Killers


2010年12月5日(日)「KiSS & KiLL キス&キル」

KILLERS・2010・米・1時間33分

日本語字幕:手書き風書体下、伊原奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ、Arriflex)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://kisskill.gaga.ne.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

失恋に傷をいやすため、ジェニファー(キャサリン・ハイグル)はママ(キャサリン・オハラ)とパパ(トム・セレック)にフランスのリゾート地ニースに連れてきてもらった。ちょうどその時、CIAのエイジェント、スペンサー(アシュトン・カッチャー)が任務で来ており、たまたまホテルのエレベーターで一緒になり、食事の約束をする。互いに引かれあった2人は、アメリカへ帰って結婚することに。スペンサーはCIAをやめ建築会社に入るが、3年後、元のCIAの上司(マーティン・マル)から連絡が来て、打ち合わせをしたいと言う。それを断ると、暗殺者が襲いかかってくる。2000万ドルの賞金がかかっているというのだ。ジェニファーはCIAの事を知らずパニックになるが、なんと妊娠していることが判明する。

72点

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 これは……「Mr. & Mrs.スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)の焼き直しのような感じもする。もっとコミカルにして、B級にしたというところだろうか。日本ではあまり受けないアシュトン・カッチャーとキャサリン・ハイグル(美人なんだけど……)が好きな人は楽しめるだろう。結構銃撃戦などはリアルでいい加減に作っていない。そこは好感が持てる。そして、なかなか笑えるし。笑えないと、ただの悪ふざけに見えるかも。トロ・クルーズとキャメロン・ディアスの「ナイト&デイ」(Knight and Day・2010・米)的なところもある。

 オープニングからして007風。なかなか期待させる。場所はフランスのリゾート地ニースだし、いきなりスポーツ・カーに乗って主人公が現れるし、フランスにいる間は結構期待させる。ところが、アメリカに戻ってしまうとリゾート気分は消え、結婚後の夫婦関係もギクシャクしてきて、義理の父との関係も怪しくなってくる。いきなりスパイ映画からどろどろのホーム・ドラマだ。それで、いったんフランスへ戻りそうになるのに、予算がなかったからかアメリカにとどまったままで物語は進行する。つまりスパイ映画にはもどらない。ただ後半はカーチェイスありのハリウッド的アクション映画になって終わる。

 しかも、何の伏線もなしのいきなりの豹変で敵がどんどん現れるが、これはどうなんだろう。面白ければいいんで、理屈なんか抜きなんだという考え方もあるかもしれないが、全くの自分勝手、ご都合主義という見方もあるのでは。この辺は微妙で、失敗している気がする。

 主演のジェニファー役キャサリン・ハイグルは、人気TVドラマ「グレイズ・アナトミー」に出ていた人で、美人には間違いないがどうも日本人受けしにくい感じが。映画では大作には恵まれないようで、「幸せになるための27のドレス」(27 Dresses・2008・米)や「男と女の不都合な真実」(The Ugly Truth・2009・米)など、みな小劇場での公開。だいたい皆お手軽な内容のものばかりという印象。本作も同様。こういう役しか演じられないのかと思われてしまうのでは。使わされた銃はデザート・イーグル。

 アシュトン・カッチャーもアメリカではすごい人気のようだが日本では今ひとつ。作品に恵まれない気はする。良かったのは強盗ミステリーの「レインディア・ゲーム」(Reindeer Games・2000・米)と実話に基づく西部劇「テキサス・レンジャーズ」(Texas Rangers・2001・米)と悲しいSFミステリー「バタフライ・エフェクト」(The Butterfly・2004・米/加)くらいか。この中でも主演は「バタフライ……」のみ。使っていた銃はグロックとH&K MP7、H&K UMP45、ベネリのM4ショットガンなど。使っていたPCはMacのパワーブック。

 パパはトム・セレック。とても騒がれたのにTVの「私立探偵マグナム」方を優先したため映画では成功できなかったような。SFアクション「未来警察」(Runaway・1984・米)や男のコメディ「スリーメン&ベイビー」(3 Men and a Baby・1987・米)、高倉健と石橋貴明が出た「ミスター・ベースボール」(Mr. Baseball・1992・米/日)あたりは良かったが……。歳とともに貫録が出て怖い感じになってきた気がする。使っていたハンドガンはガバメント。

 ママはキャサリン・オハラ。ニューヨークの奇妙な一夜を描いた傑作「アフター・アワーズ」(After Hours・1985・米)や、ホラー・コメディの「ビートルジュース」(Beetle Juice・1988・米)、「ホーム・アローン」(Home Alone・1990・米)などで光っていた人。最近だと豚鼻女の子のコミック・ファンタジー「ペネロピ」(Penelope・2006・英/米)だろうか。雰囲気は本作とも似ていて、15年くらい経ってもあまり変わっていないところが凄い。

 スペンサーの会社の同僚で、スカーレット・ヨハンソン似の金髪美人はキャサリン・ウィニック。これまではほとんどTVの仕事がメインだったようだが、光っていたので、スクリーンでの活躍に期待したい。

 スペンサーの同僚と男、ヘンリーを演じたのはロブ・リグル。インターネットで面白いという話が持ち上がり、DVDストレートになるところ劇場公開されたといういわくつきのコメディ「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(The Hangover・2009・米/独)。「サタデー・ナイト・ライブ」出身のコメディアン。

 脚本は原作も手掛けたボブ・デ・ローサ、T・M・グリフィンの2人。ボブ・デ・ローサはほかに日本で劇場公開されたものはないようで、ほとんど新人に近い。T・M・グリフィンは、あの人肉食西部劇「ラビナス」(Ravenous・1999・チェコ/英/米)、リメイク犯罪映画「オーシャンズ11」(Oceans Eleven・2001・米)を手掛けているベテラン。

 監督はオーストラリア出身のロバート・ルケティック。あの傑作出世コメディ「キューティ・ブロンド」(Legally Blonde・2001・米)や「ラスヴェガスをぶっつぶせ」(21・2008・米)、「男と女の不都合な真実」を監督した人。

 公開3日目の2回目、銀座の劇場は2回目以降全席指定で、金曜に確保しておいて、25分前くらいに到着。場内清掃中でまもなく開場。ほとんどTVなどでは広告していないせいか、中高年が3〜4人、そして若いカップルが1組。

 スクリーンはビスタで開いており、BGMはなし。最近はシネコン系の劇場が増えたのでBGMを流さないところが増えてきた。その分、早めに案内が上映されるようになってきた。ちょっと寂しい気がしないでもないが……。それにしても、どこの劇場でもコーヒーはおいしくない。煮詰まったようなものか、すぐに出せるインスタント系のものばかり。しかも高くて量が少ない。だからスタバなどを買ってきたくなるのだが、持ち込み禁止のところが多い。やれやれ。

 最終的に395席に、半暗になった時点で3.5割くらいの入り。予告が始まった後も入って来ていたが、4割行ったか。若い人も少し増えて、男女比は半々くらいという感じ。

 わけのわからない千坊の(キューピーもわけわかんないが)CMのあと、映画のようなシャネルのCMがあり、それから始まった予告で気になったのは…… 上下マスク「ウォール・ストリート」はウォール街でカリスマ的存在だったあの男が出所してきてという話らしい。そして娘の婚約者がまんまとだまされる、というような感じらしい。

 暴走した列車を止める、上下マスクの「アンストッパブル」は実話の映画化なんだとか。トニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンという顔合わせ。面白そう。

 上下マスクの「僕が結婚を決めたワケ」はどこかで聞いたようなタイトル。しかもなかなかタイトルが出なくていらいらした。とても軽そうな内容のようなのだが、ヴィンス・ヴォーンやジェニファー・コネリーが出ていて、監督がロン・ハワード。どうなんだろう。


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