Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 1


2010年11月21日(日)「ハリー・ポッターと死の秘宝PART 1」

HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS:PART 1・2010・英/米・2時間26分

日本語字幕:手書き風書体下、岸田恵子/字幕監修:松岡佑子/シネスコ・サイズ(by Panavision、マスク、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://harrypotter.warnerbros.co.jp/hp7a/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

ヴァルデモート(レイフ・ファインズ)の一味は集会を開き、ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)のとどめはヴァルデモート自身が指すことを確認すると、17歳になると匂いで追跡できなくなることから、その前に方を付けるためあちこちに捜索の手を伸ばす。一方、ハリー・ポッターは仲間がハリー・ポッターに変身し、同時に家を出ることで彼を逃がそうとしていた。そして、かろうじて隠れ家にたどり着いたハリーは、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)とロン(ルパート・グリント)と合流し、ヴァルデモートの倒すための7つの分霊箱を探しだし破壊する旅に出ることにする。その時、魔法省の長官ルーファス(ビル・ナイ)が現れ、ダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)の遺言と遺品を渡す。それらは、まさに彼らの旅に必要なものだった。

73点

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 「ハリー・ポッター」シリーズはどれも長いが、本作も長い。そして、結構ダークな話。あまりファンタジー的な部分は多くない。ついに最終決戦となるので、当然といえば当然なのだが。そのおかげか、正直ボクはどの作品でもいいところで寝てしまっていたのだが、本作は何度か気を失いかけたものの、どうにか最後まで寝ずに見ることができた。情けない……。

 絵は素晴らしいし、これまで出た多くのキャラクターが再び同じ姿で登場し楽しませてくれる。まるでオール・スター状態。しかも、これまでもそうだったが、今回は特に3Dにする予定だったわけで、飛び出しそうな絵作りが多い。そして画質が良いので、実際飛び出しそうな気さえする。IMAX版ならかなりその感が強いのではないだろうか。

 特に良かったのは、劇中劇のように語られる「死の秘宝」にまつわる「3人兄弟の物語」。本編より面白かった。影絵風のアニメになるところも良かった。

 ただ、やっぱり展開は都合が良すぎる感じがする。ハリーが捕まりそうになった時、魔法によって蜂に刺されたような顔にされるのだが、悪いヤツらだけが見分けがつかず、味方は薄暗いところでもすぐに「ハリー?」などと呼びかける。オイ、オイ。それに、ヴァルデモートは大昔のTV時代劇か何かのように、自分のことを「オレ様」って呼ぶのはどうよ。ジーサンの「ワシは……じゃ」という喋り口調も最近では少なくなってきたというのに、完全に興ざめの字幕。今どき自分のことをオレ様なんて言うヤツいるか。

 ストーリーはごく普通。2人の男に1人の女という構図。しかも一緒に旅をし、途中必ずケンカすると。まさにハリウッドの王道だろう。1人が去る。これは見るまでもない展開。あざとすぎ。

 出演者がほとんど同じということは、最初から実時間でも10年が経過しているわけで、大人はともかく、子どもたちはすでに成人を過ぎているわけで、それもファンタジーを感じさせる要素の減少につながっている気がする。大人がメインではファンタジーは成立しにくい。外見もすっかり大人っぽい。特に女性のハーマイオニー役のエマ・ワトソンなんて、色っぽくなっちゃって……まわりの生徒たちも成長していて、新入生がほとんど出てこないし……本は年齢が上がっても無理は出にくいが、映画だと大人になった感じが一目で伝わるからなあ……。新しい登場人物がいないのは新鮮味に欠ける気もする。

 脚本は1作目からずっと手掛けているスティーヴン・グローヴス。これは当然といえば当然か。この人はほとんど専属状態で、本作しか手掛けていないようだ。これはこれでいいのか? もちろん原作はJ.K.ローリングス。日本語訳はファンの間でいろいろと問題視されているようだが、呼んでいないのでなんとも……。

 監督はイギリス生まれのデヴィッド・イェーツ。5作目「不死鳥の騎士団」から引き続きの登板。イギリスが舞台の、イギリスの感じ満載の映画だからイギリス人監督でなければこの雰囲気は出せないだろう。本シリーズを手掛けるまではTVをやっていた人。このシリーズは話題が先行し、うまいのかどうかわからない。

 公開3日目の字幕版初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。ロビーで場内持ち込み禁止のコーヒーを飲みながら待っていると、15分前くらいに入場。最終的には607席の7割りくらいが埋まった。さすが話題作。下は小学生くらいから、上は中高年まで幅広かった。男女比はやや女性の方が多く、4対6くらい。メインは20代前半くらいの若い人たち。だからか予告が始まっても続々と入ってくるのには参った。ファミリーや外人さんもチラホラと。

 半暗になって始まった予告で気になったのは……加藤清史郎主演で実写版の「忍たま乱太郎」が作られると。しかも監督は「ヤッターマン」を成功させた三池崇史。はたして!

 スクリーンが左右に広がってシネスコになり、左右マスクではじまった日本の3Dアニメ「豆腐小僧」は原作が京極夏彦なんだとか。なかなかクオリティは高そうだが、どうにもゲームのアニメ・パーツのような感じがするのが残念。声は深田恭子らしい。

 クリント・イーストウッドの最新作は心霊ものらしい「ヒアアフター」は期待作だと思うが、なぜかまだ日本の公式サイトはなし。ワーナーだが、どういうこと? 英語のサイトはこちら。マッド・デイモン演じる過去か何かが見える霊能者の話らしい。凄い津波がリゾート地を襲うシーンも。とても面白そう。かなり気になる。


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