Gamer


2010年12月5日(日)「GAMER ゲーマー」

GAMER・2009・米・1時間35分

日本語字幕:丸ゴシック体下、種市譲二/ビスタ・サイズ(Arriflex 435、Red One)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://gamer-movie.tv/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

2043年、オンライン・コミュニケーション・ゲーム「ソサエティ」の天才クリエーター、ケン・キャッスル(マイケル・C・ホール)が新たに作り上げたオンライン戦闘ゲーム「スレーヤーズ」が世界的にブームとなっていた。これはプレーヤーが脳細胞をコントロールされた生身の死刑囚を遠隔操作して、実際に実弾を使って戦う新ゲームだった。死刑囚は30回戦って生き残れば米政府との契約で釈放されることになっていた。そしてケーブル(ジェラルド・バトラー)は27回生き残り、世界的な人気者だった。ケン・キャッスルはケーブルを釈放する気はなく、誰からもコントロールされないハックマン(テリー・クルーズ)を送り込んでくる。ケーブルは一計を案じ、脱出を図るが……。

73点

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 思っていた以上に骨太。出演者も結構豪華で、派手なシーンも多く、B級という印象は薄い。アクションも満載で、ストーリー展開にも説得力があり、主人公の気持ちも良く伝わってくる。悪党はちゃんと恐ろしくて憎たらしく、意外さも用意されていて良い。エロ、グロ、暴力、満載。かなりどぎつい。これが気になると楽しめないかもしれない。

 唯一の欠点はわかりにくいことか。ハイテク世界のお話で、オヤジには理解するのに時間がかるというか、わかりにくいところも多々ある。ちょっとおいていかれ気味。ヘタをすると付いて行けない。ここも危険なポイント。バーチャル世界からリアルな世界につながり、生身の人間を操作するという戦闘ゲームというせっかくの面白い設定が、いまひとつつかみにくい。脳を乗っ取るやり方とか、ゲーム・システムがどうなっているのか、などなど。説明が短すぎる。そこまで説明の必要がないように、あるいは気にならないように作れなかったのか。

 印象としては、「デス・レース」(Death Race・2008・米/独/英)と「サロゲート」(Surrogates・2009・米)を足したような感じ。タイトルはユニークっぽいんだけど……。特に前半は理屈抜きのアクション満載でテンポが良く、何がどうなっているのか良くわからなかったが、引き込まれた。絵も、スローモーションを随所に使ってメリハリをつけ、ゲームの時モノトーンにし、その他では鮮やかな色を使うなど、メリハリも利いていた。

 主演のケーブル役のジェラルド・バトラーは最近映画に出まくり。コメディにも出ているが、作品に恵まれないからか、シリアスものでそれもセリフが少なく男っぽい役の方がはまる気がする。最近出ていたのはコメディの「バウンティー・ハンター」(The Bounty Hunter・2010・米)。「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2006・米)は良かったなあ。ゲームで使っていた銃はG36C、G36K、UMP45など。シャバでは、ベレッタM92、スクリーン初登場ではないかと思われるマテバ・リボルバー、AKスタイルのショットガン、ドラムマガジンを付けたサイガなど。

 奥さんのアンジーを演じたのは、アンバー・ヴァレッタ。ちょっと暗い表情の人だが、とても色っぽい。本作では「ソサエティ」でプレーヤーに操られる女優、娼婦に近い役なので、お色気爆発。つい最近ジャッキー・チェンのコメディ「ダブル・ミッション」(The Spy Next Door・2010・米)で、子持ちの相手役を演じていた人。まったく本作とは雰囲気が違ったのはさすが女優ということなのだろう。だいたい奥さん役の多い人。バーチャル着せ替えシーンで、「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米/香)のダリル・ハンナがやっていたコスチュームも身に付けている。

 悪役のケン・キャッスルを演じたのはマイケル・C・ホール。どこかで見た顔だなあと思ったら、TVドラマ「デクスター〜警察官は殺人鬼」のCM。もちろんそれに主演している。映画ではベン・アフレックのSF「ペイチェック消された記憶」(Paycheck・2003・米)に出ていたらしい。いきなり踊っちゃうのには驚いたが。

 刑務所でケーブルと一緒になる男フリークを演じたのはジョン・レグイザモ。独特の味を持っている人で、悪役が多かったが、最近はロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが共演した刑事もの「ボーダー」(Righteous Kill・2008・米)やMナイト・シャマランの残念なSF「ハプニング」(The Happening・2008・米/印)に出ていた。

 ケーブルを動かしていた高校生プレーヤー、サイモンはローガン・ラーマン。傑作リメイグ西部劇の「3時10分、決断の時」(3:10 to Yuma・2007・米)やファンタジー大作「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief・2010・加/米)に出ているだけあって、出番は少ないが印象に残った。ということはうまかったということだろう。

 ケーブルを助ける女、トレースはアリソン・ローマン。サム・ライミの古いスタイルのホラー「スペル」(Drag Me to Hell・2009・米)で主演していた人。若く見えるがOLを演じていたくらいで、1979年生まれということは31歳か。本作じゃあ18、9に見えたなあ。

 ケーブルを殺しに来る、誰からもコントロールされないハックマンは元NFL選手だったテリー・クルーズ。シルヴェスター・スタローンの戦争アクション「エクスペンデブルズ」(The Expendables・2010・米)でフルオート・ショットガンAA-12を使っていた人。本作ではストックなしのサイガを片手で撃っていた。

 TV番組のショーのホステス、ジーナを演じていたのはキーラ・セジウィック。TVドラマの「クローザー」で、主役の甘いもの中毒の切れ者特捜班チーフを演じている人。映画では、最近で言うと、「ウォルター少年と、夏の休日」(Secondhand Lions・2003・米)に出ていた。お金にせこい親戚だったか、見捨てていくお母さんだったか。

 ハッカー側の東洋人はアーロン・ヨー。残念なサスペンス「ディスタービア」(Disturbia・2007・米)や「ラスベガスをぶっつぶせ」(21・2008・米)に出ていた人。どれもキャラ設定が似ている感じ。

 さらにチョイ役だがTVドラマ「HEROES/ヒーローズ」のピーター・ペトレリ役マイロ・ヴィンテミリアが出ているし、TVドラマ「CSI:マイアミ」の刑事役ショニー・ホイットワースも出ている。

 他に戦闘シーンで使われていた銃は、FNF2000、FN P90、腰だめでプローニングM1919マシンガン、そしてちょっと被せものをしたM249など。

 終わり方は当然The EndではなくGame Over。これは予想どおり。

 脚本・監督はマーク・ネヴェルダインとブライアン・テイラーの2人。傑作ジェットコースター・アクション「アドレナリン」(Crank・2006・米)と、パワーが落ちなかったその続編「アドレナリン:ハイ・ボルテージ」(Clank: High Voltage・2009・米)の脚本と監督を担当した2人だ。仲良過ぎ。何かあるんだろうか。2人の脚本作品、西部劇の「ジョナ・ヘックス」(Jonah Hex・2010・米)は評価が低いようで日本ではDVDストレート。監督をしていないのが敗因か。

 公開3日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由で、45分前くらいに到着。30分前くらいからボツボツと人が来始めて、それ以上前に行けないようにバリケードが置いてあるのに、1人のオバサンが無視して入ったら、もう後はイスがある分だけ入って行く状態に。日本人はなあ……。さらには、ドアを開けて勝手に中に入ろうとするオヤジまで。係員が飛んで来て止めた。

 20分前くらいに開場となり、この時点で15〜16人というところ。ほぼ中高年のみ。女性は3人くらい。スクリーンはビスタで開き。少し若い人も来て、183席に50人くらいになったところで、本鈴。前のみ暗くなり、CM・予告へ。やっぱり携帯を見ているヤツがいる。ロビーで切ってから入ってこさせろ。

 気になった予告編は……上下マスクの邦画「プリンセス・トヨトミ」(公式サイトは準備中とか)は、大阪全停止とか出て、なんだか凄いことになりそうなファンタジー・コメディ(?)らしい。おもしろそう。

 上下マスク「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」は新予告に。日本軍が玉砕したサイパンでの戦いを描くらしい。「GANZ」も新予告に。面白そう。地下鉄に轢かれそうになって、千手観音みたいなのが現れて、大魔神みたいなでっかい仏像も現れて……なかなかすごい。

 ジェラルド・バトラーが復讐の鬼になる上下マスク「完全なる報復」も面白そう。予告を見ただけでジェイミー・フォックスが憎たらしく見えてくるから凄い。

 ドルビー・デジタルの蒸気機関車のデモの後、本編の上映。


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