Skyline


2010年6月19日(日)「スカイライン 征服」

SKYLINE・2010・米・1時間34分

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Red One)/ドルビー・デジタル、dts(IMDbではドルビー・デジタル、dts、SDDS)

(米PG-13指定、日PG12指定)(デジタル上映もあり)

公式サイト
http://skyline-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ジャロッド(エリック・バルフォー)と恋人のエレイン(スコッティー・トンプソン)は、ジャロッドの親友でムービー・スターのテリー(ドナルド・フェイソン)の誕生パーティに招待され、飛行機のビジネス・クラスでLAに向かう。パーティでプロデューサーのレイ(ニール・ホプキンス)に紹介され、イラストが大好評だからLAに出てこないかと誘われる。しかし大騒ぎのパーティのあとエレインから妊娠したことを伝えられ驚くジャレット。テリーは妻のキャンディス(ブリタニー・ダニエル)がいるのに、お手伝いのデニス(クリスタル・リード)と浮気していた。そんなとき、夜明け直前に街に光が降ってきて、奇妙な宇宙船のようなものが現れる。

71点

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 IMDb でわずか4.5点。確かに見どころは、リアルなCGのみ。合成がうまく、本当に一緒に撮影したように見えてしまう。それにいかにも飛び出しそうな絵作りが多く、オリジナルは3D上映を考慮して撮影していたような印象。特にエンド・クレジットは飛び出さんばかりの演出。まあ、あえて一言でいうなら、低予算でスターを使わないマイケル・ベイ作品のようだ。

 脚本に問題ありすぎのようで、展開がどうにも納得できない。残念な「クローバーフィールド/HAKAISHA」(Cloverfield・2008・米)の真似みたいで、登場人物たちはパーティのために集まり、事件に巻き込まれ、侵略者の意図などは一切明かされない。「クローバー……」はIMDbでは7.4と高評価だが、面白かったかなあ……。しかも一時流行ったPOVの揺れまくり映像。本作はちゃんとした映画の作りだが。

 なぜ主人公の男はマンションにいるのが危険だと判断できるのか。わざわざ物語のために危険を作りに行くような行動。しかもあちこちがやられているのに、海が安全と宣言。どうなってるの。わざとらしい彼女との妊娠話と喧嘩。それぞれの職業設定も、まったく展開に生きていないし。だったら普通の人にすれば良いのに。それに、軍が出動するまで丸1日かかっているし。

 しかも、いろんな映画で見たようなビジュアル。良いとこ取りというよりはいただきという感じ。侵略者たちはイヤ風やタコ風で、ほとんど「マトリックス」(The Matrix・1999・米/豪)、「マトリックス リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米/豪)と「マトリックス レボリューションズ」(The Matrix Revolutions・2003・米/豪)みたい。ほかに「宇宙戦争」(War of the Worlds・2005・米)と「インディペンデンス・デイ」(Independence Day・1996・米)も入っている。絵の雰囲気は「第9地区」(District 9・2009・米/ニュージーランドほか)やこれから公開される「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(Battle Los Angeles・2011・米)のようだ。

 低予算らしく、登場人物は少ない。主人公らしいジャロッドはエリック・バルフォー。ちょっとB級という感じがしてしまう人で、主にTVで活躍。一番印象に残っているのはTV「24 TWENTY FOUR」(2007・米)のCTUのマイロ役。映画ではデニス・クエイドのホラー「ホースメン」(Horsemen・2008・米)や「ザ・スピリット」(The Spirit・2008・米)にも出ていたようだが、印象が薄い。本作は久しぶりの劇場作品。

 その恋人エレイン役がスコッティー・トンプソン。美人でがんばっているが、たぶん日本ではほとんど知られていないのでは。「NCIS」や「CSI」、「BONES」、「クローザー」などの人気ドラマに出演しているものの、ほとんどがゲスト出演。劇場映画では「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)に出ていたようだが、エリック・バナが演じたネロの奥さん役であまり印象に残っていない。美人だし、本作でも雰囲気が良かったので、もっと活躍して欲しい。

 派手な暮しをしている黒人の友人テリーはドナルド・フェイソン。やっぱりTVの人で、劇場映画はブリタニー・マーフィとダコタ・ファニングが出た「アップタウン・ガールズ」(Uptown Girls・2003・米)。本作はあまり印象の良い役ではないので、プラスにならなかったかも。使っていた銃は、なぜかベレッタのM9A1。ちょっと珍しい。

 高級マンションの管理人らしいのがデヴィッド・ザヤス。「ロシアン・ルーレット」(13・2010・米)で刑事を演じていた人。

 問題の脚本を手掛けたのが、リアム・オドネルとジョシュア・コルデスの2人。リアム・オドネルは本作が初脚本。残念なSFアクション「AVP2エイリアンVS.プレデター」(AVPR: Aliens vs Predator - Requiem・2007・米)にHydraulx(ハイドラックス)社のビジュアル・エフェクト・クリエイティブ・コンサルタントとして関わったらしい。ジョシュア・コルデスも初脚本でハイドラックス社のビジュアル・エフェクトを手掛ける人。おいおい、これでいいのか。

 監督はやはりハイドラックス社のビジュアル・エフェクトを手掛けるグレッグ・ストラウスとコリン・ストラウスの兄弟。そもそもハイドラックス社はこの2人が設立したVFXスタジオらしい。ハリウッドの大作映画のVFXはほとんど手掛けている。つまり本作はそのノウハウを結集して作られたということか。なるほど。劇場長編映画の監督としては「AVP2エイリアンVS.プレデター」に次いで2作目。たいして出来は変わっていない。

 1日経ってからやっとやってくる海兵隊はM16系スナイパー・ライフルに.50口径のバレットM107。UH-60ブラックホークに積んでいるのはM134ミニガン。ほかにロケット・ランチャーも登場する。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。ここは個々の劇場がたいして混んでいなくても、いつも入口のエレベーター、チケット・ロビーなど酷い混みよう。15分前くらいに開場して上の階へ。若い人から中高年までやや幅広いか。しかし若い人は少ない感じ。女性は1/4ほどいただろうか。遅れてくる人が多く、予告が始まってもまだ入って来ていたが、最終的には228席の9割りほどが埋まった。でも、これがピークだろうなあ……。

 気になった予告編は……またまたゲームの「鉄拳」が映画化されるらしい。「鉄拳ブラッド・ベンジェンス」今度はフルCG。もちろん3D上映。非常にリアルできれいだったが、やはり動きに奇妙な所がある。メカなどはまったく問題ないが、いくらモーション・キャプチャーしても人間には不自然さが残るのだ。ちょっと気持ち悪い。


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