TRON: Legacy


2010年12月19日(日)「トロン:レガシー」

TRON: LEGACY・2010・米・2時間10分(IMDbでは米版2時間07分)

日本語字幕:手書き風書体下、戸田奈津子/用語監修:大口孝之/シネスコ・サイズ(デジタルHDCAM SR(IMDb では3D版1.85、IMAX-3D版1.44))/ドルビー・デジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビー・サラウンド7.1ch)

(米PG指定)(3D版、IMAX-3D版、日本語吹き替え版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/tron/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

1989年、エンコム社のCEOケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)は幼い息子サムと別れると、会社へ行ったままもどらなかった。20年後、サム(ギャレット・ヘドランド)は、エンコム社の重役の1人ではあったが取締役会にも参加せず気ままに暮らしていた。そして重役たちからはメンバーから外されそうになっていた。そんな時、共同経営者だったアラン(ブルース・ボックスライトナー)のポケベルにケヴィンからメッセージが入ったから何かわかるかもしれないと、かつてのフリンのゲーム・センターの鍵を渡される。サムがゲーム・センターを調べると、隠し扉の奥に父の研究室を発見する。電源を入れるとコンピューターが作動し、心当たりのあるパスワードを入力すると、いきなり機械が作動し、サムはコンピューターの世界に取り込まれてしまう。

74点

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 ストーリーは特に感動的でもないが、ビジュアルがものすごい。この完成された独特の(ちょっと「マトリックス」(The Matrix・1999・米/豪)につながる部分はあるが、こちらの方が17年も古い)世界観と美しさ。それだけでも見る価値がある。特に、2Dパートと3Dパートがあったとしても、結果的に印象としては冒頭の親子のシーンを除いて、現実世界が2Dで、トロンの世界が3Dというふうになっているので、「ブレインストーム」(Brainstorm・1983・米)のように別世界という感が強まって良かった。2Dで見た人はその感じは体験できなかったと思うけど。スタイリッシュでカッコいい。それは音と映像による体験に近い。

 ストーリー事態は複雑でもないしわかりにくくはないが、やはりコンピューターの世界と連動する専門用語が多く出てきて、それが内容の把握をしにくくさせている気はする。おかげで、つまらなくはないのに眠くなって、何回か、一瞬だが気を失った。

 メカのデザイン、衣装のデザイン、色彩設計も抜群。そしてジェフ・ブリッジスを28年前の若さに戻してしまった技術。冒頭の家の中に入っている3Dパートは口も良く合っていなかったりCGっぽかったが、それ以外はほとんど実写のようだった。

 実際のデザインで、アート・ディレクターが描いているのか、各担当が描いているのかわからないが…… スーパー・ヴァイジング・アート・ディレクターはケヴィン・イシオカ。「G.I.ジョー」(G.I. Joe: The Rise of Cobra・2009・米/チェコ)や「アバター」(Avator・2009・米/英)を手掛けた人。

 ヴィークル・デザイナーはハラルド・ベルカー、ダニエル・サイモンの2人。ハラルド・ベルカーは「アイアンマン2」(Iron man 2・2010・米)でもヴィークル・デザイナーを、「デス・レース」(Death Race・2008・米/独/英)ではコンセプト・イラストレーターを務めている人。ダニエル・サイモンは本作がヴィークル・デザイナー、デビュー作らしい。

 秀逸なタイトル・デザインはプロローグ・フィルムのダニエル・クローン。「アイアンマン2」でもメイン・タイトルを担当している。

 驚きはジェフ・ブリッジス。前作「トロン」(Tron・1982・米)の時のままの若い姿は衝撃だった。CGでやっているらしいが、冒頭以外は実写のよう。「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(The Curious Case of Benjamin Button・2008・米)の技術なんかも関係しているのだろうか。最近良く映画に出ていて、「アイアンマン」(Iron Man・2008・米)は本作と役柄が似ているような気がする。

 謎の美女クオラを演じたのは、オリヴィア・ワイルド。主にTVで活躍していたようで、映画ではポール・ウォーカーのアクション「ボビーZ」(The Death and Life of Bobby Z・2007・米/独)でも美女役で目立っていた人。本作でもズバ抜けている。

 主人公のサムはギャレット・ヘドランド。最弱ファンタジー「エラゴン遺志を継ぐ者」(Eragon・2006・米/英/ハンガリー)に出ていたらしい。ほかにマーク・ウォールバーグのアクション「フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い」(Four Brothers・2005・米)に末っ子役で出ていた。

 前作から引き続きトロン役で登場するのは、ブルース・ボックスライトナー。メインはTVらしく、最近では「HEROES/ヒーローズ」に出ていたらしい。

 もう1人の美女、サムに装備を付けてくれる美女ジェムを演じたのはボー・ガレット。見ていないのでわからないが「近距離恋愛」(Made of Honor・2008・米/英)に出ていたらしい。

 エキセントリックなクラブのオーナー、メイクでちょっとデヴィッド・ボウイのような雰囲気になっていたのは、マイケル・シーン。「アンダーワールド」(Underworld・2003・英/独ほか)でライカン族を演じたかと思えば、「クィーン」(The Queen・2006・英/仏/伊)では実在のトニー・ブレア首相を演じ、「フロスト×ニクソン」(Frost/Nixon・2008・米/英/仏)でも実在のデビッド・フロストを演じた。性格俳優とでも言うのだろうか。作品ごとに印象が全く違う。引っ張りだこのようで、公開が控えている作品は5〜6本もある。

 またマスクのDJ役でダフト・パンクが出演しているそう。本作の音楽もすべて手掛けているらしい。いい曲。このアルバムは買いかも。

 脚本はエディ・キッツィスとアダム・ホロウィッツ。2人はともに人気TVシリーズ「LOST」を手掛けた人。なるほどうまいわけだ。ただ、ハイテクの概念を良く取り込んでいるなあと関心。

 監督はジョセフ・コシンスキー。CM界では有名な映像クリエイターらしい。ナイキやアップルのCMも手掛けているのだとか。本作で劇場長編映画デビュー。この映像表現は素晴らしい。「去年マリエンバートで」(L'annee derniere a Marienbad・1961・仏/伊)のような、映像だけで見せてしまう映画が作れる人なのではないだろうか。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて、30分くらい前に到着。12〜13分前に開場して場内へ。3D料金込みの前売り券だったが、液晶方式のメガネなので、さらに差額400円を取られた。僕は個人的には液晶じゃなく偏光グラス式の方が、効果はほとんど変わらないので安くて良いと思う。プラス300円くらいなら納得できる。プラス700円というのは、IMAXならまだしも……。ただ、劇場のトータル評価がこちらの方が良いので、しかたなく……。

 メガネを渡す時、レンズは触らないようにという注意があり、確かに最近レンズは汚れていなくなった。しかしこれで当り前。お金を取るんだから。

 観客層は、下は小学生高学年くらいから中高年まで幅広く、男女比も半々くらい。最終的には287席の9.5割りくらいが埋まった。さすが話題作。

 それにしても、予告が始まって暗くなってからケータイをチェックするヤツは何を考えているんだろう。ロビーにいるうちに切っておけと。予告が始まっても続々と入ってくるし。

 予告編の前のコマーシャルで、シャネルのCMは映画でココ・シャネルを演じたオドレイ・トトゥが出ている豪華なもの。映画の予告編かと思った。気になった予告編は……上下マスクの「アンストッパブル」は前見たバージョンと同じだが、見たい気にさせる。ちょっと「暴走機関車」風ではあるが、2人の鉄道マンが命をかけて止めようとする実話に基づく物語らしい。予告編では人が飛ぶシーンのワイヤーがまだ消されていないようだ。

 3Dメガネを掛けてから上下マスクの「グリーン・ホーネット」。痛快冒険活劇という感じらしい。リアルな暴力ではない分、気楽に楽しめそう。やっぱりカトーがケイトーという発音なのは気になる。演じているのは「頭文字D」の台湾出身のジェイ・チョウで、日本人じゃないし。

 スクリーンが左右に広がってシネスコになったあとジャック・スパローが登場。「パイレーツ・オブ・カリビアン―命の泉―」は5/20公開だとか。ゾンビが出てくるのか。楽しそう。

 アニメの「塔の上のラプンツェル」も面白そう。なにより主人公の女の子がかわいい。すごく長い金髪。すごいスペクタクルも用意されているようで、期待できそう。

 いくつかのシーンが2Dで撮影されていますが、そのまま3D眼鏡をかけてご覧くださいというメッセージが出てから本編の上映。


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