Red Riding Hood


2010年6月11日(土)「赤ずきん」

RED RIDING HOOD・2011・米/加・2時間00分(IMDbでは100分)

日本語字幕:手書き風書体下、佐藤恵子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、DATASATデジタル・サウンド、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル、dts、SDDS)

(米PG-13指定)(デジタル上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/redridinghood/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

昔から、狼に襲われないよう、満月の夜に豚をいけにえとして捧げ、外出しないようにして暮してきた山奥の小さな村。ヴァレリー(アマンダ・サイフリッド)は幼なじみのピーター(シャイロー・フェルナンデス)とともに育ち、やがてお互い魅かれあうようになる。ところが父セザール(ビリー・バーク)と母スゼット(バージニア・マドセン)は娘の将来を考え、裕福な鍛冶屋の息子ヘンリー(マックス・アイアンズ)を婚約者に選ぶ。そんなとき、ヴァレリーの姉が満月の夜に外出して惨殺される。狼が掟を破ったと、村の男達は狼の巣があるという洞窟へ狩に向かうが……。

72点

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 IMDbで4.9という低評価。でも面白かった。おとぎ話の「赤ずきんちゃん」を大人向けのファンタジー、そしてホラーとして描くとこんな感じになるのではないだろうか。中世くらいの時代、魔物がいて、騎士がいて、魔法があった時代。この雰囲気が良い。そして、冬のモノトーンの風景の中に血のように鮮やかな真っ赤な「赤ずきん」の美しさ。たぶんこの絵を撮りたくて撮ったのではと思いたくなるほど。

 ただ、雰囲気が「トワイライト〜初恋〜」(Twilight・2008・米)にそっくり……と思ったら、同じ監督、キャサリン・ハードウィックの作品だった。うむむ……でも、1作目はそこそこ良かったと思う。だから話題になったのだし。

 考えて見ると、物語の構造も、構成も、展開も、ほとんど同じではないか。俯瞰ショットや空撮も多用してるし(それが持ち味ということなのだが、印象が同じだと)。主人公の相手役の男がちょっとワル風なのまで一緒。それにライバルの優男がからんでくると。この辺で評価されなかったのかも。それさえなければ、悪くはないのに。

 狼の皮をかぶったヴァンパイアか。確かに、このまま人狼をヴァンパイアに置き換えても成立してしまう。というか。その方向に持っていっているような気はする。迫力があるし、なかなか怖いが、人狼の登場の仕方も同じだもんなあ。それを感じずに「赤ずきんちゃん」として見れれば楽しめるはず。それに何より、主演のアマンダ・サイフリッドがきれい。

 ヴァレリーを演じたアマンダ・サイフリッドはABBAの曲をフィーチャーしたミュージカル映画「マンマ・ミーア!」(Manma Mia !・2008・米/英/独)で注目された人。それまでは「ヴェロニカ・マーズ」などTVがメインだった模様。その後ガンガン映画に出ていて、ミーガン・フォックスのホラー「ジェニファーズ・ボディ」(Jennifer's Body・2009・米)や感動ドラマ「ジュリエットからの手紙」(Letters to Juliet・2010・米)に出ている。本作も良い感じで、今後が楽しみな女優。

 父セザールはビリー・バーク。キャサリン・ハードウィック監督の「トワイライト〜初恋〜」に主人公の父親役で出ていた人で、モーガン・フリーマンのサスペンス「スパイダー」(Along Came a Spider・2001・米/独/加)や消防士の活躍を描いた「炎のメモリアル」(Ladder 49・2004・米)にも出ていた。前半セリフもほとんどなく、存在感なさ過ぎと思っていたら、そういうことだったか。独特の味を持っていていい感じなんだけど。

 母スゼットはバージニア・マドセン。1980年代から活躍している人で、いろんな作品に出ている。ちょっとホラー系が多いか。ちょっと前のホラー「キャンディマン」(Candyman・1992・米)、大作法廷ドラマ「レインメーカー」(The Rainmaker・1997・米)、ヤン・デ・ボン監督の残念なホラー「ホーンティング」(The Haunting・1999・米)、最近だとハリソン・フォードのサスペンス・アクション「ファイヤーウォール」(Firewall・2006・米/豪)や、実話のホラー「エクトプラズム 怨霊の棲む家」(The Haunting in Connecticut・2009・米/加)などに出ている。最近はお母さん役というイメージ。この人もうまい。

 良い人なのか悪い人なのか良くわからないソロモン神父はゲーリー・オールドマン。悪役の代表格みたいな人で、レナ・オリンが光っていたクライム・アクション「蜘蛛女」(Romeo Is Breeding・1993・英/米)やリュック・ベッソンの美少女アクション「レオン」(Leon・1994・米)の悪役が特に良かった。超大作「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(Harry Potter and the Prisoner of Azkaban・2004・英/米)や傑作バットマン映画「ダークナイト」(The Dark Knight・2008・米/英)ではイメージを逆手に取ったような良い役だが、SFアクション「ザ・ウォーカー」(The Book of Eli・2010・米)ではやっぱり憎たらしい悪役を好演。日本映画の「レイン・フォール/雨の牙」(2008・日)にもCIA役で出ている。

 ソロモン神父を呼ぶ若い村のオーガスト神父はルーカス・ハース。こんな気弱そうな役がぴったり。ハリソン・フォードのミステリー「刑事ジョン・ブック/目撃者」(The Witness・1985・米)で目撃者の少年を演じていた人。ティム・バートン監督の大作SFコメディ「マーズ・アタック!」(Mars Attacks !・1996・米)などのあとあまり作品に恵まれないようで、TVに出ていて最近、クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」(Inception・2011・米/英)で久しぶりにスクリーンで見た感じ。

 おばあちゃんを演じたのは、1960年代から活躍しているベテランのジュリー・クリスティ。ロシア革命を描いたデビッド・リーン監督の大作「ドクトル・ジバゴ」(Doctor Zhivago・1965・米/伊)、フランソワ・トリュフォー監督の傑作SF「華氏451」(Fahrenheit 451・1966・英)、泣かせるウォーレン・ベイティのリメイク・ファンタジー「天国から来たチャンピオン」(Heaven Can Wait・1978・米)などでヒロインを務めてきた人だ。ショーン・コネリーがドラゴンの声を担当したアクション・ファンタジー「ドラゴンハート」(DragonHeart・1996・米)では女王を演じている。最近ではピーター・パン誕生秘話の「ネバーランド」(Finding Neverland・2004・米/英)や歴史アクション「トロイ」(Troy・2004・米ほか)に出ている。

 ヴァレリーの女友達、プルーデンスとローズを演じた女優もきれいだった。プルーデンスはケイシー・ロール。これまではTVで活躍していたようで、本作以降映画に出るようになったようだ。ローズはカルメン・ラヴィーニュ。やっぱりTVに出ていて、本作以外では「ウォッチメン」(Watchmen・2009・)にも出ている。2人とも今後注目かも。

 脚本はデヴィッド・レスリー・ジョンソン。後味の悪い映画ベスト10に入るホラー「エスター」(Orphan・2009・)の脚本を書いた人。2本目が本作だ。本作は悪くないと思うが、どうなんだろう。次作はかなり残念だったリメイク「タイタイの戦い」(Crash of the Titans・2010・米)の続編なんだとか。コケた作品だと思うが、なぜ。

 監督はキャサリン・ハードウィック。「トワイライト〜初恋〜」の監督で、「サーティーン あの頃欲しかった愛のこと」(Thirteen・2003・米)や「ロード・オブ・ドッグタウン」(Lords of Dogtown・2005・米/独)、「マリア」(Maria・2006・米)を撮っているがどれも見ていない。監督の前はプロデクション・デザイナーをやっていたらしい。このあとの作品で評価が固まってくるのかも。

 金曜初日で、公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定。金曜に確保しておいて、20分前くらいに着いたら、なにやら長蛇の列。ほとんど若い女性ばかりで、どうしたのだろうと思ったら、「神さまのカルテ」の前売り券が発売されたらしい。しかし、10〜15分くらいで特典が無くなったとアナウンスしていた。15分前くらいに開場となって場内へ。

 観客層はほとんど中高年。男女比は4対6くらいで女性の方が多かった。最終的には115席の4割りくらいの入り。これではちょっときついかも。

 気になった予告編は……少し上下マスクの「三銃士」はポール・W・S・アンダーソン監督で、そうなれば当然ミラ・ジョヴォヴィッチで、ミレディ役。バッキンガム公がオーランド・ブルーム。すごいアクションで、なかなか面白そう。リュック・ベッソンじゃないし。ただ、また3Dなんだ。止めて欲しいなあ。

 少女の殺し屋と言う設定のシリアス・アクションは上下マスクの「ハンナ」。「ラブリー・ボーン」の少女がこんなに激しいアクションをこなすとは。ちょっと「レオン」が入っているのかも。PPKやP08とは。CIAの失敗作? 男はエリック・バナで、女はケイト・ブランシェット。すごそう。

 上下マスクの「スーパーエイト」はスピルバーグが製作で、J.J.エイブラムスが監督だが、スピルバーグ監督っぽい雰囲気たっぷり。「未知との遭遇」っぽいのか。

 上下マスクの「ロシアン・ルーレット」は予想どおり「13/ザメッティ」のハリウッド・リメイクらしい。ただし、同じ監督によるセルフ・リメイクで、それってどうなんだろう。暗い話だからなあ。ジェイソン・ステイサムが出ているのか救いかも。

 上下マスクの「ハリー・ポッターと死の秘宝Part 2」は、どうにも「俺様」が気になった。いまどき、ねえ。同も翻訳本に合わせたらしいが、それで本当に良いのか。そして3D上映と。

 明るいうちにビデオ画質で上下マスク「ロスト・アイズ」の予告。面白そうなのだが、小劇場での公開。お金を払う気になれない。DVDストレートの予定だったのか。悲しい。

 スクリーンが左右に広がって本編の上映。まだまだ入ってくる。一体なぜ?


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