米)で頭の毛もじゃもじゃのホテルの同僚を演じていた人。アニメのキャラクターとは全く違うが、違和感はなかった。ヘンなところが共通しているか。デフォルメされているが、ほんとにこんな人がいる。

 ライバルのオタクっぽいベクターの声はジェイソン・シーゲル。見ていないが「寝取られ男のラブ♂バカンス」(Forgetting Sarah Marshall・2008・米)で寝取られ男を演じていた人だそうで、それでラッセル・ブランドと共演している。まっ、本作もピッタリか。ジャージの上下におかっぱ頭で眼鏡って、日本人オタクのイメージだろうか。

 そのパパの悪党銀行頭取のミスター・パーキンスの声はウィル・アーネット。役よりずっと若くて、痩せている人だが、違和感はなかった。「俺たちフィギュアスケーター」(Blade of Glory・2007・米)や「俺たちダンクシューター」(Semi-Pro・2008・米)などのだめだめコメディに出演しているし、アニメのアテレコも多い。最近「スパイアニマルGフォース」(G-Force・2009・米)に人間のキャラで出ていた。

 脚本はケン・ダウリオとシンコ・ポールの2人。ともにアニメの「ホートンふしぎな世界のダレダーレ」(Horton Hears a Who!・2008・米)ほ書いている。見ていないが、評価は高い作品らしい。

 監督はクリス・ルノーとピエール・コフィンの2人。クリス・ルノーはDCコミックで漫画家をしていたそうで、プロデクション・デザインを手掛け、アニメに関わるようになったらしい。製作全般を手掛けた短編がアカデミー賞でノミネートされ、本作に至ったのだとか。フランス出身のピエール・コフィンは大学を中退してアニメを学び、CMを手掛けて劇場長編アニメに至ったらしい。

 ちなみに製作会社のマック・ガフというところはパリとロサンゼルスに拠点を置くらしい。それで2人の監督の起用となったのだろう。

 公開2日目の3回目、字幕版の初回、銀座の劇場は全席指定で、前日に確保しておいて、20分前くらいに付いたら前の回は終了していたがまだ入れなかった。5〜10分ほどして入場。外国人ファミリーが多く、日本人客は20代くらいの若い人が多かった。男女比はほぼ半々くらい。最終的には395席に4.5〜5割くらいの入り。入場時に3D眼鏡を渡されたが、液晶シャッター式で、案の定クモリがあって眼鏡拭きで拭いていたら、ほかにもやっている人が結構いた。ただ、今回は差額は取られなかった。

 やや暗くなって始まった予告編で気になったのは……「宇宙戦艦ヤマト」はCGによる艦隊戦がハリウッドばりで、かなり良さそうな印象。映画を楽しむためには、キムタクめあての若い女性客が来ないように祈りたいところだが……。

 上下マスクの「アンストッパブル」は暴走した無人の貨物列車を止める2人の男の話らしい。デンゼル・ワシントンは列車映画「サブウェイ123激突」が残念だっただけに、この列車映画は当てて欲しいところ。監督はトニー・スコット。どうだろう。

 いよいよ上下マスク「ナルニア国物語第3章アスラン王と魔法の島」の絵入りの予告(吹き替え版)が始まった。やっぱり子どもたちはずいぶんと大人っぽくなっている。子供の成長は早い。どんな物語を見せてくれるんだろうか。


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