Gulliver's Travels


2010年4月16日(土)「ガリバー旅行記」

GULLIVER'S TRAVELS・2010・米・1時間25分

日本語字幕:丸ゴシック体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(Panavision、Genesis HD、フィルム&デジタル)/ドルビー・デジタル、dts(IMDbではドルビー7.1サラウンドも)

(米PG指定)(3D版・2D版、字幕版・日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://movies2.foxjapan.com/gulliver/
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

ニューヨークのある新聞社のメール係レミュエル・ガリバー(ジャック・ブラック)は、10年も同じ仕事をしていたが、憧れの女性編集者ダーシー(アマンダ・ピート)には、身分が違うとずっと声も掛けられなかった。しかし、新人がメール室に配属され、その日のうちに室長となり自分のボスになったことに刺激を受け、ダーシーに声をかけ、ついあちこち旅行していると嘘を着いてしまう。旅行記もつけていると言うと、ぜひ読ませて欲しいということになり、困ったガリバーはインーネットで他人の原稿をコピーして渡す。それを読んだダーシーはちょうどバミューダの旅行記事が必要なので書いて欲しいと、チケットを渡す。引けなくなったガリバーはバミューダへ行き、ボートで沖へ出るが、嵐に巻き込まれ、小人の国リリパットに流れ着く。

65点

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 なんたる映画。空疎。何もない。子供だましなのか、悪ふざけなのか。だから3D上映にしたのだろうか。しかも、付け足し3Dのようで、感覚的には3Dになっているのは1/3くらいで、あとは2D。しかも3Dでもあまり立体感なしで、立体感が必要なシーンがあるとも思えない。ほかに見どころがないのだから仕方がないのかもしれないが、これで差額700円(トータル2,000円!)も取られるのはちっとも納得できない。2Dで見ても残念な内容だが。

 まずは脚本に問題あり。これを採用したプロデューサーにも問題ありだろう。志が低いのかもしれない。と思ってスタッフを見ると主演のジャック・ブラックがプロデューサーの1人、というか筆頭か。自作自演? これじゃ、誰も意見できないのでは。

 構成はよくあるパターンが詰め込まれ、新鮮味はないもののうまく作れば必ず平均点はとれるような内容。なのに、設定がよろしくなく、1つ1つのエピソードも良くない。エリート社員と最下級写真の恋。引っ込み思案のベテラン社員と、積極的な若手社員。怪奇現象を起こすバミューダ・トライアングル。小人の世界と巨人の世界。いがみ合う2つの国。美しい姫に、いけ好かない婚約者の将軍。姫にひそかに思いを寄せる身分の低い商人の青年……etc.  ああ、もったいない。

 とにかく主人公のキャラクターがダメ。嘘つきで見栄っ張りで、気取り屋で……観客の許容度を超えている。とても感情移入できない。度がすぎる。ちょっとくらいそういう傾向があって、それに気付いて改めるというのなら(よくあるパターンだが)応援できる。しかし、まったく観客がついていけないのでは……。

 それを演じたのがジャック・ブラック。オタッキーなヤツとか変人のような役が多い人。役者をやる傍らミュージシャンとしても活躍。本作でもその片鱗を披露している。注目されたのはジョン・キューザック主演の「ハイ・フィデリティ」(High Fidelity・2000・英/米)あたりから。続く「愛しのローズマリー」(Shallow Hal・2001・米/独)ではほぼ主役。そして音楽ドラマ「スクール・オブ・ロック」(The School of Lock・2003・米/独)で大ブレイク。エキセントリックだが許容できる範囲で、ちゃんとドラマと笑いがある作品。あれをちゃんと研究・踏襲していれば。最近良かったのは「トロピックサンダー/史上最低の作戦」(Tropic Thunder・2008・米/英/独)くらいか。最近は不調。

 あこがれの女性編集者ダーシーはアマンダ・ピート。ブルース・ウィリスのアクション・コメディ「隣のヒットマン」(The Whole Nine Yards・2000・米)で殺し屋を演じて注目された人。大どんでん返しミステリー「“アイデンティティ”」(Identity・2003・米)も良かった。最近だと「2012」(2012・2009・米/加)だろうか。

 リリパットのメアリー王女はエミリー・ブラント。「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada・2006・米)の先輩秘書役を好演。ほかに「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(Charlie Wilson's War・2007・米/独)や「ヴィクトリア女王 世紀の愛」(The Young Victoria・2009・英/米)などがあり、つい最近、往年の名作のリメイクで残念だった「ウルフマン」(The Wolfman・2010・米)に出ていた。演技うんぬんでなく、キャラクターとしてリアリティ・ゼロ。バカにしか見えない。

 父王セオドアはビリー・コノリー。「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米)でトム・クルーズの部下で一緒に日本に来た下士官を演じていた人。つい最近、小劇場の公開だった「処刑人II」(The Boondock SaintsII: All Saints Day・2009・米)に殺し屋役で出ていた。

 問題の脚本はジョー・スティルマンとニコラス・ストーラーの2人。ジョー・スティルマンはボク的にはまったくピンと来なかった。「シュレック」(Shrek・2001・米)とその続編の脚本を手掛けた人。ニコラス・ストーラーは「ディック&ジェーン 復讐は最高!」(・2005・)や「イエスマン“YES”は人生のパスワード」(Yes Man・2008・米/豪)の脚本を書き、「寝取られ男のラブ♂バカンス」(・2008・)を監督した人。「寝取られ男の……」では本作で姫にあこがれる平民のホレイショーを演じたジェイソン・シーゲルと仕事をしている。

 こちらも問題ありと思われる監督はロブ・レターマン。もとはアニメの人で、有名人がゾロゾロと声の出演をとしている「シャーク・テイル」(Shark Tale・2004・米)と、見ていないが3D上映の「モンスターVSエイリアン」(Monster vs Aliens・2009・米)の脚本・監督を手掛けている。うーん、実写は向いていなかったのだろうか。

 笑いがほとんどなく、あっても苦笑と言うのでは……。これは文化とか習慣の違いと言うものではないと思う。

 使っていたパソコンはMacノート。そしてiPhone。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日に確保しておいて、45分前くらいに着いたらまだ劇場が開いていなかった。40分前くらいに開いて場内へ。コーヒーを飲みながら待っていると、15分前くらいに開場。

 ほぼ中高年男性で、女性は2割りほど。小学生くらいの子供が2人。最終的には127席に3.5割りくらいは上出来か。

 気になった予告編は……アニメの「戦国BASARA劇場版」は、どうみても時代物には見えない絵だが、なかなか面白そうな雰囲気。ネオ時代劇なんだろうか。まちがいなくマニアが殺到するだろう。

 上下マスクの「パイレーツ・オブ・カリビアン/命の泉」は新予告に。冒険満載という感じで、面白そう。

 スクリーンが左右に広がって、「X-MENファースト・ジェネレーション」はチャールズとエリックの若い日を描くらしい。これまたとても面白そう。

 「カンフー・パンダ2」は日本語吹替での予告。また3D上映らしい。いいかげん止めて欲しい。上野にパンダが来たことから盛り上がりそうだが、ハート2は1を超えられないというのが定説。はたして……。


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