Fast Five


2010年10月1日(土)「ワイルド・スピード MEGA MAX」

FAST FIVE・2011・米・2時間10分

日本語字幕:手書き風書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、DATASATデジタル、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル、dts、SDDS)

(米PG13指定)(日本語吹替版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://www.mega-max.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり。情報少)

25年の刑を宣告されたドミニク(ヴィン・ディーゼル)は刑務所に移送されることになる。妹のミア(ジョーダナ・ブリュースター)とその彼氏で元FBI捜査官のブライアン(ポール・ウォーカー)は、護送バスを襲撃、救出する。しばらくして、待ち合わせ場所のブラジル、リオデジャネイロに現れたミアとブライアンは、街のギャングのヴィンス(マット・シュルツ)のもとを訪れるが、まだドミニクは現れていないという。そして、金に困っていた2人はヴィンスに誘われ、列車輸送される高級車を強奪する計画に加わることに。ところが、始まってみると車がアメリカのDEAが押収したものとわかり戸惑っているうちに、同行していたDEA捜査官に気付かれ、一味の1人、仕切っていたジジ(マイケル・アービー)がDEA職員を射殺してしまう。そこへドミニクが現れ、計画変更だと車を奪い2人を手助けして逃走する。実際には、車はブラジル1の麻薬ギャングのボス、ライエス(ヨアキム・デ・アルメイダ)のもので、秘密が隠されており、彼らから追われる羽目になる。さらに、職員を殺害されたDEAはドミニクたちを逮捕するためホブス(ドウェイン・ジョンソン)をリーダーとするDSSの特殊部隊をブラジルに派遣する。

85点

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 すごい映画。久しぶりに、何も考えずに映画を堪能した。まあ、ありえないようなピカレスク・アクションだが、おもしろい。理屈抜き。感動するとかいうのではないが、130分間、嫌なこととかすべて忘れて、映画の世界に没入して楽しんだ。最近こういう映画はなかった。痛快、爽快、これぞエンターテインメント。たぶん、突っ込みどころもあるんだろうけれど、見ている間はちっとも気にならなかった。そこも素晴らしい。

 仲間との絆、友情、愛、そして犯罪都市と特別タスク・フォース、カー・アクション、銃撃戦、イケメンに美女……面白い要素満載。それがちゃんと1つにまとまって、相乗効果でより面白くなっている。

 ただ、一言でいうと、これは「ミニミニ大作戦」(The Italian Job・1969・英)の「ワイルド・スピード」版。その分野の専門家の仲間を集めて、一世一代の大仕事をやると。これまでシリーズに登場した主要キャラも登場し、ファンの期待を裏切らない。

 ブラジルのリオデジャネイロが舞台になっているが、実際、住んでいる日本人の知人に聞いたところ、街では麻薬ギャングが時々派手な抗争劇を繰り広げるらしい。そして撃ち合いなどで死人が出ると、警察よりも早く組織の処理車がやって来て、死体を片づけ、血も洗い流してしまうらしい。警察が来たころには何の証拠も残っていないと。そういうところで、こんな話は十分に起こりえるだろう。

 何より上手いのは、単に主人公たちと麻薬ギャングの戦いだけでなく、アメリカのDEA(麻薬取締局)がらみでDSS(Diplomatic Security Service、外交安全部?)という組織が絡んでくること。彼らにとって相手は犯罪者だ。この特殊部隊は、地元警察と違って腐敗していない分、DEAの敵討ちとばかりに真っ正面から合法的にグイグイと押してくる。ここがまた面白い。

 ドミニクはヴィン・ディーゼル。このところこのシリーズしかない感じ。前作「ワイルド・スピードMAX」(Fast & Furious・2009・米)はやや残念だったから、本作は久々のヒット作ではないだろうか。独特の雰囲気を持つアクション・スターだが、年齢のこともあるのでいつまでもアクションだけで押していけないだろうと、つい余計なことまで考えてしまう。ヘタをすればスティーヴン・セガールになってしまうと。ポンプ・ショットガンをメインで使っている。ちなみに前作と本作ではプロデューサーも務めている。

 ブライアン役のポール・ウォーカーは、大作は少ないが、B級系で面白い作品に出ている。ただ最近公開作品がなく、やっぱり「ボビーZ」(The Death and Life of Bobby Z・2007・米/独)と「ワイルド・バレット」(Running Scared・2006・独/米)を上げるしかないのは残念。使っていたハンドガンはP226R。長物はM4A1 CQB-R。

 ミア役のジョーダナ・ブリュースターも同様。本シリーズ以外はパッとしない。人気TVシリーズ「CHUCK/チャック」にゲスト出演しているくらいか。

 光っているのはDSSのリーダー、ホブス役のドウェイン・ジョンソン。マッチョさと正義感溢れるタフな男という像がピッタリ重なる。だいたいコメディかアクションという感じ。やっぱりB級作品で、「ファースター怒りの銃弾」(Faster・2010・米)や「アザーガイズ俺たち踊るハイパー刑事」(The Other Guys・2010・米)など日本ではどれも極小劇場での公開。邦題までもがいかにもB級。良いんだけどなあ。使っていた銃はショットガン付きのM4カービンと、サイ・ホルスターにS&WのM629のカスタム。

 麻薬ギャングのボス、ライエス役はヨアキム・デ・アルメイダ。こんな役が多い人。「ボビーZ」(The Death and Life of Bobby Z・2007・米/独)でポール・ウォーカーと共演している。リュック・ベッソンの残念なアクション「パリより愛をこめて」(From Paris With Love・2010・仏)にも出ていた。

 街のギャングのヴィンス役はマット・シュルツ。悪役が多い人で、本シリーズ第1作の「ワイルド・スピード」(The Fast and The Furious・2001・米/独)でもヴィンス役で出ている。「ブレード」(Blade・1998・米)、「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏)、「トルク」(Torque・2004・米/豪)などがあったが、最近はあまり見かけず最後に見たのは「Mr.ブルックス完璧なる殺人鬼」(Mr. Brooks・2007・米)だったか。

 腐敗した地元警察の中で、ホブスが指名するクリーンな新人女性警官、エレナを演じたのはエルサ・パキタ。ヘビ映画「スネーク・フライト」(Snakes on a Plane・2006・独/米/加)に出ていたらしい。使っていた銃はタウルスのPT92。

 「七人の侍」(1954・日)のように集められるスペシャリストたちは……スゴ腕の美女ジゼルはシリーズ第4作の前作「ワイルド・スピードMAX」(Fast and Furious・2009・米)でデビューした2004年のミス・イスラエル、ガル・ギャドット。ほかにトム・クルーズの「ナイト&デイ」(Knight and Day・2010・米)にも出ていたらしい。

 そのジゼルといい雰囲気になる韓国人の設定らしいハンはアメリカ生まれのサン・カン。シリーズ第3作「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(The Fast and the Furious: Tokyo Drift・2006・米/独)から同じ役で出演。ほかに「ダイ・ハード4.0」(Love Free or Die Hard・2007・米/英)や最近では見ていないが「ニンジャ・アサシン」(Ninja Assassin・2009・米/独)に出ていたらしい。

 黒人の走り屋ローマンはタイリース・ギブソン。シリーズ第2作「ワイルド・スピードX2」(2 Fast 2 Furious・2003・米/独)でブライアンの相棒を演じた人。マイケル・ベイの「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)に兵士役で出ていた。ほかにSFホラー・アクション「レギオン」(Legion・2009・米)にも出ていた。

 ラスト、ホブスの同僚のような感じでチラリと出てくるのはエヴァ・メンデス。どうも最近はB級が多いようで、つい最近「アザーガイズ俺たち踊るハイパー刑事」でドウェイン・ジョンソンと共演しているらしい。手にしている写真が前作で命を落としたはずの、ミシェル・ロドリゲス演じるレティの写真。さらに続編を作る気まんまんか。

 脚本はクリス・モーガン。シリーズ第3作「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」と第4作「ワイルド・スピードMAX」も書いている。ほかには面白かった巻き込まれアクション「セルラー」(Cellular・2004・米/独)やロシアの監督が撮ったアクション「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)などを書いている。「?」なものもあるが、「セルラー」のエッセンスみたいなものが本作でも生きているのだろうか。

 監督は台湾出身で38歳という若手のジャスティン・リン。このシリーズは第3作から手掛けて3作目。前2作はそれほどでもなかったが、本作はずば抜けて良かった。スタッフや脚本に大きな変化はないので、何か特別な化学反応が起こったのか。噂では第6作も手掛けるらしい。期待しよう。

 ほかに銃はDSSのエイジェントがP90やUMP、EBR、M134ミニガンなど。ギャングはUZI、AK47S、MP5,カール・グスタフSMGなど。リオデジャネイロの警察はM16、FALなどを使用。キー・ウェポンはデイヴィッド・フェンクル。「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(X-Men: First Class・2011・米)や「シャッターアイランド」(Shutter Island・2010・米)などを手掛けた人。アーマラーは小道具係もやるテリー・アッチソンという人。「ナイト&デイ」や、マイケル・マン監督の「パブリック・エネミーズ」(Pubric Enemies・2009・米)などを手掛けている。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保、30分前くらいに着いたら、ビルの外にまでエレベーター待ちの列が。ここの劇場は客の流れが上手くないので、ちょっと人が多くなっただけですぐ長蛇の列ができて混雑する。映画の日で、人が増えたらしい。エレベーターに乗るまで5分ほど掛かった。

 ロビーはそれほど混んでいなかった。コーヒーを飲みながら待っていると10分前くらいに開場。20代くらいから中高年まで幅広かったが、メインは20代くらい。やや多かった。そして男女比はほぼ半々くらい。最終的には228席に8割くらいの入り。これからウワサが広がって入場者が増えるかも。

 まあ、それにしても遅れて入ってくるヤツが多い。酷いヤツになるとケータイを照明代わりにこうこうと光らせて入ってくるから信じられない。

 気になった予告編は……300万の借金で「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏/米)のような運び屋をやることになるという「スマグラー」は面白そうだが、どうだろう。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってから「タンタンの冒険」の新予告。絵はスゴイけれど、やっぱり不気味。動きも不自然。なぜこんなに写実的にしたんだろう。アニメなんだからサー。

 同じ3D-CGアニメでも「ランゴ」は違和感なし。ペットのカメレオンが車から落ちて砂漠の町に迷い込むというお話らしい。ジョニー・デップのアテレコの様子なども交えた予告はとても興味深い。面白そう。

 「カウボーイ&エイリアン」し新予告か長いバージョン。突拍子もない設定だが、面白そう。ガン・コーチはセル・リードらしい。ということは本格派だ。


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