Happy Feet Two


2010年11月27日(日)「ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊」

HAPPY FEET TWO・2011・豪・1時間40分

日本語字幕:丸ゴシック体下、佐藤恵子/シネスコ・サイズ(デジタル、2.35)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG指定)(3D上映、デジタル上映、日本語吹替版もあり)

同時上映「見た見たネコたん」

I Tawt I Taw a Puddy Tat・米・2011
日本語字幕:丸ゴシック体下、アンゼたかし/シネスコ・サイズ(デジタル、2.35)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/happyfeet2/index.html
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

南極の皇帝ランドでは、いつも皇帝ペンギンをメインにした群れがダンスを踊っていた。しかしタップの天才マンブル(声:イラジャ・ウッド)と妻のグローリア(声:ピンク)の1人息子エリック(声:エイヴァ・エイカーズ)は踊れないことに悩んでいた。そんなある日、エリックは、友達のアティカスとボーとともに、国に帰ると言うラモン(声:ロビン・ウィリアムズ)についてアデリーランドへ行ってしまう。そこには複雑な過去を持つ空飛ぶペンギンのスヴェン(声:ハンク・アザリア)がいて、エリックはすっかり彼に魅了されてしまう。そこにマンブルが息子たちを連れ戻しにやって来る。帰路、クラックに落ちたゾウアザラシのブライアン(声:リチャード・カーター)を助け、皇帝ランドに戻ると、そこは動き出した氷山に四方から囲まれて完全に孤立してしまっていた。

72点

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 前作のキャラクターをうまく引き継ぎながら、冒険ファンタジーとしてまとめられた続編。歌とダンスがやや少なめになのは残念だが、前作の反省からか、環境破壊と人間の問題も残しながら薄められていて、強すぎないところが良かった。その分、何が言いたいのかという部分では伝わって来にくくなったかもしれない。

 たぶんファミリー、家族が大事という話にはなるのだろう。特にラスト近くで、溝があったように感じられた父と息子の関係が、息子が「パパはボクのヒーローなんだ」というあたりでピークに達し涙を誘う。しかしそこだけのことで、全体としてはその溝がなぜ消えていったのかとか、なかなかわかりにくい。小さなエピソードの作りがうまくいっていないのだろう。

 直接ストーリーには関係しないが、狂言回し的に登場するオキアミのウィルとビルはなかなか面白かった。ここも進化を求めながら一族を離れながら、結局は家族が一番と戻ってくるというサブ・ストーリー。漫才のような掛け合いを、ビラッド・ピットとマット・デイモンが声を当てているというのも面白い。

 最初の「リズム・ネイション」はいい感じだったし、ゾウアザラシ軍団が現れる時の「ローン・レンジャー」も西部劇の騎兵隊登場みたいで良かった。セーターを着たペンギン、ラブレイスがエイリアン(人間)を呼ぶ時のクィーンの「伝説のチャンピオン」もニヤリとさせてくれる。しかし、全体としては歌と踊りが少なくなったのは残念。もっと見たかった。

 3D-CGの技術はスゴイ。水の表現などまるで本物だ。氷もアップになると小さな粒々まで再現されているし、オキアミの内臓が見えそうな透けた感じとか、とにかくすばらしい。それでいて、あえて人間が出てくるシーンはモノトーンになり、実写のようだったのも興味深い。

 例によって声優陣はかなり豪華。マンブルの声は前作から引き続きイライジャ・ウッド。この人「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001・ニュージーランド/米)シリーズ以外では今ひとつ目立っていない感じだ。

 ラテン系の陽気なラモントと、アデリーランドのリーダー、虹色のセーターを着たラブレイスの声はロビン・ウィリアムズ。「ナイトミュージアム」(Night at the Museum・2006・米/英)シリーズのルーズベルト大統領役以降、出演を抑えているのか。

 実はパフィンだった空飛ぶスヴェンの声はハンク・アザリア。「GODZILLAゴジラ」(Godzilla・1998・米/日)で踏みつぶされるTVカメラマン役をやっていた人。「ナイトミュージアム2」(Night at the Museum: Battle of the Snithsonian・2009・米/加)でロビン・ウィリアムズと共演している。

 そしてオキアミのウィルがブラッド・ピット、相棒のビルがマット・デイモン、皇帝ランドの族長がヒューゴ・ウィーヴング。

 脚本は、監督も兼ねたジョージ・ミーラー、ゲイリー・エック、ウォーレン・コールマン、ポール・リヴィングストンの4人。ゲイリー・エックはオーストラリアのTVでコメディ番組の脚本を手掛けていた人で、劇場用長編映画は初めてらしい。ウォーレン・コールマンもオーストラリアの人で前作の脚本と共同監督をやっている。キャリアとしては役者の方が長いようだ。ポール・リヴィングストンもオーストラリアの人でコメディの役者の活躍がメイン。TVの脚本も書いているが劇場用長編映画は初めて。

 監督のジョージ・ミーラーはいまや伝説と化している「マッドマックス」(Mad Max・1979・豪)の脚本・監督で、前作の脚本と監督もやっている。作風が変わったのは子ブタが主役の傑作「ベイブ」(Babe・1995・豪/米)あたりからか。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は字幕版は3D上映しかなく、仕方なくそれに。差額700円なり。3Dは大した効果もなく、それでいて暗く疲れるし、メガネの跡も付くしなあ……。全席指定で、土曜に確保しておいて、30分前くらい前に到着。コーヒーを飲んで待っていると、10分前くらいに開場。

 字幕版なのに意外とファミリー層が多い。子供は小学校低学年くらいから。メインは中高年で、男女は半々くらい。ただ、最終的に232席に30人くらいと少なかった。吹替版の方が人気なのだろうか。たしかに字幕は3D上映の邪魔になる。ファミリー層が多いのか、吹替版に慣れた人が増えたのか。しかし吹替ではブラッド・ピットとマット・デイモンの漫才のような掛け合いが味わえないが(映画がわからなくても雰囲気は伝わってくる)……。

 気になった予告編は……とにかくタイトルが最後の一瞬しか出ないものが多く、イライラする。早く出せ。特に「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」なんて、タイトルが長すぎて半分までしか読めない。タイトルをなかなか出さないのは、予告編を作っている人の自己満足じゃないのかと疑ってしまう。何のための予告編なんだろう。

 スクリーンが左右に広がって3Dめがねを掛けてから「おかえり、はやぶさ」の予告。確かにはやぶさの3D-CG映像っぽい絵は飛び出て見えてきれいだったが、地球の管制センターの絵などはフラットでどこが3Dなのかさっぱり。「怪物くん」みたいに2Dで撮影してあとから3Dに変換する手法もあるし、それって意味があるんだろうか。

 「タンタンの冒険」も3Dでの予告。ただ予告編はカットが速すぎて3Dには向かない。目が追いつかない。3Dは頭が認識するのに時間がかかる。この速さでは目が回るだけ。短時間なのにものすごく疲れた。


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