Transformers: Dark of the Moon


2010年8月7日(日)「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」

TRANSFORMERS: DARK OF THE MOON ・2011・米・2時間37分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision、Arri、デジタル)/ドルビー・デジタル、DATASATデジタル、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル、dts、SDDS)

(米PG-13指定)(デジタル上映、3D上映、日本語吹替版、IMAXもあり)

公式サイト
http://www.tf3-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり。ただしカミング・スーンが多い)

1969年7月20日、アメリカはアポロ11号の月面着陸に成功する。しかし実際の目的は月の裏側に衝突したものの正体を確かめることだった。そして宇宙飛行士たちは何かを持ち帰る。ソ連も同様のものを持ち帰っており、その使い方を実験しチェルノブイリ事故を起こした。現在、バズ・オルドリン宇宙飛行士(本人)を初代長官としてスタートしたNESTは、人類に協力するオートボットたちと再検討する。その結果、月にはパイロットも埋まっているはずということでオートボットたちが月に向かい、センチネル(声:レード・ニモイ)を連れ帰り、オプティテマス(声:ピーター・カレン)のエネルゴンで蘇生に成功する。同じ頃、サム(シャイア・ラブーフ)は、新しい彼女カーリー(ロージー・ハンティントン=ホワイトニー)の勤め先のボス、ディラン(パトリック・デンプシー)の計らいで、ようやく就職先が決まる。そしてメガトロン(声:ヒューゴ・ウィーヴィング)率いるディセプティコンの一団は再び人類に対して攻撃を再開する。

72点

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 絵は凄い。まるでオプティマスたちが本当にそこにいるようにリアルな3D-CG。そして立体的なサラウンド・サウンド。見どころはそこだけ。それも、「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)や「マトリックス」(The Matrix・1999・米/豪)など、どこかで見たようなものばかりだが……。

 一言でいえば「たわ言は、バカに言え」ということになるだろう。観客をなめるな。アジア人をバカにしている感じもするし。つまり、この映画の中で最も感じの悪い、もっとも嫌なキャラがアジア人だ。ダットサンの車はエンジンがかからず、ポンコツ呼ばわりだし。マイケル・ベイの「パール・ハーバー」(Pearl Harbor・2001・米)の日本も酷かったように。そして女のケツをなめるように撮っている。

 内容も陳腐なら、ディティールも雰囲気優先でいい加減、何にも後に残らないし、特に楽しくもカッコ良くもない。構成も酷いし、設定もずさん、子供っぽい上、キャラクターもバカっぽいし、セリフの1つ1つもバカっぽい。知性のかけらも感じられない。どうしてこんなものに大金を掛けるのか。スピルバーグはどうしてしまったのか。ミュージック・ビデオのりでカットが早すぎて、3D上映では映像の認識さえ困難。シャロー・フォーカスも多い。3Dならディープ・フォーカスだろう。3Dでやっちゃいけない事をたくさんやっている。ただ、全体を通して立体感と言うか、奥行き感だけははちゃんとずっとあった。

 銃器としては、バカなアジア人が使うのが2挺のベレッタM92シルバー。「男たちの挽歌」(A Better Tomorrow・1986・香)のチョウ・ユンファをおちょくっているのだろうか。他にグロック、トカレフなど。長物は定番のM4カービンに、レミントンのACR(たぶんスクリーン初登場)、SCAR、M2ブローニング、M134ミニガン、ミニミなど。武器係はこれまでTVがメインだったスティーヴ・カーンズ。映画は「バイオハザードIVアフターライフ」(Resident Evil: After Life・2010・)や「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(Battle Los Angeles・2011・米)を手掛けている。ちなみに、使っているPCはみなLenovo。

 主演はスピルバーグのお気に入りシャイア・ラブーフ。ホラー・ファンタジーの「コンスタンティン」(Constantine・2005・米/独)ではちょっと良いなと思ったが、それ以降メジャーになってからはちっとも良いと思えない。良い役に当たっていないということもあるのかもしれないが、日本受けしない感じがする。

 新しいヒロインはロージー・ハンティントン=ホワイトニー。マイケル・ベイ好みとは思えないイギリス生まれの美女。有名ブランドのモデルを経て本作で劇場映画デビュー。ただ、まったく印象に残らない。映画には向いていないのか、マイケル・ベイが興味がなかったのでそういうふうに撮ったのか。次があるとしたらこの続編だけなのでは。ずっとヒールで走り回っているのは監督のSM癖か。

 驚いたのはヒロインの勤務先のボスを演じていたパトリック・デンプシー。こんな役をやるんだ。「メラニーは行く!」(Sweet Home Alabama・2002・米)とか「魔法にかけられて」(Enchanted・2007・米)の良い男役なのに。恋愛ものの常連という感じ。まさか。

 そしてもう1つの驚きジョン・マルコヴィッチ。主人公が就職する会社のバカ社長の役。なんであれほどの人がこんな役を。金か……。同じ変人役でも「RED/レッド」(Red・2010・米)は良かったけど。まあポンコツ・ファンタジー「エラゴン遺志を継ぐもの」(Eragon・2006・米/英/ハンガリー)にも出てるからなあ。基本的に来た役は断らないという主義なのかもしれない。

 さらに追い討ちを掛けたのがフランシス・マクドーマンド。ジョエル・コーエン監督の奥さんで、コーエン兄弟の傑作「ファーゴ」(Fargo・1996・)で小さな町の警察署長を演じていた人。SFアクションの「イーオン・フラックス」(EAon Flux・2005・米)なんかにも出ていたが、つい最近もコーエン兄弟の「バーン・アフター・リーディング」(Burn After Reading・2008・米/英/仏)に出ていた名女優が……。

 酷い脚本を書いたのはアーレン・クルーガー。ボクはてっきり監督のマイケル・ベイが書いているのかと思った。アーレン・クルーガーはサスペンス・ホラーの佳作「隣人は静かに笑う 」(Arlington Road・1999・米)や人気シリーズの続編「スクリーム3」(Scream 3・2000・米)、意外な展開を見せるアクション「レインディア・ゲーム」(Reindeer Games・2000・米)、日本映画のリメイク「ザ・リング」(The Ring・2002・米/日)などを手掛けているが、最近はパッとしない感じ。前作の「トラスンフォーマー」も書いている。

 知性の感じられないイケメン監督のマイケル・ベイは、本作の撮影時、新しいヒロインとなったロージー・ハンティントン=ホワイトニーに「君は歩けるか?」というバカな質問をして、彼女が戸惑って「え?……」と困っていると、いきなりプライベート・ジェットに乗せてロケ地まで行き、「さあ歩け」と撮影を始めたそうだ。これはロージー本人がエピソードとして明かしている。やっぱりバカじゃん。ハリウッドばか。取り柄は「絵」。絵はスゴイ! でもこいつは本当に3Dがわかっているのか? カットが速すぎるだろ。どうしてこんな作品をジェイムズ・キャメロンはほめたんだろう。金か……。ただ、ほめてるのは3Dだけだけど。たぶんキャメロンは3Dを普及させたいのだろう。

 マイケル・ベイ・ファンの方ごめんなさい。ボクはどうしても合わないみたい。

 公開10日目の3D字幕版の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。コヒーを飲みながら待っていると10分前くらいから入場が始まったが、案内がない。5〜6分前くらいにようやくアナウンスがあったが、入場時に3Dメガネを渡すものだから時間がかかる。もうバタバタ。遅れて入ってくる人がものすごく多い。何やってんだろう。

 観客層は20代くらいから中高年まで幅広いが、メインは若い人で、男女比は半々くらい。最終的には287席がほぼ満席となった。それにしても、ここでもケータイをつけるヤツが多い。入口でケータイの電源を切るように言ったらどうだろう。メール・チェックなどは外でやるようにと。

 気になった予告編は……スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってからの「ミッション・インポッシブル:ゴースト・プロトコル」はやっぱりカッコいい。クレムリンが爆破され、テロリストとしてイーサン・ハントのチームが疑われていると。

 「カウボーイ&エイリアン」はトンでもない設定だが、予告編は面白そう。ただ暗いシーンが多く、半暗の状態だと見えにくかった。

 3Dメガネの案内の後、立体で「カンフー・パンダ2」の吹替予告。なかなか面白そうだが、大人向きではないような印象。


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