日本語版翻訳:松崎広幸/ビスタ・サイズ(1.85、1.66上映?)/ドルビー・デジタル、dts
(英U指定)
地球上には500万種にも及ぶ生物が存在し、すべての生命がつながっているという。あるものは、天敵から逃れるために過酷な環境を選んだ。アザラシの中には南極で出産・子育てをするものがいる。しかし天敵がいない分、また食べるものもない。日本の地獄谷では猿が温泉に入るが、実際に温泉に浸かれるのは強い一族だけで、浸かれない猿もいる。コスタリカでは卵から孵ったオタマジャクシを背負って1匹ずつ木の上にあげるカエルがいる。そして、また……。
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絵がキレイ。音も生音かどうかは別として、クリアで迫力があって良かった。そして、どうやって撮ったのかと思ってしまう、高画質で素晴らしい映像の数々。ただ、ストーリーもなく、ナレーションだけで85分間もたせるのは厳しい。途中でかなり気を失いそうになった。ボクだけかと思ったら、終わって出て行く時にあちこちでそんな声が聞こえた。やはりこういうネタはTV向き。ただ、今週はほかに見たい作品が無く、溜まったポイントで見られる作品のうち、見たいものがこれくらいしかなかったと……。 「命をつなぐ物語」とサブタイトルが付けられているが、やはり野生動物のドキュメンタリー映像(クレジットを見るとデジタル効果も使われているようだが……)を見ていると、どうしても「弱肉強食」「適者生存」といった言葉が浮かんでくる。厳しい環境や、より強いものに破れたものは子孫を残せないし、生き残れない。これが自然の摂理。ボクなんか荒野の中に放り出されたら真っ先に死んでしまうクチだ。しかし人間界では弱者でも生きていける。助けてもらえる。病気になっり大怪我をしても生き残れる可能性はある。だからここまで人口が増えたのだろう。野生動物たちは自然界の摂理に従い、たぶん適度な数を保って命をつないでいる。こういうドキュメンタリーを見ていると、そう感じざるを得ない。食べられて他の命をつなぐためになってる命がたくさんある。食物連鎖。だから、見終わると、自然の厳しさをあらためて思い知らされる。人間はその外で良いのだろうかと。 オリジナル版のナレーターは、ニュー・ボンドのダニエル・クレイグ。製作会社はイギリスの放送局BBCで、ここは日本で言えばNHKみたいなところ。 監督・脚本はマイケル・ガントンとマーサ・ホームズの2人。マイケル・ガントンは1990年代からずっと自然や動物をテーマとしたTVドキュメンタリーを、2000年以降はBBCでのエグゼクティブ・プロデューサーとして製作してきた人。監督としては3本目で、劇場作品は初めて。マーサ・ホームズは1990年代末から、デヴィッド・アテンボローがナレーションを担当する自然や動物をテーマとしたTVドキュメンタリーをBBCで手掛けてきた人。監督は初めて。 公開4日目の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。15分前くらいに開場となって、一番上の階の劇場へ。あれだけCMをやっていて、この小さいキャパとは。観客層は下は小学生くらいから、中高年まで幅広かった。男女比はほぼ半々。ファミリーが目立っていた。最終的に127席がほぼ埋まった。 気になった予告編は……中年のオジサンが定年退職になって、そしたらガンになって、to do listを作って、無くなるまでというドキュメンタリー「エンディング・ノート」はかなりショッキング。人の良さそうなオジサンが主人公で、みるみる痩せていって、最後はベッドの上でよくわからなくなって……予告だけで泣けてくる。まわりでもかなり涙を拭っている人が……。これからお目当ての作品を見るというのに、この落ち具合……なんだかなあ。ほかは、ほとんど見たものばかりで、新しいものはなかった。 |