The Last Exorcism


2010年10月8日(土)「ラスト・エクソシズム」

THE LAST EXORCISM・2011・米/仏・1時間27分

日本語字幕:丸ゴシック体下、田中和香子/ビスタ・サイズ(1.85、with Panavision)/ドルビー・デジタル

(米PG-13指定、日PG12指定)

公式サイト
http://www.lastexorcism.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり。情報少)

アメリカ、ルイジアナ州バトンルージュのコットン・マーカス牧師(パトリック・ファビアン)は説教がうまく、多くのエクソシズム(悪魔払い)をやって来た実績を持つ有名人。しかし、息子が障害を持って生まれたことから神への信仰が揺らぎ、しかもほかでエクソシズム中に幼い被験者が窒息死した事件をきっかけに手品まがいのエクソシズムをやめる決心をし、1通の助けを求める手紙の家族のところへ行ってエクソシズムの儀式の舞台裏をドキュメンタリー映画として撮り、それを最後にしようとしていた。そしてヴードゥや怪しい宗教が昔の形のまま残っているそのアイヴァンウッドの町へ向かうが……。

70点

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 ドキュメンタリー・タッチのホラーというと印象が変わるが、良くあるPOVシロート撮り風ホラー。もう飽きたっつうの。しかもちゃんとした物語の形になっていない。どんでん返しはあるものの「起・承・転」で終わり。「結」はなし。そんな印象。最初に、これはルイジアナで発見された取材テープの全貌、というようなフリで始めておきながら、最後がどう考えてもビデオ・カメラを破壊されて、テープは燃やされるだろうなあというエンディングではつじつまが合わない。だから「結」がないような気になる。せめて、警察が到着して、そこにいた連中がクモの子を散らすように逃げたとかいうのでないと、なぜテープが残ったのか納得できない。そもそも矛盾が生じてしまうドキュメンタリーの設定なんかで撮らない方が良かったのでは。

 だいたいPOVで撮ったものはつまらない。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(The Blair Witch Project・1999・米)に始まり、「クローバーフィールド/HAKAISHA」(Cloverfield・2008・米)だ、「REC/レック」([REC]・2007・西)だ、「パラノーマル・アクティビティ」(Paranormal Activity・2007・米)だと、どれも見るだけで疲れるし、お金を取れるクォリティじゃない気がする。無料のTV放送なら良いけど。「THE 4TH KINDフォース・カインド」(The Fourth Kind・2009・米/英)はちゃんと三脚で撮っていたか。

 聖職者が悪魔憑きを信じていないという話自体も「ザ・ライト −エクソシストの真実−」(The Rite・2011・米)と似ているし、ならばちゃんとドラマとして撮っている「ザ・ライト」のほうがずっといい。まあ役者も一流だし。本作はあえて有名俳優を避けたのだろうが、その手法もほかにたくさんあるから、本作のアイデンティティはどこにあるのだろう。エクソシストなら「エミリー・ローズ」(The Exorcism of Emily Rose・2005・米)もある。悪魔の赤ちゃんなら「ローズ・マリーの赤ちゃん」(Rosemary's Baby・1968・米)があるし。シュワルツェネッガーの「エンド・オブ・デイズ」(End of Days・1999・米)もあったなあ。キム・ベイシンガーの「ブレス・ザ・チャイルド」(Bless the Child・2000・米/独)とか、いちいち上げていたら切りがないほど。これはすぐDVD発売か。

 コットン・マーカス牧師を演じたのはパトリック・ファビアン。TVの人で、映画は過去に大統領暗殺を描いたキューバ・グッティング・Jrの「エンドゲーム 大統領最期の日」(End Game・2006・独/米/加)などに出ている。

 農場の怖い父親ルイスはルイス・ハーサム。この前に日本の格闘ゲームの実写版「TEKKEN-鉄拳-」(Tekken・2009・日/米)に出ていたらしい。よく見かける気がするが……。持ち出す銃は水平二連ショットガン。

 とりつかれた娘ネルをアクロバティックに演じたのはアシュリー・ベル。美人がやるからなお怖いのかも。TVに出ていたようだが、最近映画へ。でも「THE LAST EXORCISM 2」って。作るの?

 不気味なキレキャラ、ケイレブはケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。つい最近ハリウッド大作の「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(X-Men: First Class・2011・米)にバンシー役で出ていたばかり。

 地元のマンリー牧師はトニー・ベントリー。ニコラス・ケイジのリメイク腐敗刑事もの「バッド・ルーテナント」(The Bad Lieutenant: Port of Call - New Orleans・2009・米)やジム・キャリーの同性愛映画「フィリップ、きみを愛してる!」(I Love You Phillip Morris・2009・仏/米)に出ているらしい。

 たぶん、役者はみな上手い。

 脚本は製作総指揮も兼ねるハック・ボトコとアンドリュー・ガーランド。2人とも一緒に仕事をしているようで、手掛けた作品はどれも日本公開されていない。うーむ、どうなんだろう。

 監督はダニエル・スタム。ドイツ生まれの35歳。劇場長編映画としては2作目で、ドキュメンタリー作家を描いた前作が評価されて本作に至ったらしい。それでドキュメンタリー・タッチなのか……。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。10分前くらいに開場となって場内へ。この時点で10人くらい。うち女性が3人ほど。若い人が多いような印象。関係者らしい人が2人ほど。あまり予告やCMをしていないこともあってか、最終的に149席に20人ほどの入り。これは寂しいが、この出来だとこんなものかも。それにしても、遅れて入って来て、見えないもんだから携帯をライト代わりに使うのはやめろ。1〜2分じっとしていれば目が慣れて見えるようになる。左右の目を交互に早くパチパチすれば、もっと早く見えるようになる。プンプン。

 気になった予告編は……亡くなった人の死の8分前の意識に入り込み体験できるという装置を使い、列車爆破事件の犯人を捜すという「ミッション:8ミニッツ」が面白そう。変更はできないが、繰り返される過去。はたして犯人を見つけることは出来るのか。「恋はデジャ・ブ」(Groundhog Day・1993・米)とか、SFアクションの「リバース」(Retroactive・1997・米)、はたまたデンゼル・ワシントンの「デジャヴ」(Deja Vu・2006・米/英)や、ニコラス・ケイジの「NEXT -ネクスト-」(Next・2007・米)のような映画か。いずれにしても見たい!!


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