The Three Musketeers


2010年10月29日(土)「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」

THE THREE MUSKETEERS・2011・独/仏/英/米・1時間47分

日本語字幕:丸ゴシック体下、佐藤恵子/シネスコ・サイズ(2.35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(3D上映、日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://34.gaga.ne.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

17世紀、フランスはルイ13世(フレディ・フォックス)の治世だったが、幼すぎたため実際にはリシュリュー枢機卿(クリストフ・ヴァルツ)が実権を握っていた。国王直属の部隊である近衛銃士隊の3人、アトス(マシュー・マクファディン)、アラミス(ルーク・エヴァンス)、ポルトス(レイ・スティーヴンソン)の3人はミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)と協力して、フランスのためにイタリアのベネチアから、ダ・ヴィンチの飛行船の設計図を盗み出すことに成功する。しかし、ミレディの裏切りにより図面はイギリスのバッキンガム公(オーランド・ブルーム)に奪われてしまう。1年後、フランスの片田舎の青年ダルタニアン(ローガン・ラーマン)は父から剣の特訓を受け、銃士になるためパリに向かう。しかし途中で護衛士隊のロシュフォール(マッツ・ミケルセン)に見とがめられ、殺されそうになるがミレディに助けられる。3日後、偶然にもパリで三銃士と出会ったダルタニアンは、予算削減で銃士隊が解散させられたことを知る。そして彼らとともに、取り締まりに現れたロシュフォールの護衛士隊を追い払うと、仲間になることに。

73点

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 良く出来た冒険談。しかも、ダ・ヴィンチの飛行船まで取り込んで、映画らしいスケールの大きな奇想天外な物語に仕上げられている。3D上映を意識した絵作りで、2Dで見ても立体的な感じがするほど。加えて、ポール・W・S・アンダーソン監督ならではの、迫力ある銃撃・砲撃戦。

 そして美女たちを最高にきれいに見せる演出。ミレディのミラ・ジョヴォヴィッチも、コンスタンスのガブリエラ・ワイルドも、アンヌ王妃のジュノー・テンプルも、みなきれいに撮れている。これは基本だろう。

 ただ、長い物語。しかもたくさんの戦闘シーンをきっちり撮って、わずか111分にまとめたために、展開が強引。出会ってすぐ仲間になり、出会ってすぐ恋に落ち、裏の事情まですぐに理解してしまう。これが残念。「三銃士」というと、最近ではどうしてもNHKの人形劇、「新三銃士」(2009)を思い出してしまい、比較してディテールの少なさが気になった。

 三銃士は何回も映画化されており、最近で言うとキーファー・サザーランドの出た「三銃士」(The Three Musketeers・1993・豪/英/米)や、四銃士の登場するレオナルド・ディカプリオの「仮面の男」(The Man in the Iron Mask・1998・英/米)、ピーター・ハイアムズ監督の「ヤング・ブラッド」(The Musketeer・2001・独/ルクセンブルクほか)があった。ちょっと前だとオリヴァー・リードの「三銃士」(The Three Musketeers・1973・西/米ほか)がある。さらにさかのぼるとジーン・ケリーの「三銃士」(The Three Musketeers・1948・米)もあるし、ダグラス・フェアバンクスのサイレントの「三銃士」(The Three Musketeers・1921・米)もある。

 銃はデリンジャー・タイプから長いマスケット(先込め銃)までさまざま。ホイール・ロックが使われていたのが新鮮だった。もともと「銃士」に支給されていたものはホイール・ロックやフリント・ロックのマスケットだったのでマスケッティアになったわけだ。パーカッションは19世紀に入ってからで、ポール・W・S・アンダーソン監督は、さすがにその辺、抜かりがない。

 ダルタニアンを演じたのはローガン・ラーマン。メル・ギブソンの「パトリオット」(The Patriot・2000・独/米)で幼い息子役でスクリーン・デビュー。感動のリメイク西部劇「3時10分、決断のとき」(3:10 to Yuma・2007・米)ではクリスチャン・ベイルの息子を演じて見事だった。今後も期待だ。

 ポルトスはレイ・スティーヴンソン。「パニッシャー:ウォーゾーン」(Punisher: War Zone・2008・米/加/独)でパニッシャーを演じた人。悪役が多く、「ザ・ウォーカー」(The Book of Eli・2010・米)でもそうだった。

 ロシュフォール隊長はマッツ・ミケルセン。「007/カジノ・ロワイヤル」(・2006・)で怖い敵のボス、ル・シッフルを演じた人。本作でもやはり怖い。もう少し活躍して欲しかった気はするが……。

 美女のコンスタンスはガブリエラ・ワイルド。ほとんど新人のようで、この前に日本未公開の映画とTVに出ている。本作の後どうか。

 アンヌ王女はジュノー・テンプル。「つぐない」(Atonement・2007・英/仏)や「ブーリン家の姉妹」(The Other Boleyn Girl・2008・英/米)に出ているらしいが見ていない。小柄な美女で、新作が何本も控えているという。

 脚本はアリックス・リトヴァクとアンドリュー・デイヴィスの2人。アリックス・リトヴァクはこの前に「プレデターズ」(Predatos・2010・米)を書いていてこれで2本目だが、アンドリュー・デイヴィスは1960年代から活躍しているベテラン。アンドリュー・デイヴィスにはスパイものの「テイラー・オブ・パナマ」(The Tailor of Panama・2001・米/アイルランド)やコメディの「ブリジット・ジョーンズの日記」(Bridget Jones's Diary・2001・英/アイルランド/仏)などの面白い作品があるが、最近はTVムービーが多かったよう。久々の劇場作品か。

 監督はプロデューサーも兼ねるポール・W・S・アンダーソン。ミレディを演じたミラ・ジョヴォヴィッチの夫で、怖いハードSFの「イベント・ホライゾン」(Event Hirizon・1997・英/米)や、日本のゲームを映画化した「バイオハザード」(Resident Evil・2001・英/独/仏)が秀逸。現在「バイオハザード」の続編を撮影中とか。本作でも銃撃戦や飛行船、潜水服のようなものを取り込むなど、かなり時代物のイメージを覆す工夫がなされているが、この人の味が生きるのはSFのように自由な発想ができるもののほうが合っているのでは。ただ、大作になるほど大味になっているような気も……。

 公開2日目の初回、六本木の劇場は2D字幕版での上映で、全席指定。金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。15分前くらいに開場になって、場内へ。下は小学生くらいから、上は中高年まで。メインは中高年。男女比は2対8くらいで圧倒的に女性が多く、オバサンが目立っていた。最終的には148席に3.5割くらいの入り。みんな3Dねらいか。

 気になった予告編は……なかなか暗くならないし、タイトルも出ないというフラストレーションのたまる予告の中、人間型おじいさんロボットの中には、実は人間のおじいさんが入っていたという「ロボジー」は、なかなか面白そう。監督は「ウォーター・ボーイズ」(2001・日)の矢口史靖。

 3D-CGアニメの「フレンズ もののけ島のナキ」は3D上映もあるらしい。面白そうだが、雰囲気が「モンスターズ・インク」(Monsters, Inc.・2001・米)にそっくりなのが気になるところ。

 上下マスク「アイアン・レディ」はメリル・ストリープが鉄の女サッチャー元首相を演じるらしい。特殊メイクか、かなり実物にそっくりな感じ。


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