Tangled


2010年3月19日(土)「塔の上のラプンツェル」

TANGLED・2011・米・1時間41分(IMDbでは米版100分)

日本語字幕(オレンジ色):手書き風書体、松浦美奈/ビスタ・サイズ(デジタル、3D)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(デジタル、3D、IMAX上映もあり)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/tounoue/
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

昔、流れ星が落ちたところに黄金に輝く魔法の花が咲き、それは前の状態に戻してくれる力を持っていると言われたが、近くに住む老婆ゴーテル(声:ドナ・マーフィ)がそれを見つけ、自分を若返らせることに成功し、花を独占するため隠してしまった。そんな時、お城の王と女王に子供ができるが、出産直前で女王が病にかかってしまう。女王と赤ちゃんを救うため、総出で魔法の花探しが行われ、ついに兵士がそれを発見、持ち帰る。花の癒しの力で女王は助かり、金髪の女の子ラプンツェルを生む。すると赤ちゃんの髪は黄金に輝き、魔法の花と同じ癒しの力を持っていた。その噂を聞きつけた老婆ゴーテルは、若返るため赤ちゃんの髪を切って持ち帰ろうとするが、魔法の髪は切ると茶色になり魔法の力を失ってしまうのだった。そこでゴーテルは赤ちゃんをさらい、秘密の場所に高い塔を立て、ラプンツェルを幽閉してしまった。18年後、若いままのゴーテルを母と思って美しい娘に成長したラプンツェル(声:マンディ・ムーア)は、毎年自分の誕生日になると夜空いっぱいにランタンが飛ばされるのを見て、それを間近で見たいと言い出す。しかし外の世界は危険でいっぱいだからダメだとゴーテルに反対される。そこへ、お城から王冠を盗んだ泥棒のフリン・ライダー(声:ザカリー・リーヴァイ)が追手を振りきって逃げ込んでくる。

86点

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 堂々のディズニー・ファンタジー。往年の王道のディズニー・アニーションをてらうことなく、気後れせず、しっかりと見せてくれる。日本中が落ち込んでいるような時にこそ見るべき映画。元気が沸いてくる。ちょっと水に飲み込まれるシーンがあるが、津波ではないのでとやかく言うほどのことはないだろう。気になる人は時間を置いてから見ればいい。

 とにかく主人公が美男と美女。おとぎ話はこうでなくっちゃ。自分の理想の姿に重ねて感情移入して見ることができる。かわいくて、性格も良い。特にラプンツェルは18年間近く幽閉の身でありながら、素直に、まっすぐ育っていて、人を疑うことをしない。ただ外の世界は怖いと信じ込まされているので、外に対してだけが用心深いが。自分の境遇を受け入れ、前向きに明るく元気に生きている。その点でリアルさはないかもしれないが、これはおとぎ話だ。

 擬人化された動物などが受け入れない人にはダメかもしれない。知性のあるフロッグと呼ばれるカメレオンのパスカルとか、乗り手より利口な馬、マキシマスとか。しかし、どちらも重要な役で、こんなカメレオンがいなかったら、リアルではラプンツェルは正気を失っていたのではないだろうか。あるいは、他の人には見えない心のお友達のパスカルを作り上げていただろう。最初、パスカルはそういう役かと思ったら、ディズニーでは実際に存在する。皆が見えて、当たり前のものとして対応する。良かった、架空じゃないんだ。そして気の良い盗賊、荒くれども。もちろん、徹底的に悪いスタビントン兄弟や、魔女のようなゴーテルもいる。

 年ごろの娘を厳しく拘束する母と、大人へと成長していく娘の巣立ちを軸に、恋愛、親子愛、友情などを盛り込んで、しっかりとまとめて見せてくれる。途中歌も入るので、ミュージカルが苦手という人もダメかもしれない。おとぎ話なんだから、歌とダンス・シーンは付きものなのだ。そしてダンス・シーンは西部劇の乱闘シーンに相当する。なくてはならないもの。

 とくに傑作なキャラクターが、酒場にいた天使のカッコをしたジーサン。笑わせてくれる。しかも天使のコスチュームがピッタリ。白馬のマキシマスもなかなかいい味を出していた。

 ラプンツェルの声はマンディ・ムーア。ちょっと残念だったアン・ハサウェイの「プリティ・プリンセス」(The Princess Diaries・2001・米)に出ていた人で、実写の動物スポ根「レーシング・ストライブス」(Racing Stripes・2004・米)では、超有名俳優に混じって声の出演をしていた。本作では、ぴったりとキャラクターにハマっていた気がする。

 二枚目の盗賊、フリン・ライダーの声はザカリー・リーヴァイ。アメリカで人気のコミカル・スパイ・アクションTV「CHUCK/チャック」(Chuck・2007〜2011)で主人公を演じている人。本当にハンサム。日本では劇場未公開となってしまった「アルビン/歌うシマリス3兄弟」(Alvin and the Chipmunks・2007・米)の続編で実写出演しているらしい。

 老婆ゴーテルの声はドナ・マーフィ。声優は初挑戦のようで、だいたいは奥さん役とかママの役が多い人。なかなか面白かった「私がクマにキレた理由(わけ)」(The Nanny Diaries・2007・米)ではスカーレット・ヨハンソンのママ役、「スパイーマン2」(Spider-man 2・2004・米)ではオクタビアスの奥さんを演じていた。残念だった「スター・トレック 叛乱」(Star Trek: Insurrection・1998・米)で美人のバクー人を演じていたのではなかったか。

 有名な人では、「ヘルボーイ」(Hellboy・2004・米)の怪優ロン・パールマンがスタビントン兄弟の声をやっている。また酒場にいる盗賊の1人バルドは「007」のジョーズを演じたリチャード・キール。

 製作総指揮にはピクサーの顔、「トイ・ストーリー」(Toy Story・1995・米)の監督ジョン・ラセター。原作はグリム童話で、脚本はダン・フォーゲルマン。ジョン・ラセターらとともに「カーズ」(Cars・2006・米)を書いた1人だ。見ていないが犬が主人公のアニメ「ボルト」(Bolt・2008・米)も書いているらしい。

 監督はネイサン・グレノとバイロン・ハワードの2人。ネイサン・グレノは「ボルト」のストーリー部門のヘッドをやり、「ボルト」のブルーレイ&DVDに収録された短編映画「ライノ!」で監督デビュー、本作へ至るらしい。バイロン・ハワードはアニメーター出身で、監督デビュー作は「ボルト」。それでネイサン・グレノと一緒にやることになったのだろう。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日に確保しておいて、35分前くらいに到着。エレベーターが小さいので人が少なくても、すぐ列ができる。上にあがってもロビーが小さく混んでいる。アニメ作品が多数公開されているので、若い男性でアニメ・ファンらしい人たちが非常に多い。大混雑。上映が始まったら一気に減った。

 15分前くらいに開場となり場内へ。ここは液晶式の3D眼鏡。ただ差額は300円なのでまあリーズナブルか。字幕版なのに幼稚園くらいの子供もいた。中高年まで幅広い。男女比は4対6で女性が多かった。最終的には149席に9割りくらいの入り。大地震の後なので良く入った方だろう。楽しく元気が出るので、落ち込み気味などの時にも良いと思う。

 それにしても、席に付くやケータイのメールをチェックするヤツの多いこと。ロビーで切っとけ。終わると明るくなる前にすぐ点灯させるし。

 気になった予告編は……「カーズ2」はピクサー作品だし、本作もできが良いことから期待が持てそう。やはり3D上映らしい。日本も舞台の1つになっているらしい。面白そう。

 それに引き換え、ロバート・ゼメキスはまだ同じ様なことをやっている。上下マスクの「少年マイロの火星冒険記3D」どう見ても人間が不自然。不気味というか違和感ありあり。まったく見る気が起きない。

 3Dめがねを掛けてから上下マスクの「ガリバー旅行記」。微妙だが、絵は凄い。

 「攻殻機動隊SSS 3D」は、やはり絵が素晴らしい。混むんだろうなあ。

 ボールがはねるドルビー・デジタル7.1チャンネルのデモの後、本編へ。


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