GANTZ PERFECT ANSWER


2010年4月24日(日)「GANTZ PERFECT ANSWER」

2011・日本テレビ放送網/集英社/東宝/ジェイ・ストーム/ホリプロ/バップ/読売テレビ放送/読売新聞/日活 STV・MMT・SDT・CTV・HTV・FBS・2時間42分(allcinemaでは141分)

ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル

(日PG12指定)

公式サイト
http://www.gantz-movie.com/perfect-answer/
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

5カ月前、地下鉄での人命救助で消えた男の事件や、国立博物館大損壊の事件で、現場をうろつく男、重田正光(山田孝之)がいた。重田は謎の黒服軍団に手がかりをもらいながら、その不可思議な事件を調べていたのだ。そして人気モデル鮎川映莉子(伊藤歩)のもとに、小さな黒い球が現れ、4つの鍵(人物)を渡せという指令が浮かび上がる。鮎川はおびえながらも指示に従い、1人ずつ事故に見せかけて殺し、GANTZのある部屋へ送り込む。一方、生き残った玄野計(くろのけい、二宮和也)は、死んだ加藤の弟、歩(あゆむ、千阪健介)の面倒を、自分を慕ってくれる漫画家志望の同級生、小島多恵(吉高由里子)とともにみていた。そして、また玄野はGANTZの呼び出しを受け、黒服星人を倒すため地下鉄内に転送されるが、一般人がいてその戦いに巻き込まれ、多数の犠牲者が出る。

75点

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 やっばり変な宣言をして、自らハードルをあげない方が良いということがよくわかった。高い目標を掲げ、それに向かって精進することは良いことだが、あくまでもそれは心の中の問題。宣言して自分を追い込むということもあるのかもしれないが、特に映画の場合は失敗する。「パーフェクト・アンサー」って……。しかも全部英語だし。

 ほとんどアクション主体でドラマを語っていくというのは、素晴らしいと思う。そのアクションも実に切れがあり、テンポよく、迫力もあって思わず見ているこちらも力が入ってしまうほど。地下鉄の電車内の天井に張り付いて下にいるやつと戦うなど、どうやって撮影したのかわからないような超絶カットもある。ドラマをやたらにセリフで語らせない演出は見事だと思う。ハリウッド並みのSFアクションに仕上がっているのではないだろうか。ただ、タイトルでハードルが上がっているから、観客はその先まで期待してしまう。本当はこれで余韻を持たせて終わって満足なはずなのに。

 そして、感情が今ひとつ伝わってこない。原作通りかもしれないが、エピソードが足りないのか、不適切なのか、ラストせっかくの泣かせるシーンも泣けない。それに、あれだけ死んだ妻を蘇らせたがっている田口トモロヲ演じる鈴木さんが、100点になって最初に生き返らせるのが、奥さんじゃなくて加藤って!どうも納得できない。

 パーフェクト・アンサーなのにいくつか疑問は残った。そもそもGANTZとは何なのか。どこからきたのか。いつからあるのか。なぜ人間を○○星人と戦わせるのか。そしてなぜ採点するのか。なぜ死者を呼び寄せることができるのか。なぜ人間を蘇らせることができるのか。そして敵は同じ種族の星人なのか。なぜ星人と戦っているのか。GANTZに入って入る人間らしいヤツは誰なのか……。???だらけ。結局、考えるに、パーフェクト・アンサーとは主人公の玄野計にとっての最終的な結論ということなんだろう。そう考えればこの結末とタイトルのつながりは納得できなくはない。

 出演者の多くは前作から続投。前作であまり目立たなかった小島多恵役の吉高由里子は、本作ではまあ出番が多くなっている。が、結局足を引っ張る存在となってしまっているのは残念。才人クァク・ジェヨン監督の「僕の彼女はサイボーグ」(2008・日)にも出ていたらしい。ほかに映画では「重力ピエロ」(2009・日)に出ていたのだとか。

 今回ひときわ目立っているのが、人気モデル鮎川映莉子役の伊藤歩。「遠くの空に消えた」(2007・日)で女先生を演じていた人。大きな役ではないけれど印象に残っていたので、本作で重要な役を演じるのも納得。もっと出ていても良いくらい。

 なぜか事件を調べている刑事、重田正光役は山田孝之。「電車男」(2005・日)でブレイクした感じがあるが、そのイメージを嫌うかのように最近やたら硬派系というか暴力的なイヤな役が多い。「クローズZERO」(2007・日)、「MW-ムウ-」(2009・日)、「十三人の刺客」(2010・日)など。「舞妓Haaaan!!」(2007・日)や「鴨川ホルモー」(2009・日)もあるのに、悪い役の方が印象が強い。使っていた銃はS&Wのチーフか。しかし今どきカップ・アンド・ソーサーなんて構えはないだろう。

 謎の黒服星人のリーダーは綾野剛。今風のキレ系若者という感じが素晴らしい。もとは、若手俳優の登竜門的「仮面ライダー」。「クローズZEROII」(2009・日)や、「TAJOMARU」(2009・日)の盗賊・猿役で出ていた。部下たちはほとんどグロックG18。GMが少し。

 スタッフも前作から続投。とにかく素晴らしいのは監督の佐藤信介だろう。「修羅雪姫」(2001・日)で釈由美子をりっぱなアクション女優に見せてしまった手腕はまだまだ健在。てっきりドニー・イェンの手腕かと思っていたら、もちろんそれもあるが、本作のアクション監督は下村勇二。「修羅雪姫」ではスタント・コーディネーターだった。ほかに忍者映画「SHINOBI」(2005・日)や「どろろ」(2007・日)を手掛けている。もちろん上手い人だろうが、やはり演出との絡みが大きいわけで、やはり全体的なルックを決めるのは監督だろう。今後にも大いに期待したい。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて40分前くらいに着いたら劇場がまだ開いていなかった。なぜか40〜50人くらいの列。ほとんど中学くらいの女子が中心。そういう作品が公開になるのか、劇場前売り券が発売になるのか。まもなく劇場が開いて場内へ。

 コーヒーを飲みながら待っていると15分前くらいに開場。開場を知らせるアナウンスが聞き取れなかったが、どうもロビーが人でごった返していたせいらしい。トイレにいったら良く聞き取れた。やはり女子が多いとぺちゃくちゃと騒がしいということか。

 観客層は、下は小学生くらいから、上は中高年までいたが、ほとんどメインは若い女子。長蛇の列はこの作品か。男女比は3.5対6.5くらいで女子が倍くらい。ハード・アクションなのにニノと松山人気かなあ。最終的には607席に7割〜8割くらいの入り。まあまあというところか。遅れて入ってくるヤツが多く(暗くなっているものだから、携帯を懐中電灯代わりに煌々と照らしているヤツまで!)、最終的な入り具合は良くわからなかった。その上、隣にいた女子のグループは(1人だとおとなしいのに)ぺちゃくちゃと、本編が始まってもまだしゃべってるし……。マナーなんて言葉、彼ら(彼女ら)にはないのだろう。

 気になった予告編は……「さや侍」は新予告に。これまでは正統派の時代劇のような予告だったが、やはり松本人志、病気で笑わない殿様を笑わせるコンテストの話らしい。

 まあ、あきれるほどにタイトルが出ない予告が多く、最後に短く出るだけじゃ覚えられないって……これまたタイトルがわからなくて困った上下マスク「うさぎドロップ」は人気コミックの映画化らしい。隠し子がどうとか。松山ケンイチと、天才子役芦田愛菜ちゃんの共演。「MONDAYマンデイ」のSABU監督なので期待できるかも。

 「DOG & POLICE」は警察犬の話らしいが、戸田恵梨香と市原隼人のビデオ・メッセージでの予告。地震の影響で遅れているらしい。公式サイトもまだない模様。


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