Harry Potter and the Deadly Hallows: Part 2


2010年7月16日(土)「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2」

HARRY POTTER AND THE DEADLY HALLOWS: PART 2・2011・英/米・2時間10分

日本語字幕:手書き風書体下、岸田恵子・字幕監修:松岡佑子/シネスコ・サイズ(マスク、by Panavision〈IMDbではArri〉、Super 35)/ドルビー・デジタル、DATASATデジタル、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル、dts、SDDS)

(米PG-13指定)(デジタル上映、3D上映、日本語吹替版、IMAXもあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/hp7b/index.html
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ヴァルデモート(レイフ・ファインズ)のパワーを下げるため、ハリー(ダニエル・ラドクリフ)はヴァルデモートの音楽を分割して収めた分霊箱を1つ1つつぶす作戦に出る。まずゴブリンに剣をやると約束して、ハリー、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)、ロン(ルパート・グリント)の3人は変装して、死の秘宝が収められているというグリンゴークの金庫に案内させる。そこの何かが分霊箱となっているはずとハリーは読んでいた。そして、それを壊したあと、別な分霊箱がボグワーツに1つあるはずと。一方、ヴァルデモートはその動きに気付き、ディメンターたちをボグワーツへ差し向けていた。

74点

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 IMDbでは8.7という信じられない高得点。原作のファンが多いのか、ボクは読んでいないのでそれほど感銘を受けなかった。映画的には普通に面白いという感じか。3Dはハッキリ言って必要なかったと思う。それほどの効果も出ていないし、やはり字幕版だとピントを最前面の字幕から画面奥へと動かしたりするので、とても疲れる。しかも、3D効果の薄い前景のピンボケや速いカットがあるので、余計に疲れる。いつも寝てしまうボクだが、今回はどうにか最後まで見られた。

 シリーズ全作を劇場で見たし、前作も見たがどういう展開だったかすっかり忘れてしまった。しかし、ツボは全部押さえる展開。あの人もこの人も、あの場所も、この場所も、あのアイテムもこのアイテムも、あの魔法もこの魔法も、ちゃんと最後にまた出てきて活躍する。オール・スター状態。まさに大団円。ハリポタ・ファンにはたまらないのではないだろうか。

 ただ、これまでの映画をさほど覚えておらず、ファンでもないボクにはどうにも疑問も残った。なぜハリーの両親とヴァルデモートは仲が悪かったのか。殺されるほどの関係だったのか。そしてハリーが親の敵を狙って復讐するのならわかるが、ヴァルデモートの方から息子の代になってまでなぜ殺しに来るのか。闇の魔王くらい恐れられているのに、そんなに子どもが怖いのか。ヴァルデモートはヴァルデモート卿と呼ばれることから貴族らしいのに、なぜ「オレさま」なんてチンピラみたいに自分を呼ぶのか。そしてなぜ1人だけハゲで、鼻がなくて鼻の穴がスリットだけなのか。なぜ皆がそれほどまでに恐れているのか。そして大ラス、魂のかけらの最後の1つは残っているし……まあボクにはわからないことだらけ。

 そして衝撃の告白……といってもある程度の予想はつく。「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)のパターン「アイ・アム・ユア・ファーザー」でなかったことは良かったが、あんまりかわらないかも。

 19年後は必要だったんだろうか。パッと終わるという手もあったのでは。あと最後の最後にTHE ENDの文字が出ても良かったかも。もう作ることはないと思うし。まさか……?!

 字幕は手書き風の書体だが、ヴァルデモートがテレパシーみたいなもので呼びかけてくる時だけ古印体のような大きな書体になるのは、かなり違和感があった。

 ジョン・ハートとかエマ・トンプソン、ジェイソン・アイザック、ヘレナ・ボヘム=カーターなどがちょい役で出演しているのに驚かされるが、やはり注目は主要メンバーであるダニエル・ラドクリフとルパート・グリント、エマ・ワトソンの3人だろう。

 ダニエル・ラドクリフは舞台をやったり、他の映画やTVムービーにも出ているようだが、ほかの2人はあまり聞かない。IMDbではルパート・グリントがこのあと4本の新作が控えているし、エマ・ワトソンも2本の新作が控えている。ダニエル・ラドクリフが新作1本しかないのと対照的。いずれにしても、「ハリー・ポッター」シリーズ以外でどのような評価が得られるかが今後役者を続けていく上での鍵となるだろう。

 J・K・ローリングの原作を脚本にしたのはスティーヴン・グローヴス。「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(Harry Potter and the Order of the Phoenix・2007・英/米)を除く全作の脚本を担当。このシリーズの前は、あの「恋のゆくえ/ファビュラス・ベーカー・ボーイズ」(Thre Fabulous Baker Boys・1989・米)の脚本・監督を務めた人。そのあと「ワンダー・ボーイズ」(Wonderboys・2000・英/独ほか)の原作からの脚本化もやっている。どちらもボーイズだが、どちらかといえば、現実の話からドラマを作る人だと思ったら……。シリーズが終わって、スタッフ、キャストを一新した新スパイダーマンの脚本を手掛けてるんだとか。

 監督はデイビッド・イェーツ。イギリスでイェーツ監督といえば、古い人にとってはピーター・イェーツだろう。しかしそれとは関係なく、短編映画からキャリアをスタートさせ。TVほを経て「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」で劇場長編映画監督デビュー。やはりこのシリーズ以外でどうか、だろう。

 やはり液晶式3Dメガネの上映は疲れる。そしてスクリーンが暗い。しかも、全体が3D撮影されているわけではないようで、その効果があったと感じられたのはわずかで、あとは2Dという感じだった。マスターイメージ社の偏光眼鏡式の方が疲れにくいし、スクリーンも暗くなりにくいし、なにより差額が400円と安い。ただ、客単価が高いからって、何でも3Dにしやがってということはある。

 公開2日目の3D、字幕版の初回。新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。コーヒーを飲みながら待っていると、12分前くらいに開場。3D、字幕版が一番劇場サイズが大きいから選んだだけで、特に3Dが見たかったわけでない。むしろ疲れるし画面も暗いので本当は2D字幕版が良かったのだが、しようがない。

 観客層のメインは若い人たち。中高年や若年層も若干いたが、だいたい20代くらいが多い。 男女比は半々くらい。吹替版だともっと若い人が多いのだろうか。最終的には607席にたぶん5割りくらいの入り。遅れてくる人が多いので、もっと多かったかもしれない。

 また3Dメガネには指紋が……拭き取ろうとしたら、逆に全体が曇ってしまって……700円という高い差額を取っているんだから、メガネくらいちゃんと毎回クリーニングして欲しいもの。それでなくても効果に疑問があるんだし。その点、偏光式は使い捨てだからこんなことはない。軽いし、液晶式より明るいし、なにより安いのが良い。費用対効果を考えると、これくらいでちょうど良いのでは。若干、液晶式の方がコントラストが高い気はするが。

 半暗になって始まった予告編で気になったのは……上下マスクの時代劇「一命」はシリアスな内容だけに「時代劇初の3D」と文字が出たら客席から笑いが起こった。中高年にとっても違和感があるが、若い人たちにもやっぱり違和感があるんだ。プロデューサーは何を狙っているんだろう。感覚が観客から離れてしまっているのでは?

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってから、メガネを掛けてくださいと文字が出て「トランスフォーマー」の予告はカットが速いため3Dだと非常に疲れる。目のピントが付いていかないうちに次のカットになる。3Dの予告ならそのへんを考えるべきだろう。本編でも疲れるというのに、このスピード・カットの予告編はほとんど頭に入ってこなかった。

 またまたDCコミックの実写映画「グリーンランタン」は、絵には説得力と迫力があるが、かなり荒唐無稽でマンガ的な世界観。しかも日本語吹替での予告だし。内容と絵のバランスが悪い気がした。完全な子ども向けなんだろうか。

 ペンギンがラップを歌って踊るアニメ「ハッピーフィート2 in 3D」は、主人公が何だか黒人ラッパーのような雰囲気。ノリの良さは抜群。予告からアガる。公式サイトはまだない模様。


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