Sector 7


2010年11月20日(日)「第7鉱区」

SECTOR 7・2011・韓・1時間41分

日本語字幕:丸ゴシック体下、佐澤まき/ビスタ・サイズ(Arri、Super 35)/ドルビー・デジタル

(韓15指定、日PG12指定)(3D上映もあり)

公式サイト
http://d7-movie.com/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1985年、韓国済州島沖の第7鉱区で油田探しの掘削中、突然ドリルの回転が止まり、原因を探るため小型潜水艦を出し、ダイバーがドリルに接近すると、光り輝くクリオネのような生物がたくさんいるのが発見される。2011年、現在。同じ第7鉱区で油田探しの試掘が再開されていたが、再びドリルが岩盤に当たり回転を止めてしまう。女性技術者のヘジュン(ハ・ジウォン)は他の場所を掘ろうと主張するが、ついに本社から撤退命令が来る。そして撤退部隊を指揮するためジョンマン船長(アン・ソンギ)がやって来る。彼はヘジュンの意見を聞き入れ、もう少し試掘を続ける決断を下すが、3ヶ月後、正体不明の何者かによって人身事故が発生する。

71点

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 ハリウッド・テイストで作り上げたモンスター・パニック映画。3D-CGなど技術は大変高く、お金もかかっているものの、どうにもドラマがハリウッドの真似のようになってしまっている上、設定どころか演技までが、韓国的なものなのかもしれないが日本的には大げさでわざとらしい。これだとなかなかノレない。IMDbではまさかの4.2点という低評価。

 構成としては、ベースはたぶん永遠の名作「エイリアン」(Alien・1979・米/英)で、それにB級の名作「ザ・グリード」(Deep Rising・1998・米)も入っている。ジェームズ・キャメロン監督のの「アビス」(The Abyss・1989・米)も入っているような。技術的には決して負けていない。自分のものにしている。ひょっとすると日本映画よりも上かもというレベル。そして、こういう映画を作ろうとすること自体がスゴイ。何よりお金がかかる。日本じゃできないだろうなあ。あったとすれば山崎貴監督の「Returnerリターナー」(2002・日)か。

 しかし、大げさでない超リアルな韓国映画もたくさんあるわけで、これは監督の演出とかプロデューサーの意図とか、いろいろと理由はあるのだろう。別なスタッフが撮っていたら、凄いものになっていたかも、とは思わせる。

 モンスターは化学合成生態生物とかいうもので、オオサンショウウオのようでもあり、牙の感じはハリウッドのモンスターの定番。「ザ・グリード」ともそっくり。ちょっと外側が透明で中に黒っぽいものがあるような感じは、サクマのキャンディ「チャオ」みたい。燃えたり、ダメージを受けて、最後にはウルトラマンの「亡霊怪獣シーボーズ」みたいになるが。

 武器は、ヘジュンが使う100連発のようにいくらでも撃てる小型の銛撃ち銃と、ジョンマン船長が使う上下二連ショットガン、そして火炎放射器(途中で1回火が消えているが、なぜかまた点いている)。

 ありがちな男まさりの技術者、ヘジュンを演じたのはハ・ジウォン。ボクが見たのは話題になった韓流ホラー「ボイス」(Pon・2002・韓)の主人公、もっとも光っていた傑作アクション(IMDbでは低評価)の「デュエリスト」(Hyongsa・2005・韓)の主人公があり、どれも印象が良かった。ところが残念なパニック映画「TSUNAMI-ツナミ-」(Haeundae・2009・韓)(IMDbでは「デュエリスト」より高い評価)に出て、ボクの中の評価はだいぶ落ちた。演技にもリアリティがなかった。その雰囲気のまま本作にも出た感じ。やはり監督の力ということになるんだろうか。

 ベテランのジョンマン船長はアン・ソンギ。たぶん初めて見た韓国映画だったと思うが、韓国のベトナム派遣軍を描いた「ホワイト・バッジ」(Hayan chonjaeng・1992・韓)や、朝鮮戦争にまつわるミステリー「黒水仙」(Heugsueon・2001・韓)、実話に基づく秘密工作部隊の反乱を描いた「シルミド/SILMIDO」(Silmido・2003・韓)などに出て、渋い存在感を放っている。それなのに本作は軽い。「デュエリスト」ではハ・ジウォンと共演している。

 ヘジュンの恋人キムを演じたのはオ・ジホ。モデル出身で役者になったそうで、かなりのイケメン。日本でも人気があるのだとか。ただボクは出演作を見たことがない。日本にもファン・ミーティングで良く来ているらしい。

 脚本はキム・フィとユン・ジェギュンの2人。キム・フィは本作が初めての脚本のようで、監督のキム・ジフンと名字が一緒で、血縁者だろうか。ユン・ジェギュンは、あの残念な「TSUNAMI-ツナミ-」を監督・脚本・製作した人。うむむ。

 監督はキム・ジフン。見ていないがアン・ソンギが主演した実話の映画化「光州5・18」(Hwaryeohan hyuga・2007・韓)を撮った人。あれはIMDbで6.9点で、韓国では730万人を動員した大ヒット作らしい。ただ本作を見る限り、どうなんだろう。

 公開9日目の初回、2D上映版、新宿の劇場は全席自由で、金曜に確保しておいて30分前くらいに到着。コーヒーを飲みながら待つと10分前くらいに開場のアナウンス。81席というマイクロ劇場で、最後列でもスクリーンが近い。ほとんど中高年で、若い人は10人中1人ほど。オバサン2人。最終的には81席に15〜20人くらい。遅れてくるヤツが多く、暗くなると確認ができない。

 気になった予告編は……上下マスクの「きみはペット」は、話題のチャン・グンソクがペットになる恋愛物らしい。それにしても刺激的なタイトルを付けるなあ。原作は日本の漫画だとか。

 上下マスクの「マイ・ウェイ」は実話の映画化らしい。第二次世界大戦時、韓国人と日本人の2人が、日本軍、ソ連軍、ドイツ軍と渡り歩いて生き残った話らしい。監督は「シュリ」(Swiri・1999・韓)や「ブラザーフッド」(Taegukgi hwinalrimyeo・2004・韓)のカン・ジェギュだから、期待できそう。


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