Source Code


2010年10月30日(日)「ミッション:8ミニッツ」

SOURCE CODE・2011・米/仏・1時間34分(IMDbでは93分)

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/ビスタ・サイズ(with Panavision、Super 35、デジタル)/ドルビー・デジタル(IMDbではdtsも)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://disney-studio.jp/movies/mission8/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

シカゴへ向かう列車の中で目を覚ましたスティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)は、向かいに座る女性クリスティーナ(ミシェル・モナハン)から親しげにショーンと声をかけられ戸惑う。そしてトイレに入り鏡を見ると外見が自分とは全く違い、証明書を見るとショーンという名で教師であることがわかる。しかし、終点のシカゴのユニオン駅に近づくと大爆発が起こり、意識が飛んでしまう。気付くとカプセルの中で、司令室「包囲された城」にいるグッドウィン名乗る女性(ヴェラ・ファーミガ)から、これはショーンの亡くなる直前の8分間の記憶をプログラミングしたものだと教えられる。テロの犯行予告があり、第二の爆破を防ぐため、この列車爆破の犯人を捜し出し、爆弾を見つけて解除の方法を探すのが目的だという。そして再びショーンの意識の中に転送される。

83点

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 キャッチ・コピー「このラスト、映画通ほどダマされる」から想像されるどんでん返しの映画、ではない。どういう結末になるのか、非常に気になる映画というのが正しい気がする。基本的に結末はわかっているところからスタートするのだから。ここで描かれているのは、亡くなった人間の脳に記録されているという残光のような8分間の記憶。つまり過去。それをプログラムで再現して、意識で追体験するだけだと。タイム・トラベルではない。タイム・パラドックスがなかったとしても、この方法では過去を変えることは出来ない。ではパラレル・ワールドという可能性はあるのか。そこはハッキリ語られない。

 デンゼル・ワシントンの「デジャヴ」(Deja Vu・2006・米/英)のような雰囲気の映画で、犯人を捜すミステリーで、爆発を阻止するサスペンスで、具体的な話は何も語られないがSFで、ラブ・ストーリーでもある。繰返しはジェームズ・ベルーシの「リバース」(Retroactive・1997・米)もあるし、ニコラス・ケイジの「NEXT -ネクスト-」(Next・2007・米)やビル・マーレイの「恋はデジャ・ブ」(Groundhog Day・1993・米)もある。特に新しくはない。

 しかし、話は主人公同様、観客にも状況がつかめないまま始まり、それが繰り返されることで次第にわかるようになってくるという構成で、それが素晴らしい。よくある話でも、演出というか見せ方次第で面白くできるということか。しかもうまいのは、状況が主人公の出方ひとつでちょっとずつ変わってくる点。主演のジェイク・ギレンホールがいいヤツで、観客としてはどうにか助かって欲しいと応援したくなる。この辺がまたうまい。感動する。

 車掌室のロッカーの中にある銃はコルト・ディテクティブ。かなり使い込んで擦りきれたような印象。そして爆弾犯が使うのが、S&Wのシグマかと思ったら、ルガーのSR9らしい。これはスクリーン初登場ではないだろうか。

 スティーヴンス大尉を演じたのはジェイク・ギレンホール。やはり感動青春ストーリー「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)がよかった。最近だと「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」(Prince of Persia・2010・米)で見たが、映画の出来が今ひとつ。公式サイトによると、「デイ・アフター・トゥモロー」(The Day After Tomorrow・2004・米)で一緒に仕事をしたプロデューサーのマーク・ゴードンが、ベン・リプリーが持ち込んだアイディアを気に入り、ジェイク・ギレンホールにストーリーを送って主演が決まり、さらにジェイク・ギレンホールが「月に囚われた男」(Moon・2009・英)に感動して、その監督ダンカン・ジョーンズを本作の監督に推薦したという。

 ヒロインのクリスティーナはミシェル・モナハン。「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米/独/中)のイーサン・ハントの恋人で事件に巻き込まれる役や、「イーグル・アイ」(Eagle Eye・2008・米/独)の巻き込まれるシングル・マザー役をやっていた人。本作も事件に巻き込まれる役。こういう役が上手いようだ。新作が何本も控えている。

 指令を出すグッドウィン大尉を演じたのはヴェラ・ファーミガ。ロバート・デ・ニーロとエドワード・バーンズの犯罪スリラー「15ミニッツ」(15 Minutes・2001・米/独)で違法就労者の美容師を演じていた人。そして、これまた怖い犯罪スリラー「ワイルド・バレット」(Running Scared・2006・独/米)ではポール・ウォーカーの妻役で印象に残る存在感を見せていた人。一見か弱そうで芯のしっかりした女性という役がピッタリ。本作でもそんな感じが。

 脚本はベン・リプリー。これまでビデオやTVの脚本を3本ほど手掛けただけという新人に近い人。そのうち1本が日本では劇場公開されたSFホラーの「スピーシーズ3 禁断の種」(Species III・2004・米)。どれもいまひとつの評価だが、マーク・ゴードンの本作のスーリーを持ち込み、非常に気に入られて、1年半以上を掛けて脚本を完成させたという。ということは今後が楽しみだ。

 監督はダンカン・ジョーンズ。なんとデヴィッド・ボウイの息子だそうで、今年40歳。「月に囚われた男」が劇場長編デビュー作だという。マイクロ劇場での公開だったので見ていないが、世界各国で賞を受賞している。本作を見る限り今後も期待できそうだ。

 公開3日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保。12〜13分前に開場となり場内へ。20代〜中高年まで、割と幅広く、男女比は4.5対5.5くらいでやや女性が多かった。最終的には253席に8.5〜9割くらいの入りは当然か。これは劇場で見ておくべき。まあ、とにかくケータイは消せ!

 気になった予告編は……「フライトナイト」はコリン・ファレルがイケメンのヴァンパイアを演じるホラーで、高校生対怖いヴァンパイアという戦いになるようだ。これって怖くて笑える「フライトナイト」(Fright Night・1985・)のリメイクなんだろうか。またまた3D上映もあるらしい。

 上下マスクの「リアル・スティール」は新予告というか長いバージョンでの予告。ロボットの名前がアトムとは! 早く見たい。

 上下マスク「戦火の馬」はスティーブン・スピルバーグ監督作品。映像がきれいで重みがあり、何か起きそうな雰囲気。期待できそう。

 「第7鉱区」はまだ同じバージョンでの予告。そろそろ別バージョンが見たい。もうすぐ公開なのに。


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