The Town


2010年2月6日(日)「ザ・タウン」

THE TOWN・2010・米・2時間03分(IMDbでは125分)

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Panavision)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米R指定、日PG12指定)(一部デジタル上映)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/thetown/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ボストンの、犯罪の温床となっている地区では、銀行強盗が家業で、父から息子を引き継がれ、代々銀行強盗という家もあるという。ダグ(ベン・アフレック)、ジェム(ジェレミー・レナー)、アルバート(スレイン)、デズモンド(オーウェン・バーク)の4人も幼なじみで、花屋のボス、ファーギー(ピート・ポスルスウェイト)の命令で親の代から強盗をやっていた。ケンブリッジ銀行を襲ったとき、ジェムはカッとして副支店長に重傷を負わせてしまい、激しい銃撃戦の末、女性支店長のクレア(レベッカ・ホール)を人質にして逃走する。やがて解放されたクレアはFBIの特別捜査官フローリー(ジョン・ハム)から詳しい話を聞かれる。運転免許証からクレアの住所を知った一味はダグが監視役にするが、接近し過ぎてクレアから声をかけられ、コーヒーをごちそうすることに。それをきっかけに2人は次第に親しくなっていく……。

75点

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 気が滅入るような犯罪者のクライム・ムービーだが、そこから抜け出そうとしている男の話なので、ベクトルが外向きで、アクションも多く、衝撃はあるが後味はそれほど悪くない。良くできた物語。こんな環境に生まれなくて良かったと、つくづく思わされる。

 最初は単なる悪たちの物語かと思うのだが、見ていくうちに後ろで糸を引く黒幕がいることがわかり、やめるにやめられないのだとわかる。一緒に行動する仲間も、単なる仕事上の仲間ではなく、小さな時から一緒に育った幼なじみという強い絆で結ばれていることもわかってくる。そればかりか、自分の親までが黒幕と関係があったことがわかる。逃れるに逃れられない状況。自分だけ逃れれば、友達が犠牲になるかもしれない。こういう街からは出て行くことがまず第一なのだろう。しかも後を追えないようにして。

 同じ様な状況になった時、自分ならどうするだろうかと考えさせられる。ボスを裏切られるか。自分だけ逃げるか。選択肢はいくつかある。

 ダグ役のベン・アフレックは、監督、脚本も担当。劇場長編映画の監督としては、評価が高いのに日本劇場未公開の「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(Gone Baby Gone・2007・米)に次いで2作目。脚本家としては大ヒットした出世作「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(Good Will Hunting・1997・米)と「ゴーン・ベイビー・ゴーン」に次いで3本目。役者としては、最近ではスーパーマン役者の死の謎に迫った「ハリウッドランド」(Hollywoodland・2006・米)や「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」(Amokin' Aces・2006・英/仏/米)、「消されたヘッドライン」(State of Play・2009・米/英/仏)が良かった。酷い作品にも出ているが、やはり実力はある。使っていた銃はグロック、UMP、HK416、FNCカスタムなど。ただ、ラストの銃撃戦で、どうもAKとFNCが入れ替わったりしていたような気がするが……。TVのポリス・アクション・ファンという設定(言い訳)で、「CSI」や「ボーンズ」を見ているというのが良かった。

 暴力的な幼なじみのジェムはジェレミー・レナー。「S.W.A.T.」(S.W.A.T.・2003・米)で切れて裏切る男を演じて注目を集め、「ジェシー・ジェームズの暗殺」(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford・2007・米/加)でも危ない男を演じ「ハート・ロッカー」(The Hurt Locker・2008・米)では爆弾処理係を演じてアカデミー主演男優賞にノミネートされ、本作では助演男優賞にノミネートされている。怖い感じが素晴らしい。使っていた銃は、グロック、USPコンパクト、KG9(TEC-9)、ミニ・ウージー、M4A1カービン、AKなど。

 女性支店長のクレアはレベッカ・ホール。マジシャンの世界を描いたクリストファー・ノーランの「プレステージ」(The Prestige・2006・米/英)でクリスチャン・ベールの妻を、「フロスト×ニクソン」(Frost/Nixon・2008・米/英/仏)ではフロストにナンパされる女性を演じていた。また、見ていないが「それでも恋するバルセロナ」(Vicky Christina Barcelona・2008・西/米)でも、ハビエル・パルデムの相手の女性の1人を演じていた。

 彼らを追うFBIの特別捜査官フローリーはジョン・ハム。その雰囲気バッチリで、良く合っていた。主にTVで活躍していた人で、アメリカの広告業界を描いた「MAD MEN マッドメン」(2007〜)で主演。映画は残念だったリメイクSF「地球が静止する日」(The Day the Earth Stood Still・2008・米/加)に出ていたらしい。今後スクリーンでも活躍してくれそうだ。使っていた銃は、グロック、ポンプ・アクション・ショットガン。

 花屋のボス、ファーギーはピート・ポスルスウェイト。傑作ミステリーの「ユージュアル・サスペトツ」(The Usual Suspects・1995・米/独)でコバヤシを演じた人。「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(The Lost World: Jurassic Park・1997・米)ではデカイ銃を持って恐竜を捕獲する役。最近は残念なリメイク・アドベンチャー「タイタンの戦い」(Crash of the Titans・2010・米)や、傑作ミステリー「インセプション」(Inception・2010・米/英)に出ていた。この人は面構えからして怖い感じ。強面。使っていたのは1911オート。

 ゲスト出演的に、刑務所にいるダグの父を演じたのは、クリス・クーパー。強く印象に残ったのは実話に基づいた青春ドラマ「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)の厳しい父親役。人気スパイ・アクション「ボーン・アイデンティティー」(The Bourne Identity・2002・米/独/チェコ)や実話に基づきスパイ映画「アメリカを売った男」(Breach・2007・米)でも陰気なイメージで、実にじわーっと怖い感じがうまい人。本作でもそれが効いている。

 原作はチャック・ホーガンの「強盗こそわが宿命」(ヴィレッジブックス刊)。ベン・アフレック以外の脚本は、ピーター・クレイグとアーロン・ストッカード。ピーター・クレイグは役者でもあり、脚本は本作が初めてのよう。アーロン・ストッカードはベン・アフレックの監督第1作目「ゴーン・ベイビー・ゴーン」の脚本を書いている。「晴れた日には誰かが死ぬ」かあ。

 ほかに登場した銃器は、撃たないがベレッタM92、MP5、SG551か552、P228、など。コピー防止のドットが所々気になった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて、30分前くらい到着。15分前くらいに開場し場内へ。かなり高齢者が多い感じで、若い人は1〜2割り程度。女性は中年くらいが多かった。男女比は6対4で男性の方がやや多い。遅れて入ってくるヤツは若い男性が多かった気がする。最終的には157席に8割りくらいの入り。ただ遅れてくるヤツが多く閉口した。

 気になった予告編は……どうしてもロス上空にUFOが現れて迎撃したというナレーションに被る映像がドイツ軍のように見えて気になった「世界侵略:ロサンゼルス決戦」。具体的な内容はわからないが、面白そうだった。

 クリスチャン・ベールとマーク・ウォールバーグが共演する上下マスクの「ザ・ファイター」は、実話に基づくストーリーのようで、具体的な内容はわからないが面白そうではあった。ただタイトルは早く出して欲しい。

 スクリーンが左右に広がって、精神病院に入れられた女の子が、頭の中では自由でいられるというので、想像の世界で男達と戦うというような内容らしいアクション「エンジェル・ウォーズ」は、セーラー服の女の子が日本刀を背中に背負って、日本のお寺のようなところで、ちょっとだけ日本人っぽいスコット・グレンから指令を受ける。絵作りが凝っているなあと思ったら、「300」の監督、ザック・スナイダーがメガホンを取ったらしい。予告では期待できそうだったが……。とにかくタイトルは早く出してよ。


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