The Social Network


2010年1月15日(土)「ソーシャル・ネットワーク」

THE SOCIAL NETWORK・2010・米・2時間00分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/字幕監修:山田進太郎、三橋ゆか里/シネスコ・サイズ(デジタル、Red One)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定、日PG12指定)

公式サイト
http://socialnetwork-movie.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場リストもあり)

2003年秋、ハーバード大学の学生で天才プログラマーのマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、女学生のエリカ(ルーニー・マーラ)に振られ、怒りに任せてハーバードの全女学生の顔写真をハッキングしてデータベースを作り、比較検討できるサイトを公開した。そのサイトは話題になりアクセスが殺到、大学のサーバがダウンする。マークは責任を問われ、半年間の観察処分にされる。全女子学生から軽蔑される存在となったが、ボート部の上流家庭の子息のクラブ・メンバー、ウィンクルボス兄弟から、会員しか入れず、登録すればハーバード.eduのアドレスがとれるハーバード・コネクションというサイトを作りたいと持ちかけられる。製作者の名前を出せば、名誉回復にもなるといわれ、その仕事を引き受けることに。しかし、プログラムを始めると、次々にアイディアが湧いてきて、自分独自のサイトへと変貌し、彼はそれにザ・フェイス・ブックと名付け、そちらへ没頭しハーバード・コネクションはまったく手を付けなくなってしまう。そして裕福な家庭の友人、エドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)に話し出資を依頼する。6年後、マークは世界最年少の億万長者になっていたが、ウィンクルボス兄弟とエドゥアルドからも訴えられていた。

73点

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 実話に創作を加えた一流大学のエリートたち、性格の歪んだヤツらのドロドロの人間ドラマ。フェイスブックを使っている人や、同じ大学出の人、日本では東京6大学レベルの人は面白いのかもしれないが、ボクレベルの人間にはどうでも良い話。単なる内輪もめ。フェイスブックを使っていないので、どうやって出来たかなんて聞いてもピンと来ない。面白いと言う人も多いようで、のめり込んでいる人は必見なのかも。IMDbでは8.2という超高評価。

 見終わると、人間の嫌なところを見せつけられて、落ち込む。だいたいどの登場人物もいけ好かないヤツばかりで、うんざりする。距離を置いて見ると言うより、反対(否定)の立場に立って見ることになるのでもますますどうでも良くなってくる。主人公はホントいけ好かないヤツ。早口で喋りまくるし。冒頭のデート・シーンでほとんどの人が嫌いになるのでは。しかも上映時間長いし。視線を合わせずに会話するなんてザラ。一歩間違えばみんな精神異常者のようなヤツばかり。

 これだけ嫌な気分にさせると言うのは、演出手腕が優れているということでもあるだろう。デヴィッド・フィンチャー監督らしい作品なのかも。それが面白いかどうか。ボクはアート系で公開するのに適した作品だと思う。デヴィッド・フィンチャーらしくシネスコ・サイズだが、スペクタクルもないのに必要なかったと思う。ドラマはタイトな画面の方が向いていると思う。

 早口でまくし立て、相手の間違いやささいなミスを突きまくって、興味のあることをやっていると回りが見えなくなると言うイヤなやつ、マーク・ザッカーバーグを演じたのはジェシー・アイゼンバーグ。M・ナイト・シャマランの残念なホラー、「ヴィレッジ」(The Village・2004・米)、戦場報道記者を描いた「ハンティング・パーティ」(The Hunting Party・2007・米ほか)のコネ入社の新人、そして傑作ゾンビ映画「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)の大学生役は特に良かった。「ゾンビ……」では、ちょっと気の弱そうな感じが良く出ていて、本作とはまったく印象が違う。さすがにうまい。「ハンティング……」もよかった。

 唯一、比較的まともそうなエドゥアルド・サベリンを演じたのは、アンドリュー・ガーフィールド。ロバート・レッドフォードの「大いなる陰謀」(Lions for Lambs・2007・米)で生意気な大学生を演じていた人。「Dr.パルナサスの鏡」(The Imaginarium・2009・英/加/仏)では曲芸師アントンを演じていた。いずれともイメージの違う感じが、すばらしい。まだブレイクしていないから、イメージが固まっておらず、どんな役でも演じられるということなのかも。

 ナップスターを作って全米レコード協会から訴えられたショーン・パーカーを演じたのは、ジャスティン・ティンバーレイク。イン・シンクのリード・ボーカルの後ソロ・デビューし、最近は役者としても活動しているのだとか。成金の業界人的いやらしさがじつによく出ている演技で、役者として成功しそうな感じ。セックス依存症の女を更生させる「ブラック・スネーク・モーン」(Black Snake ・2006・)でも、女の恋人で軍に入隊する男を熱演していた。

 原作はベン・メズリック。「ラスベガスをぶっつぶせ」の原作者で、本作は企画の段階で映画化権を売り込んだと言う。これを脚本家のアーロン・ソーキンが気に入り、すぐに脚本に着手したらしいで、原作と脚本が同時進行という珍しいパターンになったんだとか。その脚本を今度はデヴィッド・フィンチャーが気に入り、映画化が決まったらしい。製作総指揮はあのケヴィン・スペイシー。

 脚本のアーロン・ソーキンは、軍の法廷劇「ア・フュー・グッドメン」(A Few Good Men・1992・米)、ニコール・キッドマンのサスペンス「冷たい月を抱く女」(Malice・1993・加/米)、恋に落ちた大統領みたいな「アメリカン・プレジデント」(The American President・1995・米)を書いた後、TVシリーズの「ザ・ホワイトハウス」を7期に渡り手掛け、この前にアフガニスタン戦争を終らせようとして9.11を引き起こしてしまった政治の裏話「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(Charlie Wilson's War・2007・米)を書いている。政治的なものに非常に興味があるらしい。いずれもなかなか面白い。

 監督はデヴィッド・フィンチャー。劇場長編映画のデビュー作は、たぶんシリーズ中最も面白くない銃を使わないアクションとして作った「エイリアン3」(Alien 3・1992・米)。その後「ファイト・クラブ」(Fight Club・1999・米/独)や「パニック・ルーム」(Panic Room・2002・米)などは話題になりショッキングで、かつ面白かったが、「ゾディアック」(Zodiac・2006・米)はなんだかちぐはぐな映画だったが、最近作「ベンジャミン・バトン数奇な人生」(The Curious Case of Benjamin Button ・2008・米)は感動的で驚異的で面白かった。全作を通じて、どれもだいたい画調はダークで、ちょっと黄ばんだような色調。本作も同じ。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日に確保しておいて、35分前くらいに到着したら劇場がまだ開館していなかった。コーヒーを飲みながら待っていると、30分前くらいに開いて場内へ。13〜14分前くらいに開場。すわってすぐケータイを取り出すヤツも。ロビーにいる時に電源を切るように指示した方が良いのでは。

 若い人は1/3くらい。やはり中高年メイン。女性も1/3くらい。半暗になって予告が始まっても、まだ続々と入ってくる。最終的には607席に4割りほどの入り。これは多いのか、少ないのか。話題作の割りには少ない気もする。

 ほぼ暗くなって始まった予告編で気になったのは……スクリーンが左右に広がってから「世界侵略:ロサンゼルス決戦」は、すごい迫力。雰囲気は「第9地区」に似ていた。面白そう。戦争映画+パニック映画で「インディペンデンス・デイ」的まとめ方というところか。

 左右マスクで「幸せの始まりは」はリース・ウィザースプーンのラブ・ストーリーらしい。なんとジャック・ニコルソンも出ている。「キューティ・ブロンド」の雰囲気か?「恋愛小説家」の雰囲気も。


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