Captain America: The First Avenger


2010年10月15日(土)「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」

CAPTAIN AMERICA: THE FIRST AVENGER・2011・米・2時間04分(IMDbでは105分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、川又勝利/シネスコ・サイズ(マスク、Arri、Super 35、デジタルHDCAM)/ドルビー・デジタル、DATASATデジタル、SDDS

(米PG-13指定)(3D上映、日本語吹替、デジタル上映もあり)

公式サイト
http://www.captain-america.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

現代、北極圏で氷に埋まった正体不明の飛行物体が発見される。レーザーで穴を開け、中に入った軍はあるものを発見する。1942年、ノルウェーの古い教会にヨハン・シュミット(ヒューゴ・ウィーヴィング)率いるドイツ軍が侵入し、厳重に隠されていた伝説のコズミック・キューブを持ち去る。同じ頃、アメリカ、ニューヨークでは小柄で病弱な青年スティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は5回目の兵役検査に不合格となっていた。しかし親友のバッキー(セバスチャン・スタン)は合格し、第107連隊に配属が決まった。そんなとき、スティーブの前にSSRのアーキン博士(スタンリー・トゥッチ)が現れ、たった一度だがチャンスをやるという。アーキン博士とともに「スーパー・ソルジャー計画」を進めるチェスター・フィリップス大佐(トミー・リー・ジョーンズ)の部隊に入隊したスティーブは、体力的には劣るが、愛国心と本物の勇気を評価され、「超人血清」の実験台に選ばれる。女性エージェントのペキー・カーター(ヘイリー・アトウェル)に連れられ、秘密施設で施術を受ける。実験は成功し、強靭な肉体も手に入れたスティーブはその血清を奪いに来ていたスパイの活動を阻止し、一躍ヒーローに祭り上げられる。しかし「スーパー・ソルジャー計画」に関わる議員は彼を戦時公債購入キャンペーンの広告塔にしてしまう。

73点

1つ前へ一覧へ/次へ
 リアリティをもって1人の名もない男がヒーローになるための過程をじっくりと描いたため、長い。ただし、コンプレックスを持ちつつ決して諦めなかった小男から始めておきながら、結局はマッチョな大男のタフガイでないとヒーローにはなれないと言うのは、ちょっと矛盾を感じるし残念。小男にとっては、まったく希望を失うような話。誰でもヒーローになれるわけではないと。

 しかし、エンターテインメントの映画としては、不細工な小男が主人公になるよりも、ハンサムな見た目も良いナイスガイが主人公になった方が良い。「シュレック」(Shrek・2001・米)がいい例だろう。不細工ヒーローでは盛り上がらない。そうわかってはいても、小男のままマッチョなヒーローになって欲しかった気もする。

 物語はリアルにしようとしているが、そこはアメコミ原作のファンタジー。第二次世界大戦には全くそぐわない光線銃のような武器、装甲車、車、装備などがチョー近代的。劇中で、現代の技術では作れないと言わせてはいるが、進みすぎだろう。それで、通常兵器のアメリカ軍に負けるんだからなあ。エンターテインメントとしてはこれでもいいんだろうけれど、ほかをリアルにしようとしている分だけバランスが悪い感じがする。

 そのせいか、良くできているのに、いまひとつピンと来なかった。小男だった時の方が良く感情が伝わってきた。もったいない。ラストには007のように「キャプテン・アメリカ」はもどってくるという文字が。そして「アベンジャーズ」ではマーベル・コミックのヒーロー・キャラクターが勢ぞろいするという予告まで。

 登場する銃は第二次世界大戦ものの定番、M1ガーランド、M1カービン、M1A1パラトルーパー・カービン、M3グリスガン、ルガーP08、ワルサーP38、MP40、M1919マシンガン(なんと腰だめ撃ち)、トンプソンM1928(MGCっぽいものも……)、ステンMkII、ウインチェスターM97トレンチ・ガンなどが登場。そして戦車はM3スチュアート。

 スティーブ・ロジャース役はクリス・エヴァンス。冒頭のやせっぽちで小柄な体形は「ベンジャミン・バトン数奇な人生」(The Curious Case of Benjamin Button・2008・米)でブラッド・ピットを小柄な老人にした技術だろう。傑作巻き込まれアクション「セルラー」(Cellular・2004・米/独)では重要な役だったが、それ以降は残念なSFアクション「ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]」(Fantastic Four・2005・米/独)などいまいちな感じ。最近はオタク・ファンタジー「スコット・ピルグリム」(Scott Pilgrim vs. The World・2010・米/英/加)にちょっとだけアクション・スター役で出ていたくらい。久々の主演。がんばって欲しい。使っていた銃はコルトM1911A1がメインで、トンプソンM1928も使用。

 敵役のレッド・スカルことヨハン・シュミットにはヒューゴ・ウィーヴィング。傑作SF「マトリックス」(The Matrix・1999・米/豪)シリーズが強烈だったが、世界的な大ヒット・ファンタジー「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001・ニュージーランド/米)シリーズ、おバカSF「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)シリーズなど(メガトロンの声だけだが)、大作ヒット・シリーズにはすべて関わっている。スゴイ。使っていた銃はルガーP08。

 紅一点のエージェント・カーターはヘイリー・アトウェル。意思の強そうな感じがピッタリ。これまではTVがメインだったようで、劇場長編映画ではキーラ・ナイトレイの「ある公爵夫人の生涯」(The Duchess・2008・英/伊/仏/米)に出ていたらしい。銃を撃つ姿が決まっていた。使っていたのはコルトM1911A1とワルサーPPK、そしてトンプソンM1928もぶっ放す。

 チェスター・フィリップス大佐はトミー・リー・ジョーンズ。あまり活躍しないのに存在感があるのはさすが。最近はボスのCMの宇宙人ジョーンズがすっかりおなじみだが、最近作は小劇場で公開された「カンパニー・メン」(The Company Men・2010・英/米)。

 ラストにシールドのニック・フューリーとしてサミュエル・L・ジャクソンが登場。

 脚本はクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーのコンビ。大ヒット・ファンタジーの「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」(The Chronicles of Narnia: The Lion. thge Witch and the Wardrobe・2005・米/英)シリーズを書いた人たちだ。冒険物語は得意と言うことなのだろう。

 監督はジョー・ジョンストン。特殊効果から才能を見出され、「ミクロキッズ」(Honey, I Shrunk the Kids・1989・米)で監督デビュー。SF冒険活劇的な作品が多いが、実話を映画化した傑作「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)を撮った人。「ジュラシック・パークIII」(Jurassic Park III・2001・米)も撮っている。最近作はちょっと残念だったベニチオ・デル・トロの「ウルフマン」(The Wolfman・2010・米)。

 公開2日目の2回目、3Dの初回、新宿の劇場は全席指定で前日に確保。12〜13分前に開場になり場内へ。3Dメガネはちょっとクモリがあったが、差額400円だとこんなものか。返すんだから200〜300円が適当のような気もする。スクリーンも暗くなるし、重いし……。20代くらいから中高年まで幅広いが、メインは若い人たち。男女は半々くらい。関係者が3〜4人いてアンケートを配っていた。

 最終的には9〜9.5割くらいの入り。さすが話題作。ただ、アンケートがあるなら入れ換え時間をもっと長く取らないと。見終わってから書く項目も多く、なかなか席を立たない人が多く、せまい廊下も次の回を待つ人とアンケートを書く人で混乱していた。

 スクーンが左右に広がって始まった予告で気になったものは……アンケートがあるためか本編直前まで明るく、暗いシーンのある予告編はよく見えなかった。これも迷惑。

 マーチン・スコセッシがファンタジーを撮るそうで、クロエ・モレッツが出演する「ヒューゴの不思議な発明」は2012年春公開で、やっぱり3D上映になるらしい。まだ日本語のページはない模様。

 3Dになってオレ様映画、ドリームワークスのアニメ「長ぐつをはいたネコ」は日本語吹替での予告。子供向きのような印象だが……。「インモータルズ」も3Dでの予告。何回か見ていたが、たしかに印象が違う気はする。はたして3Dで見る価値はあるか。

 「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」も3Dでの予告。派手なシーンが多いので、戦闘シーンは3Dの効果があるかもしれない。ただ2Dの方が集中できるのは確か。


1つ前へ一覧へ/次へ