Contagion


2010年11月19日(土)「コンテイジョン」

CONTAGION・2011・米/アラブ首長国連邦・1時間46分

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(デジタル、Red One MX)/ドルビー・デジタル、DATASATデジタル、SDDS

(米PG-13指定)(デジタル上映、IMAXもあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/index.html
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ベス・エムホフ(グゥィネス・パルトロー)は香港出張から帰国し、シカゴの愛人と会ってから帰宅したが、風邪のような症状を呈する。翌日、息子も咳が出始めたため、夫のミッチ(マット・デイモン)は早引きさせるが、ベスは自宅で倒れてしまう。ミッチが車で病院へ連れて行くとそのまま死亡。同時にベビーシッターから息子の様子がおかしいと電話があり、戻ると息子も亡くなっている。同じ頃、香港でも若いウエイターのリー(チョイ・ティンヤウ)が同じ様な症状で亡くなり、東京でもビジネスマンがバスの中で倒れる。スイスのWHOはレオノーラ医師(マリオン・コティヤール)を香港に派遣する。アメリカのCDCでもエリン医師(ケイト・ウィンスレット)をミネソタのMDH(健康局)に派遣、ことの重要性を伝える。ここで、フリー・ジャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)が事件を嗅ぎつけ、新聞社に持ち込むが採り上げてもらえず、東京のビジネスマンがバスで倒れる映像をブログにアップ、伝染病ではないかと暴露する。

72点

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 怖い。ぞっとする。コンセプトとしては「感染列島」(2008・日)ととても良く似ているが、こちらの方が視点がドライでクールな分、恐ろしい。見終わった後、思わずマスクが欲しくなったり、手洗いやうがいをしたくなる感じ。「アウトブレイク」(Outbreak・1995・米)とはまた違った印象だ。こちらのほうがドキュメンタリーっぽい。

 ただ、群像劇になっているので、それぞれのケースでの感情はいまひとつ伝わって来にくい。多くの死の中の1つという印象。最終的に全世界で2,600万人も死亡したという事件だ。もちろんオール・スターに近い有名俳優がたんさく出ていて、演技はうまく説得力がある。それでも、この構成だとこうなるのだろう。

 本作を見ると良くわかるのは、原因不明の感染症が発生した時、どういう機関が動き、どういう措置がとられ、どういう対処が行われていくかということ。そこが非常に興味深い。そして同時に、今のネット時代、どういうパニックが起き、暴動となって町が壊れていくかということも。この辺も病気と同様に恐ろしい。ただ日本では起きにくいことかもしれない。東北大震災の後、日本人がきちんと列に並んでいることが全世界で驚きとともに報道されたほどだから。

 強奪が起きたことで、ミッチは空き家となってしまった隣家かから水平二連ショットガンを入手する。香港でレオノーラ医師を拉致した男たちが使っていたのはグロック。州兵たちはもちろんM16(A2?)。

 冷徹な視点で脚本を書いたのはスコット・Z・バーンズ。広告業界からキャリアをスタートさせ、アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領のドキュメンタリー「不都合な真実」(An Inconvenient Truth・2006・米)の製作を担当。翌年、マット・デイモンのシリーズ完結編「ボーン・アルティメイタム」(The Bourn Ultimatum・2007・米/独)を書き、さらにマット・デイモン主演、スティーヴン・ソダーバーグ監督の実話に基づく「インフォーマント!」(The Informant !・2009・米)も書いている。

 監督はそのスティーヴン・ソダーバーグ。話題となった「セックスと嘘とビデオテープ」(Sex,Lies, and Videotape・1989・米)で劇場長編映画監督デビューし、監督作品としてはアクション系の「アウト・オブ・サイト」(Out of Sight・1998・米)や「イギリスから来た男」(The Limey・1999・米)、実話に基づく訴訟ドラマ「エリン・ブロコビッチ」(Erin Brockovich・2000・米)など面白いものもあるが、どうもボクにはアカデミー賞の監督賞ほか4部門で受賞した「トラフィック」(Traffic・2000・独/米)あたりから違和感が出てきた。意味があると思えない名作のリメイクも増えるし。それでも評価は高いようで、ボクには良くわからない。ただ初期の作品の方が好きだ。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保して、30分前くらいに到着。10分前くらいに開場となって場内へ。ほとんど中高年で、それも男性。女性は20人に4〜5人ほど。最終的には127席に5.5割くらいの入り。これってどうなんだろう。まあ初日でもないけど……。

 気になった予告編は……いつもの見慣れた日本映画中心の作品が何本か続き、トム・ハンクスとサンドラ・ブロックの9.11ドラマ、上下マスクの「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は子供が主人公のようで感動しそうな感じ。父が残した1本の鍵。その鍵は何に合うのか。

 「ニュー・イヤーズ・イブ」は「ラブ・アクチュアリー」(Love Actually・2003・英/米)を意識したようなとしいうか、柳の下の二匹目のどじょうをあざとく狙ったような感じが鼻にかかった。8組のセレンデピティか。それにタイトルを出すのが遅い、最後の1回だけって、覚えられないって。


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