The Hungover II


2010年7月2日(土)「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」

THE HUNGOVER PART II・2011・米・1時間42分

日本語字幕:日本語字幕:手書き風書体下、アンゼたかし/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、by Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASATデジタル・サウンド、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル)

(米R指定、日R15+指定)(一部R18+版の無修正上映、デジタル上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/thehangover2/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

悪友4人組の1人、歯科医のステュ(エド・ヘルムズ)がタイ人女性ローレン(ジェイミー・チャン)と結婚することになり、タイで挙式するから出席して欲しいという。フィル(ブラッドリー・クーパー)とダグ(ジャスティン・バーサ)は招待されたが、2年前ラスヴェガスで騒ぎの原因となったアラン(ザック・ガリフィアナキス)は招待されなかった。しかしフィルとダグがステュを説得し、どうにかアランも出席することに。そしてバンコクで結婚式前日、ローレンの弟テディ(メイソン・リー)とともに1杯だけと、砂浜で祝杯を上げることに。ところがフィルが朝気付くと、知らない安ホテルの1室。アランは坊主頭になっており、ステュは顔にタトゥ、テディが消えており、テディの指がボールの中に氷と浸かっていて、服を着た猿が1匹。そして誰も昨夜の記憶がなかった。そこへダグから大丈夫かと電話がある。

71点

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 うーむ、前作を見ている人には笑えるネタがちりばめられているらしいが、ボクは見ていないので、さっぱりわからなかった。笑える悪乗りコメディだが、たいしてきれいでもない男の陰部を思いっきり見せられる不快さが全体を支配している。飲み会で酔っぱらってすぐ裸になっちゃうような人や、それを見て笑える人には楽しめるだろう。悪友、バカ、ドラッグ、エロ、グロ、暴力、汚い言葉、銃、頼りにならない警察、ニュー・ハーフ、混とんとした町と言うか国……そういうものでできた映画。笑える人には楽しめるだろう。ボクはちょっと笑えたものの、楽しくなかった。ゲストでマイク・タイソン本人が出てきてオンチな歌まで歌うのには笑ったが。

 めちゃくちゃな話だが、映画の構成としてはなかなか良くできてはいると思う。ちゃんと最後には説明がつくようになっていて、ちょっとした大事件に発展し、ギャングも出てきて、銃撃戦もあると言うのは映画としては多分正しい設定。ただバカすぎる。避けられるのにそうしない。つまり自業自得。映画の中のセリフで「ボクの中には悪魔(デーモン)がいる」のとおり、見方によっては悪魔の映画だ。タイをバカにしていると言われても仕方がないような映画。日本が舞台でなくて良かった。

 出て来る銃は、密売人が6,000ドルで用意するのがマイクロ・ウージー。ロシアン・マフィアが使うのがベイビー・デザート・イーグル(ジェリコ)。ほかにグロックも。結婚式にモーター・ボートでそのまま乗り込むのは007か。

 マイク・タイソンと同じイレズミを入れてしまう歯科医ステュはエド・ヘルムズ。もとはスタンダップ・コメディアンで、TVを経て、劇場作品にも出るようになった。ジャンルはほとんどコメディで、いずれもほぼ小さな役。大きな役はたぶん前作が初めて。

 フィル役のブラッドリー・クーパーもTVの人で、映画ではジム・キャリーの「イエスマン」(Yes Man・2008・米/豪)や、見ていないが「バレンタインデー」(Valentine's Day・2010・米)、昔のTVアクションの映画化「特攻野郎AチームTHE MOVIE」(The A Team・2010・米)などに出演し、メジャーに。

 ちょっと頭がおかしいらしいアラン役はザック・ガリフィアナキス。この人もスタンダップ・コメディアンからTVを経て、割りと早く映画に出ている。意外なことに青春ものの「クールボーダー」(Out Cold・2001・米)やホラーの「ビロウ」(Below・2002・米)などに出ており、しばらくしてアラスカで亡くなった青年を描いた「イン・トゥ・ザ・ワイルド」(Into the Wild・2007・米)やジョージ・クルーニーの「マイレージ、マイライフ」(Up in the Air・2009・)などにも出ている。

 あまり本作では出てこないが、もう1人の悪友ダグ役はジャスティン・バーサ。ニコラス・ケイジのヒット作「ナショナル・トレジャー」(National Treasure・2004・米)シリーズの天才ハッカーの相棒役を務めた人。

 麻薬の取引相手はポール・ジアマッティ。もうベテランという感じで、最近ではリアルさを無視したアクション「シューテム・アップ」(Shoot'Em Up・2007・米)や「デュプリシティ〜スパイは、スパイに嘘をつく〜」(Duplicity・2009・米/独)に出ている。いわば名わき役。

 タトゥー屋の怪しいオヤジは、映画監督としても有名なニック・カサヴェテス。やはり俳優で監督だったジョン・カサヴェテスと、彼が監督した名作「グロリア」(Gloria・1980・米)のジーナ・ローランズの息子。監督作としてはデンゼル・ワシントンの「ジョンQ-最後の決断-」(John Q・2002・米)や感動作「きみに読む物語」(The Notebook・2004・米)がある。

 ローリング・ストーンズのGジャンを着た猿はクリスタル。「ドクター・ドリトル」(Doctor Dolittle・1998・米)や「ナイトミュージアム」(Night at the Museum・2006・米/英)、「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal・2008・米)などに出ているベテラン猿らしい。

 脚本はクレイグ・メイジン、スコット・アームストロング、トッド・フィリップスの3人。クレイグ・メイジンは「最‘凶’絶叫計画」(Scary Movie 3・2003・米/加)を書いているが、他は日本公開されていない模様。スコット・アームストロングは日本劇場未公開作品が多く、かろうじて「俺たちダンクシューター」(Semi-Pro・2008・米)があるくらい。それも評価は散々。2人とも前作の「1」は書いていない。

 トッド・フィリップスは製作と監督も兼ね、唯一前作に関わっているライター。ちなみに前作は書いていない。監督としては前作の前に、ラジー賞にノミネートされた残念なベン・スティーラーの日本劇場未公開「スタスキー&ハッチ」(Starsky & Hutch・2004・米)を監督している。このメンツでヒット作が撮れるとは思えないが、製作が監督なんだから作れるか。

 字幕で日本のオヤジギャグ「おたんこナース」って!! 昭和の映画か!? 英語のタイミングと同じに観客を笑わせる必要なんてどこにもないはず。大御所の女性字幕翻訳家の方はよくそんなことを言っているが、まったく意味ないと思う。かえって逆効果だと思う。たいていそのダジャレでシラケル。

 金曜初日で、公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保しておいて30分前くらいに到着。20分前くらいに開場して、場内へ。観客層は20代くらいから中高年まで、割りと幅広いが、男性16人の女性6人。30人くらいになった頃、場内がちょっと暗くなってCMへ。携帯をこうこうとつけてライト代わりに入ってくるバカがいてまったく迷惑。携帯は入場前に切らせろ。しかも今回は隣に座った若いカップの女が上映中に携帯が鳴ってメールを受信、平気で返事を打って、それをもう1回繰り返したのだから、怒りを通り越してあきれた。メールなら良いと思っている。明るい液晶がどのくらい迷惑か、まったくわかっていない。たぶんこういうマーナー無視のオゲレツ映画だと、観客もそうなってしまう傾向があるのかも。ゴミが落ちていると町が荒れるというのと同じ理論。

 最終的には127席に50人くらいの入り。まあ、こんなものでしょう。これから増えるとは思えない。

 気になった予告編は……上下マスクの「ライフ」は動物たちのドキュメンタリーで、世界中で撮影された鮮明で驚くべき真実の映像の数々は素晴らしいのだが、どうも劇場で見るというのが……。

 上下マスク「世界侵略:ロサンゼルス決戦」の予告が再び始まった。印象は、凄い戦争映画という感じ。

 上下マスク、俺さま映画「ハリー・ポッターと死の秘宝PART2」は新予告に。ラストなんだから3Dでなくてもみんな見るだろうに。どうしても「俺さま」という古くさいセリフが気になる。「何様だ?」

 スクリーンの上下が狭まってシネスコ・サイズになり本編の上映。


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