Little Big Soldier


2010年11月13日(土)「ラスト・ソルジャー」

LITTLE BIG SOLDIER・2010・中/香・1時間35分(IMDbでは96分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、野崎文子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー・デジタル

(香IIB指定)

公式サイト
http://www.lastsoldier.jp/index.html
(音にも注意。全国の劇場案内もあり)

紀元前227年、戦国時代の中国。衛(えい)軍が梁(りょう)に攻め入ったが、裏切り者がいたことから梁軍の待ち伏せに合い、激しい戦いを繰り広げた結果、両軍とも全滅してしまった。死んだフリをして生き残った梁軍の名も無き兵士(ジャッキ・チェン)は、重傷を負っていた衛軍の将軍(ワン・リーホン)を見つけ、褒美をもらうために捕虜として連れ帰ることにする。ところが、その将軍を命を狙う衛軍の追手が迫っていた。

73点

1つ前へ一覧へ次へ
 さすが、シャッキー映画。笑わせて、ハラハラさせて、体を張った凄いアクションに目を見張らせて、最後に感動させてくれる。普通に面白い。あえて色調をモノトーンのようにしているのか、派手さや力強さはなかったが、中国独特の、ちょっと墨絵のような、雄大な自然の絵が素晴らしかった。

 父の教えを守り、どんなことをしても生き残り家名をつなぐことを信条とする農民と、名誉を重んじ戦場で死ぬことを潔しとする将軍が一緒に旅をし、次第に絆を築いていく構成は、有りがちだが見事。それを味方でありながら命を狙って追ってくる一団も恐くてなかなか良い。ただ、将軍と農民兵士の心がつながるエピソードがもっと欲しかった気はする。それと、途中で登場する怪しげな、歌手らしい女が中途半端。もっと関わってこないと、出てきた意味がない。言葉が通じない山賊のような流浪民というのは面白かった。

 全体の印象としては、デジタルのモブシーンもあるものの、どうにもこぢんまりとした話で、映画というよりTV向きのネタという感じがしないでもなかった。それが惜しい。

2007  主演はもちろんジャツキー・チェン。ほかにも製作総指揮、原案、武術指導も兼任。ハリウッド作品にも出ながら、自身で作りたいものは香港で手掛けると。「ダブル・ミッション」(The Spy Next Door・2010・米)はちょっと残念だったが、「ベスト・キッド」(The Katate Kid・2010・米/中)はリメイクとは言え話題作で、悪くなかった。

 衛軍の将軍はワン・リーホン。藤原紀香が出た香港映画「SPY N」(China Strike Force・2000・香/米)、Gacktが主演した日本映画「Moon Child」(Moon Child・2003・日)にも出ていた。最近ではエロが話題になった抗日運動映画「ラスト、コーション」(Lust, Caution・2007・中/米)で学生運動家を演じていた。ミュージシャンとしても知られる。

 将軍の弟ウェンはユ・スンジュン。韓国出身で、本業はミュージシャン。映画出演は本作が初めてらしい。なかなか良い雰囲気が出ていたのではないだろうか。

 ウェンの部下でスキン・ヘッドのウーは、ドゥー・ユーミン。顔は怖くないのに不気味な感じで、いい味を出していた。いままであまり大きな役はなかったらしく、どうも本作が大きな役としては初らしい。今後期待できそう。

 謎の女歌手はリン・ポン。この人も長編劇場作品は初めてらしい。

 あとはシャッキー・チェン・スタント・チーム総出演。よく見る人がたくさん出ていた。

 監督・脚本・編集を手掛けたのはディン・シェン。この前に撮ったアクション・コメディの第1作「Ying han」(The Underdog Knight・2008・香/中)がジャッキヘーの目に留まり、本作での今日となったらしい。

 出演者、スタッフなど、まだあまり知られていない人を多く使って、予算を抑えたのだろう。だからこぢんまりした感じになっているのかもしれない。

 もちろんエンディングはNG集。これはスタンダード・サイズだった。セリフ忘れや、手を怪我したり、死体役が動いてしまったり、なかなか笑わせてくれる。そして、やっぱり現場は楽しそう。

 公開初日の初回、渋谷の劇場は全席自由ながら定員入れ替え制で、当日分は全回とも当時の朝に引き換えなので、55分前くらいに着いたら、共通の窓口には男性が4人。30分前くらいになったら25人くらいに。女性は3人くらい。まもなく窓口が開いて、当日券と引き換えエレベーターへ。

 比較的新しい劇場の割りには座席がフラットで、スクリーンはやや高くなっているが前席は邪魔になる。だから全席指定にできないのかも。ちょっと座高の高いヤツがいたら字幕が読みにくい。しかも千鳥配列でもないし。

 最終的に606席に2.5割りくらいの入り。朝早いこともあるが、ちょっと宣伝が足りなかったか。ジャッキー映画らしく20代くらいから中高年まで割りと幅広く、メインは若い人という感じ。若い女性も多かった。ただし1/4〜1/5くらいだが。オバサンや小学生の子供連れのお母さんなども。

 他所で買った飲食物は劇場内への持ち込みが禁止なので、下の窓口で並んでいるうちに飲んでしまわないと。スクリーンはシネイコで開いており、関係者は5〜6人ほど。

 半暗になってビスタに縮まってから始まった予告編で気になったのは……上下マスクの実写版「あしたのジョー」は絵付きの予告。矢吹丈が山下智久、力石徹が伊勢谷友介、丹下段平が香川照之という顔合わせ。意外にハマっている感じがしたが、内容はまだわからない。

 「GANTZ」は内容寄りの予告で、なかなか面白そう。アクションも満載の模様。でも2部作って……。「パラノーマル・アクティビティ第2章」は、こういう作品なら日本の方がもっと低予算で作れると書いたら、本当に作ったと。あまり感心しない手法だなあ。

 久しぶりにドルビー・デジタルの機関車デモがあってからの本編上映。


1つ前へ一覧へ次へ