13


2010年6月18日(土)「ロシアン・ルーレット」

13・2010(エンドロールでは2009)・米・1時間37分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、川又勝利/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー・デジタル

(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
http://www.russian-roulette.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

オハイオ州の電気技師見習いのヴィンス(サム・ライリー)は、電気技師の父が怪我をして入院したことから、家族の家を抵当に入れどうにか治療費を払いながら家族を支えていた。そんなとき、電気工事で出入りしていたお屋敷で、家主のハリソンがちょっとヤバイが大金が手に入る仕事をしようとしている話を立ち聞きしてしまう。ところがおびえた様子の家主がビビッて麻薬を打ち、それが原因で急死してしまう。ヴィンスはそのヤバい仕事が書かれた封筒を盗み、ハリソンの振りをして封筒の指示に従い目的地に向かう。そして、ハリソンの家を見張っていた謎の男達はヴィンスの後を追う。同じ頃、高級車に乗った男、ジャスパー(ジェイソン・ステイサム)が重病で入院中の兄ロナルド(レイ・ウィンストン)を病院から連れ出す。またメキシコでは刑務所長が囚人のジェファーソン(ミッキー・ローク)を殴って箱に押し込み、どこかへ連れ出す。

73点

1つ前へ一覧へ次へ
 オリジナル版「13/ザメッティ」(13 tzameti・2005・仏)とほとんど同じ内容、展開。カラーになったものの、まったく同じに作る理由は何なんだろう。ハリウッドで撮りたかっただけ? ハリウッドだから結末は変えてくるかと思ったら、そんなことはなかった。よくできているが、実に居心地悪い、息の詰まるような映画。お金を払って見る価値があるのかは微妙。この後味の悪さ。スターのジェイソン・ステイサムやミッキー・ロークの存在が救いかも。女優さんも皆きれいだし。

 まず前提からにっちもさっちもいかない八方塞がりのような状態。家は貧しく、父は入院し、家は抵当に入り、一家を支える自分には正式な電気技師の資格がない。妹だか姉だかの幼い娘の誕生祝いも、ささやかながらやっとできる状態。金がなければ悪いことが起きそうな雰囲気たっぷり。これだけで息が詰まり、うんざりな気分になる。だから封筒を盗んでしまうわけだが、明らかに犯罪で、観客としては、気持ちはわかるが、付いていけない。それでヤバい状況に追い込まれるわけだから、つまりは自業自得でもある。

 そして最も息が詰まるのが、恐ろしいロシアン・ルーレット。リアルで、進行役の男がヒステリックに叫ぶのも、すりガラスを引っかくような不快感、そしてどうにもならない焦燥感をあおり立てる。ただ、オリジナル版同様、いつ弾が出るかわからなくするためのシリンダーを回す所で嘘がある。一部のカットはちゃんとハンマーを少しだけ指で引いているが、多くのカットはただ手で持ってシリンダーを回している。実際あんなことはできない。たしかオリジナル版ではすべて空回りする細工がされていたのではなかったか。

 使われていた銃は当然リボルバーのみ。オリジナル版とほとんど同様だった気がする。ハリウッドで撮っているだけあって、アメリカの銃がほとんどだった気はするが。コルト・パイソン、S&W・M29か27か、ルガー・セキュリティ・シックス、など。すべての弾が同じでなければならないから、たぶん.38口径か.357口径という設定だろう。組織のガードマンらしき男達はG36C、S&Wオート、ウージーなど。

 主演のヴィンスを演じたサム・ライリーは、TVから映画に行き「コントロール」(Control・2007・英/米/豪/日)で主演したらしいが見ていない。それ以外は日本劇場公開されていないので、あまり日本での知名度はないのではないだろうか。陰気な感じが良く出ていた。

 囚人のジェファーソンはミッキー・ローク。まさにピッタリのような役柄。見ていないが暗いと言われる「レスラー」(The Wrestler・2008・米/仏)で再評価されたためか、そんなマッチョな役が多い感じ。怠惰そうな悪役はたぶん前からだったと思う。つい最近、話題作「アイアンマン2」(Iron Man 2・2010・米)と「エスクペンダブルズ」(The Expendables・2010・米)に出ていた。

 ジャスパーを演じたジェイソン・ステイサムは珍しく悪役。電車の中でサム・ライリーと対峙するシーンは息が詰まりそうな緊張感があって良かった。基本的にこの人が出ている作品はだいたい面白いが、本作は例外になるかも。「エスクペンダブルズ」でミッキー・ロークと共演している。この人で持っている「アドレナリン」(Crank・2006・米)や「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏/米)シリーズはなかなかの面白さ。

 競技者や金を掛ける強欲な男達より怖いのは、進行役のヘンリーを演じたマイケル・シャノン。鬼気迫る感じで、実に怖い。頭の悪そうな大作戦争映画「パール・ハーバー」(Pearl Harbor・2001・米)や、大ヒット音楽映画「8 Mile」(8 Mile・2002・米/独)などに出ていたようだが、記憶にない。最近はニコラス・ケイジのリメイク「バッド・ルーテナント」(The Bad Lieutenant・2009・米)に出ていたらしい。これも気付かなかった。しかし本作の役は記憶に残る。というか夢に出そう。

 誘惑されそうになる見張り役の黒人ジミーは、ラッパーでもある50セント(カーティス・ジャクソン)。自伝的映画「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」(Get Rich or Die Tryin'・2005・米)で主演し、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが共演した刑事映画「ボーダー」(Righteous Kill・2008・米)や、イラクの戦争後遺症を描いた「勇者たちの戦場」(Home of the Brave・2006・米/モロッコ)に出ている。つい最近「恋とニュースのつくり方」(Morning Glory・2010・米)に自分の役で出ていたらしいが見ていない。

 金持ち連の中でも実力者らしく、特にいやらしそうな雰囲気を漂わせているのがシュロンドルフを演じたベン・ギャザラ。さすがに歳を取ったという感じだが、TVで1952年から活躍しているのだから当然といえば当然。1930年生まれだから81歳か。ボク的には「レマゲン鉄橋」(The Bridge at Remagen・1968・米)の葉巻をくわえてシュマイザーを持った軍曹役が印象深い。最近では「パリ、ジュテーム」(Paris, je t'aime・2006・仏/リヒテンシュタインほか)に出ていた。これからの公開が控えている作品が3本以上あるのだから驚く。

 事件を追う刑事ラリーはデヴィッド・ザヤス。TVを中心に、ブルース・ウィリスの面白かった証人護送アクション「16ブロック」(16 Blocks・2006・独/米)やジョージ・クルーニーの「フィクサー」(Michale Clayton・2007・米)に出ていた。最近ではシルヴェスター・スタローンのアクション「エクスペンダブルズ」(The Expendables・2010・米)やSFパニック「スライライン征服」(Skyline・2010・米)に出ている

 監督・脚本・編集を1人でやつたのがゲラ・バブルアニ。オリジナル版「13/ザメッティ」の監督・脚本・製作、出演もやっていた。本作では脚本にグレッグ・プルスが加わっている。この人はTVの脚本を書いたり、映画のコンセプト・アートを描いたり、ドキュメンタリーの撮影をやったりといろいろやっている人。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で前日に確保。30分前くらいに着いてコーヒーを飲みながら待つと10分前くらいに開場。関係者らしい3〜4人がいて、入口でスクラッチ・カードとアンケートのチラシを配っていた。メインは中高年で、若い人もちらほら。男女比は女性が1/3くらい。最終的には157席に4割りくらいの入り。「13/ザメッティ」とほとんど同じなら見ることはなかったかも。

 暗くなる前に上下マスクのビデオ画像で「ロスト・アイズ」の予告。まさかDVDストレートの予定だったとか……見たいのだが、劇場がなあ。

 ほぼ暗くなって、正規の予告編上映。時代劇初の3D「一命」のあとに、近くの若い女子が「3Dいる?」とひと言。激しく同意。

 上下マスク「三銃士[王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船]」はすごいアクション。さすがにポール・・アンダーソン監督「バイオ」っぽい。ミラ・ジョヴォヴィッチがミレディか。

 上下マスク「シャンハイ」は豪華な出演者。ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙、菊地凛子。スパイ合戦のような内容か。

 上下マスク「スーパー・エイト」ーはやや長いバージョンでの予告。面白そうだが、内容がほとんどわからない。スーパー8、ダブル8、シングル8なんてのがあったっけ。

 震災で公開が延期された「世界侵略:ロサンゼルス決戦」の新しい公開日が決定したらしい。9/17だ。前売りの解約にも応じるらしい。そういえばもう1本の延期映画「サンクタム」も9月になったらしいが劇場で流していない。

 上下マスク「ハング・オーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」は面白そう。何も考えずに楽しめそうだ。


1つ前へ一覧へ次へ