Green Lantern


2010年9月10日(土)「グリーン・ランタン」

GREEN LANTERN・2011・米・1時間54分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(マスク、by Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)
(3D字幕版、3D吹替版、デジタル字幕版もあり)
公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/greenlantern/index.html
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

10億年前、グリーンのパワーが宇宙を36,000のセクターに分け、恐れを知らぬものだけがグリーン・ランタンの勇者としてそれぞれのセクターの平和と秩序を守ることにした。ところがパララックスと名乗る敵が現れ、伝説の勇士アビン・サー(テムエラ・モリソン)は無人のライウット星に閉じこめた。ところがあるときそのライウット星に3人の宇宙飛行士が不時着し、パララックスが閉じ込められていたところへ迷い込む。パララックスは宇宙飛行士たちの恐怖を吸い取り復活、6ヶ月後アビン・サーに復讐を果たす。命からがら地球へと脱出したアビン・サーは、自分の代わりとなるものを選ぶように指輪に命じる。そしてリングが選んだのが、ついつい暴走しがちなテスト・パイロットのハル・ジョーダン(ライアン・レイノルズ)。アビン・サーは「栄誉と責任のある役目」を引き継いで息を引き取る。

71点

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 うーん、なんだか「ヒーロー・アメコミ」という型があって、そこに粘土とかを押し込んで作ったかのような映画。破綻はしていないし、そこそこ良くできているのに個性がなく、誰が作ってもほとんど同じで、面白みがない。しかも現実味もゼロ。まったくの作り話、絵空事、いかにも物語という感じ。かといってビジュアルが秀でているかというと、それもそこそこ。ただ3D上映というだけで、引きの絵は人間もCGのようだし、特殊メイクはカラー・コンタクトで目の色を変えるのがメインという印象。実は、ボディー・スーツのスジをいちいち光らせているなど手を掛けているのに、全く生きていない。もっと他に手を掛ければいいのに。

 しかもランタンって。日本じゃ、どうしても古くさいイメージ。フラッシュライトじゃなくて、手提げランプ。ファンタジーであっても、どうにもSFチックな雰囲気がしない。そして、「ステルス」(Stealth・2005・米)みたいな人工知能の戦闘機を出しておきながら、ほとんど活躍しないし、後でも生きてこないって……。

 勇者としての自覚のない若者、美人のヒロイン、敵になる友人、政府の秘密兵器開発、宇宙からの地球侵略、思い上がり、挫折、改心……どこかで聞いたような設定、話ばかり。これだけ詰め込んで、ひとつも化学反応が起きなかったと。

 登場した銃はハル・ジョーダンが想像で作り出したM134ミニガン、そして20mmらしい4連装機関砲。パソコンはMacBookとiMac。

 主役のハル・ジョーダンを演じたのはライアン・レイノルズ。二枚目で、いろんな作品に出ているが、いまひとつパッとしない。なんかかわいそうな人。しかもスカーレット・ヨハンソンと結婚したのに、2010年に離婚しているし。ボク的に記憶に残っているのはアクション・コメディの「セイブ・ザ・ワールド」(The In-Laws・2003・米/独/加)でマイケル・ダグラス演じるCIAエージェントの息子役。その後、吸血鬼アクションの「ブレイド3」(Blad: Trinity・2004・米)、リメイク・ホラー「悪魔の棲む家」(The Amityvill Horror・2005・米)、傑作アクション・コメディ「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」(Smokin' Aces・2006・英/仏/米)、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(X-Men Origins: Wolverune・2009・米)、ぴったりハマっていた「あなたは私の婿になる」(The Proposal・2009・米)、そして本作の前にコンセプトは良かった生き埋め1人芝居「[リミット]」(Buried・2010・西/米/仏)。

 ヒロインのキャロルはブレイク・ライヴリー。1987年生まれの24歳。ちょっと日本のおバカタレントのスザンヌに似た雰囲気で、ショウビズ・ファミリーの家に生まれ、子役として映画の世界から入ったようだが、日本でも知られるようになるのはTVドラマの「ゴシッブ・ガール」(2007〜)からだろう。残念ながら本作ではあまり印象に残らない。

 敵となる同級生ヘクター・ハモンド博士は、悪役の多いピーター・サースガード。ハリソン・フォード主演でロシア原潜事故を描いた「K-19」(K-19: The Widowmaker・2002・英/独ほか)や、ジョディ・フォスターがヒステリックだった「フライトプラン」(Flightplan・2005・米)、戦闘シーンの少ない戦争映画「ジャーヘッド」(Jarhead・2005・独/米)などに出ていて、最近ではトム・クルーズのアクション「ナイト&デイ」(Knight & Day・2010・米/豪)の追手をやっていた。

 キャロルの父カール役がジェイ・O・サンダース。1980年くらいから活躍している人で、多くの作品に脇役として出ている。最近はメル・ギブソンの警察もの「復讐捜査線」(Edge og Darkness・2010・英/米)に裏切る刑事役で出ていた。

 政府の研究所の女ボス、アマンダ・ウォラーはアンジェラ・バセット。1980年代から活躍しているベテラン。デンゼル・ワシンシンの「マルコムX」(Malcom X・1992・米/日)や「TINAティナ」(What's Love Got to Do with It・1993・米)で高く評価されたものの、2000年に入ってからはTVが多かった模様。

 ヘクター・ハモンドの父で上院議員のロバート・ハモンドはティム・ロビンス。見ていないが評価の高い「ザ・プレイヤー」(The Player・1992・米)やコーエン兄弟の「未来は今」(The Hudsucker Proxy・1994・英/独/米)、感動大作「ショーシャンクの空に」(The Shawshank Redemption・1994・米)などのドラマに出ているかと思えば、怖いサスペンス「隣人は静かに笑う」(Arlington Road・1999・米)やお下劣傑作コメディ「オースティン・パワーズ:デラックス」(Austin Powers: The Spy Who Shagged Me・1999・米)にも出て、残念なSFコメディ「ザスーラ」(Zathura: A Space Adventure・2005・米)なんかにも出ていた。最近見かけないなと思っていたら、こういう役か。

 グリーン・ランタンの勇者のリーダーらしいキザな野郎、シネストロは悪役の多いマーク・ストロング。最近ではラッセル・クロウの時代物「ロビン・フッド」(Robin Hood・2010・米/英)や、傑作アクション・コメディ「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)で憎たらしい悪役をやっていたばかり。イギリス出身の人なので、ガイ・リッチー監督の「リボルバー」(Revolver・2005・仏/英)や「ロックンローラ」(RocknRolla・2008・英)にも出ている。

 半魚人のようなトマ・レーの声はジェフリー・ラッシュ。つい最近「パイレーツ・オブ・カリビアン/命の泉」(Pirates of Caribbean: On Stranger ・2011・米)に出ていたし、その前には「英国王のスピーチ」(The King's Speech・2010・英)に出ていた。またアニメの「ガフールの伝説」(Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole・2010・米/豪)の声もやっていたから初めてというわけでもない。

 ゴリラのようなキロウォグの声はマイケル・クラーク・ダンカン。大ヒット作「グリーンマイル」(The Green Mile・1999・米)の心優しい黒人の囚人を演じた人。最近は日本の人気ゲームの映画化「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュン・リー」(Street Fighter: The Legend of Chun-Li・2009・加/印ほか)に出ていて、前作から引き続き続編の「キャッツ&ドッグズ 地球最大の肉球大戦争」(Cats & Dogs: The Revenge of Kitty Galore・2010・米/豪)でも声をやっていたので、こちらもシロートではなかったと。

 この平均的脚本を書いたのは4人。グレッグ・バーランティ、マイケル・グリーン、マーク・グッゲンハイム、マイケル・ゴールデンバーグ。多すぎたのかもしれない。グレッグ・バーランティはTVの人で、マイケル・グリーンとマーク・グッゲンハイムは共に脚本は始めて。マイケル・ゴールデンバーグのみジョディ・フォスターのSF「コンタクト」(Contact・1997・米)や話題が先行した実写版の「ピーター・パン」(Peter Pan・2003・豪/米/英)、人気シリーズ第5弾「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(Harry Potter and the Order of the Phoenix・2007・英/米)などを書いている。この人に任せた方が良かったか……。

 監督はマーティン・キャンベル。レイ・リオッタのアクション「ノー・エスケイプ」(No Escape・1994・米)で認められ、007シリーズに抜擢され、「007/ゴールデンアイ」(GoldenEye・1995・英/米)と「007/カジノ・ロワイヤル」(Casino Royal・2006・英ほか)を撮っている。「マスク・オブ・ゾロ」(The Mask of Zorro・1998・米/独)も面白かったし、つい最近メル・ギブソンの骨太アクション「復讐捜査線」(Edge of Darkness・2010・英/米)を撮っている。アクションが上手い人。でも、本作は……残念。

 光が文字になって粉のように散っていくエンディングの文字はyU+Co。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で前日に確保。30分前くらいに着いてコーヒーを飲みながら待っていると15分前くらいに開場。ロビーでケータイの電源を切るようにアナウンスした方が良いんじゃないかなあ。とにかくボクら日本人はマナーが悪い。でもルールはちゃんと守る。だからマナーのレベルじゃなく、ルールにしてしまわないと。終わったらロビーでオンにしろと。終わったと思ったらすぐに場内でケータイをチェックするヤツもいるし。

 若い人たちは少なく、メインは中高年。10分前くらいで女性は30人のうち3人くらい。最終的には607席に50人くらいの入り。関係者らしい人が1人いたが、これはショックだったのでは。初日でこれはヤバい。

 気になった予告編は……上下マスク日本語の「親愛なるきみへ」は、あまりにストレートすぎる恋愛ものという感じで、引いてしまう感じ。どうなんだろう。

 前作と前前作はコケたと思うのだが、さらに作られたという「スパイキッズ4D」は3Dプラス「におい」で4Dなんだとか。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってから、ダークナイト3部作の最終章、クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト・ライジング」は、ティーザーなので内容はさっぱりわからないが新しい敵が現れると。2012年夏の公開なのに、もう予告?

 「ワイルド7」は同じ内容だがシネスコでの上映。やっぱりデカイといい。ただ全員がグロックみたいで、1人1人違う銃の方が良かったなあと。期待できないのか?

 吹替の「ハッピィフィート」は歌のみ原語で、とにかく黒人のラップっぽい感じ。ちょっと絵のペンギンと合わない感じも。 ……。


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