Kung Fu Panda 2


2010年8月27日(土)「カンフー・パンダ2」

KUNG FU PANDA 2・2011・米・1時間30分(IMDbでは91分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、小寺陽子/シネスコ・サイズ(デジタル)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビー・サラウンド7.1も)

(米PG指定)
(3D字幕版、3D吹替版、2D吹替版もあり)
公式サイト
http://www.k-panda2.jp/
(全国の劇場リストもあり)

中国のゴンメン市。そこはクジャクの王によって治められていたが、息子のシェン(声:ゲイリー・オールドマン)は親の言うことを聞かず暴走したため、追放されてしまう。しばらくしてカンフーを習得、オオカミの一団を率いてシェン大老としてもどったが、カンフー技では父王にかなわず追い払われてしまう。そこでカンフー技を吹き飛ばす大砲を開発すると、それを作るために家来たちに付近の村から金属を奪わせる。「平和の谷」にも狼たちがやってくるが、龍の戦士、パンダのポー(声:ジャック・ブラック)、マスター・タイガー(声:アンジェリーナ・ジョリー)、マスター・ヘビ(声:ルーシー・リュー)、マスター・モンキー(声:ジャッキー・チェン)、マスター・カマキリ(声:セス・ローゲン)、マスター・ツル(声:デヴィッド・クロス)たちが力を合わせて撃退するが、鉄の一部は奪われてしまう。大砲を完成させたシェン一味は、それを使いゴンメン市に攻め入ると、町を守るマスター・ワニ(声:ジャン=クロード・ヴァン・ダム)、マスター・サイ(声:ヴィクター・ガーバー)、マスター・ウシ(声:デニス・ヘイスバート)を捕らえ、ゴンメン市をベースに中国全土の征服に乗り出そうと計画を進める。それを知ったシーフー老子(声:ダスティン・ホフマン)はそれを止めるため龍の戦士たちをゴンメン市へ向かわせる。

75点

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 たいていパート2は1よりだいぶ質が落ちてしまうのが常だが、本作はひょっとすると1より面白いかも知れない。しかも、かなり子供向きにアレンジして、おバカ・オンパレードだと思いこんで、前売り券を買わずにタイミングが合ったので貯まったポイントで見たので、とてもお得というか、良い拾い物をしたような感じ。ちゃんと大人も楽しめる、そして笑えて、感動する冒険活劇だった。

 何よりアニメ系のヒーローものの常識・王道をうまく取り込んで、それを逆手にとって逆にしているところなど実ににくい。アニメを良く見ている人はより笑えたのではないだろうか。 何しろアヒルが父親で子がパンダだ。誰もそれで不思議に思わない。そういう世界。今回はそれに疑問をさし挟むわけだが。そして、たとえば、ヒーローは街が危機の時、敵がいよいよ乗り出していくという時、敵の前に現れて、それも屋根の上なんかにそっぽ向いてたっていたりして、敵を驚かす。パンダーのポーもクジャクのシェン大老が船団を率いて出ていく時に、屋根の上に現れる。そして口上をとうとうとまくし立てるわけだが、これがなんと離れすぎていて聞こえない。現実的にはこれが正しい。それが漫画だと聞こえると。

 ジャック・ブラックもやりすぎておらず、大げさになっていないところも良い。冒頭のまんじゅうのくだりは危なかったけど、ぎりぎりセーフ。それでいて、ちゃんと子供でも楽しめるようになっている。さらにはアメリカだなあという、自分は誰かという自分探し、そして仲間と一緒に命がけで正義のために突っ込むという一体感と高揚感。戦友のために命をかけるというやつ。軍の方が家族よりも深いつながりを感じられるという人もいるほどで、それに似ている感覚。

 もともと3Dアニメなので3D上映にすると立体感は良く出る。飛び出るというより奥行きだが、全編見事に立体感がある。色はきれいだし、画質も申し分なく、美しい。色使いもきれい。音も立体的でクリア。これは3D上映で見ても良いかも。声も動きも申し分なし。

 まあ、相変わらず豪華な声優陣。ジャック・ブラックはつい最近、ほとんど効果のない残念な3D上映映画「ガリバー旅行記」(Gulliver's Travels・2010・米)でもエキセントリックな演技だったが、アニメになると気にならないというか、押さえていたのか、ちょうど良い感じ。

 上記の他に、パンダのポーのアヒルの父親ピンの声は「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米/香)の目玉屋、ジェームズ・ホン。羊の予言おばばの声は「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(Tomorrow Never Dies・1997・英/米)のミシェル・ヨー。

 ちなみに、マスター・ウシの声のデニス・ヘイスバートは人気TVドラマ「24 TWENTY FOUR」のパーマー大統領を演じた人。マスター・カマキリの声のセス・ローゲンは残念なドタバタ SF「グリーン・ホーネット」(The Green Hornet・2011・米)の脚本を書いて主演した人。マスター・サイの声のヴィクター・ガーバーは超大作「タイタニック」(Titanic・1997・米)で船の設計者トーマス・アンドリュースを演じた人。これだけの名だたる人が揃うなら、実写でもスゴイ作品になったのでは。

 脚本は、前作も書いているジョナサン・エイベルとグレン・バーガーの2人。見ていないが、2人でアニメの「モンスターVSエイリアン」(Monsters vs Aliens・2009・米)も書いている。さらにTVのアニメ「キング・オブ・ザ・ヒル」も書いているから、お笑いはお手のものか。本作ではプロデューサーとコプロデューサーも務めている。「モンスターVSエイリアン」の出来はどうだったんだろう。ボクは見たいという気が起きなかったが……。

 監督は女性のジェニファー・ユー・ネルソン。女性だからドタバタにせずに良いところで押さえられたのかもしれない。劇場長編映画の監督は初めて。1990年代からアニメの世界で活躍してきて、第1作目の「カンフー・パンダ」(Kung Fu Panda・2008・米)ではストーリー・アーチストや夢のシーンの監督、アクション・シーンのスーパーバイザーを務めている。ボクは「1」よのこの「2」の方が面白いと思うが……。

 公開9日目の3D字幕版の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日に確保しておいて、30分前くらいに到着。15分前くらいに開場となって場内へ。下は小学生くらいから、20代、中高年と幅広い。外人さんが8人くらいいた。男女比は半々くらい。遅れてくる人が多く、最終的には多分127席がほぼ埋まった。キャパが小さいので何とも……。

 気になった予告編は……上下マスクの「猿の惑星 創世記」は面白そう。予告だけでも説得力があり、期待してしまうただ内容的には第4作の「猿の惑星・征服」(Conquest of the Planet of the Apes・1972・米)という感じか。

 上下マスクの「カウボーイ&エイリアン」は新予告に。とんでもない設定なのに、おもしろそう。正統派西部劇っぽいところがミソか。

 スクリーンが左右に広がって、3Dメガネの説明のあとで「グリーンランタン」の3D吹替版の予告。なかなか立体的。

 黒人っぽいラップで始まる日本語吹替のアニメ「ハッピー・フィート2踊るペンギンレスキュー隊」もおもしろそう。曲のノリが良いし、楽しそう。

 「2012年、オレさま」のナレーションで始まった予告は「ハリー・ポッター」ではなく、「シュレック」(Shrek・2001・米)のスピンオフらしい「長靴をはいた猫」。日本語吹替版。どうだろう。


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