Missiion: Impossible - Ghost Protocol


2010年12月18日(日)「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」

MISSION: IMPOSSIBLE - GHOST PROTOCOL・2011・米・2時間12分(IMDbでは133分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision、IMAX版は1.44)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX版もあり)


公式サイト
http://www.mi-gp.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ブダペストでミッション遂行中のIMFのエージェント、ハナウェイ(ジョシュ・ホロウェイ)がロシアから盗み出された書類を奪う任務で、女暗殺者サビーヌ・モロー(レア・セドゥー)によって殺害され書類を奪われる。同じ頃、ロシアのモスクワにある刑務所で、イーサン・ハント(トム・クルーズ)の救出作戦が進められていた。ミッションを遂行するのはベンジー(サイモン・ペッグ)とカーター(ポーラ・ハットン)の2人。イーサンは刑務所で世話になったという男ボグダンを連れて脱出。そして次の任務で、国際テロリストのコバルト(ミカエル・ニクヴィスト)にロシアの核弾頭ミサイルの発射コードが渡るのを阻止するため、クレムリンに侵入することに。しかしすでにクレムリン内に書類はなく、コバルトが侵入していてイーサンたちの仕業に見せかけて脱出、直後にクレムリンが爆破される。IMFの長官(トム・ウイルキンソン)と連絡を取ったイーサンは、国際問題とならないよう、アメリカ政府がIMFを閉鎖しゴースト・プロトコルを実行したと聞かされる。そして乗った車が何者かに襲撃され、長官は死亡、分析官のブラント(ジェレミー・レナー)と供に、命からがら逃げ出す。

83点

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 面白かった。このハラハラ感、ドキドキ感。スパイ・アクションだ!! シリーズのこれまでは、基本はスパイ映画でありながら、誰かの裏切りでミッションが失敗に終わるという話ばかりで、裏切りにポイントが行っていたが、ついにスパイ・アクション、ミッションの遂行の方にポイントが来た。これでこそ「スパイ大作戦」! 誰かに騙されているという話ではなく(出し抜かれてはいてるのだが)、悪いヤツを騙して罠にはめ、まんまと出し抜くお話。ちょっとヒネリはつけられているものの、「スパイ大作戦」はこうでないと。たまには本線から反れる回があっても、メインはいかに困難なミッションを成功させるかというお話だった。

 もちろんCGを使ってはいるのだろうが、かなりのシーンをトム・クルーズ本人がやっているというスタント・シーンは、やっぱりスゴイ。いったいどうやって撮ったのか、そしてどうやってスタントをしたのか、どこにCGが使われているのかわからないし、圧倒される迫力がある。公式サイトのメイキングを見ると、ワイヤー1本で本当にトム・クルーズがブルジュ・ハリファのビルの側面に取りついて、走ったり飛んだりしている。本当にやっている緊迫感が伝わってくるのだ。

 しかも今回は罠にはめられて、バックアップが得られない状況。メンバーはイーサン・ハントを含めて4人のみ。装備のごく一部で、変装用のマスクを作る装置は壊れてしまう。これだけでもかなりのハンデなのに、さらにロシアの諜報機関からもクレムリンを爆破した容疑で追われるというオマケまで付く。この中でどうやって悪党を出し抜くのか。これが見どころ。

 オープニングのタイトルもカッコいい。刑務所から脱出する時、イーサンがカーターに「点火しろ」というと導火線に火が点き、あの有名なテーマソングが鳴るという仕掛け。カッコいい。しかもTVのときのように、これから起こる名場面をコラージュして次々と見せていく。これで観客は何が起こるんだろうと興味津々となってしまう。やっぱり原点に返るのが一番。そして、このタイトルをデザインしたのが、元イマジナー・フォースのカイル・クーパーとあり、納得。

 イーサン・ハントを体当たり演技で演じているのはトム・クルーズ。多くのスタントを自分でやっているというから驚きだ。本作ではJ・J・エイブラムスらとともにプロデューサーもやっている。監督の人選や配役にも関わっているらしい。実際にブルジュ・ハリファのビルの外にぶら下がるなど、とても信じられないこと。映画に掛ける熱意が伝わってくる。アクション系の出演が多いが、さすがにもうすぐ50歳。そろそろキイツのではないだろうか。でも、ハリソン・フォード並に70歳くらいまでは走り続けて欲しい。すでに新作が4本控えているという売れっ子ぶり。使っていた銃はP226R。ケータイはiPhone。IMFの標準装備か。

 女性エイジェントのカーターはポーラ・ハットン。デンゼル・ワシントンの「デジャヴ」(Deja Vu・2006・米/英)でヒロインの事件の鍵を握る亡くなった女性を、キーファー・サザーランドのホラー「ミラーズ」(Mirrors・2008・米/ルーマニアほか)では主人公の奥さんを演じていた美女。あの可憐な感じだった人が、アクションを演じるとは。格闘シーンもなかなか見事だった。すでに結婚していて、37歳。もっと活躍して欲しいが、年齢的にむずかしいかも。使っていた銃はP226R。一部マカロフも使う。

 コンピューターなどのメカ担当、ベンジーはサイモン・ペッグ。「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米/独/中)にも同じ役で出ていた。お笑い痛快アクションの「ホット・ファズ俺たちスーパーポリスメン!」(Hot Fuzz・2007・英/仏/米)で主演と脚本を担当した人。傑作SF「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)にはスコッティ役で出演。使っていたパソコンは黒いカバーの付いたMacAir。銃はP226R。

 心に傷を負い、現場を退いた分析官のブラントはジェレミー・レナー。悪役が多いのでそうかと思ったら、そうではなかった。TVのリメイク・アクション「S.W.A.T.」(S.W.A.T.・2003・米)も良かったが、爆発物処理班の活躍を描いたアカデミー受賞作「ハート・ロッカー」(The Hurt Locker・2008・米)での演技が認められて以降、あちこちに引っ張りだこ。公開が控えている作品が4本ある。やはり銃はP226R。

 女殺し屋のサビーヌ・モローはレア・セドゥー。日本劇場未公開作品が多いようで、メジャーな作品だとクエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(Inglourious Basterds・2009・米/独)に出ていたようで、その後リドリー・スコットの「ロビン・フッド」(Robin Hood・2010・米/英)にも出ている。パリ生まれの27歳。クールな感じが良く出ていた。使っていたサイレンサー付きの銃はP226Rだったような……。記憶があいまい。

 コバルトことヘンドリックスはミカエル・ニクヴィスト。スウェーデンの人で、ミニ・シアター系で公開された話題作「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(Man som hatar kvinnor・2009・スウェーデンほか)で事件を追うジャーナリストを演じた人。面構えがゴツイので悪役がピッタリな感じ。

 冒頭のIMFエージェント、ハナウェイはTVドラマ「LOST」(2004〜2010・米)の詐欺師ソーヤーをやっていたジョシュ・ホロウェイ。インド、ムンバイのパーティの主催者は「スラムドッグ$ミリオネア」(Slumgod Millionair・2008・英)のクイズの司会者をやっていたアニル・カプール。ロシアの秘密諜報機関らしい男シドロフは「エネミー・ライン」(Behind Enemy Lines・2001・米)のジャージのスナイパー、ウラジミール・マシコフ。
 ガラスにひっつく特殊なグローブは、青ランプでくっつき、赤ランプで外れる。それをイーサンに教えるのに、ブルー・イズ・グルー、レッド・イズ・デッドと、語呂合わせ風で笑えた。

 ほかに出てきた銃器は、クレムリンの衛兵が持っているのがSKSカービン。ロシアの諜報機関らしい追跡部隊が使うのがAKや、そのショート・カービンのAKMSUと、そのレール付き。IMFの偽装貨車の中にG36C、SG552などがあったように思う。ブルジュ・ハリファのサーバーはDELL。IMFがiPhoneを使うのに対して、暗殺者一味が使うスマホはアンドロイド。意外なところにコカコーラのポスターがあったりして驚いたが、どうもタイアップしているらしい。車も驚くぞ、と言って出でくるのがBMWのプラグイン・ハイブリッド『i8』なんだとか。東京モーターショーにも出展されたコンセプト・カーらしい。まあ、派手! カッコいい。トム・クルーズの日本ファン・ミーティングではBMWで現れたのだとか。ちなみにゴーグルはオークリーの『ウィンドジャケット』。劇中使用モデルは映画オリジナル・カラーというか、クリアをチョイス。

 世界を股にかける王道のスパイ・アクションを書いたのは、ジョシュ・アッペルバウムとアンドレ・ネメックの2人。2人とも、これまでTVのスパイ・アクション「エイリアス」(2001〜2006・米)の脚本や、数々の製作総指揮をやって来た人。実力を認められての起用といったところか。

 監督はブラッド・バード。アニメの監督・脚本家で、「アンアン・ジャイアント」(The Iron Giant・1999・米)、「Mr.インクレディブル」(The Incredibles・2004・米)、「レミーのおいしいレストラン」(Ratatouille・2007・米)といったそうそうたる作品が並ぶ。個人的には「アイアン……」が好きだが。古くはちょっと残念なSFファンタジー「ニューヨーク東八番街の奇跡」(*batteries not included・1987・米)などの脚本も書いている。TVはエグゼクティブ・コンサルタントとして「シンプソンズ」(The Simpsons・1989〜1998・米)などに関わっている。本作は監督のみ。しかし、りっぱに実写のおもしろいアクション映画を撮れることを証明した。選んだプロデューサーは見る目があるということか。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。30分前くらいに着いてコーヒーを飲みながら待っていると、10分前くらいに開場。客層は20代くらいから中高年まで幅広く、男女比は最初は男性が多かったが次第に女性も増え半々くらいに。最終的には607席に9割くらいの入りか。遅れて入ってくるヤツが多く、暗くなると確認できない。

 気になった予告編は……「ブンラク」はGACTやジョシュ・ハートネット、ウディ・ハレルソン、デミ・ムーアらが出るアクションらしいが、内容は良くわからなかった。たった2週間の限定公開なんだとか。劇場が良いので見てもいいかも。ポイントを使うという手も。

 岡田准一主演の上下マスク「天地明察」はまったく内容がわからなかったが、かつて星を追い続けた男がいたとか何とか。9月15日公開ということで、単なるティーザーか。

 テレビ東京で放送されていた「ペット大集合!ポチたま」の人気コーナーの映画化「LOVEまさお君が行く!」はなぜ、という印象。しかも6月23日公開はまだだいぶ先。

 上下マスク「ドラゴン・タトゥーの女」と上下マスク「ニューイヤーズ・イブ」は新予告に。「ニュー……」は豪華キャストで、心温まりそうな感じなのに、全く興味が湧かないのはなぜ?

 スクリーンが左右に広がってから「バトルシップ」も新予告。ビジュアルは凄そう。迫力も充分。でも「ハンコック」の監督だからなあ……。4月公開とか。「長ぐつをはいたネコ」も日本語吹替での新予告。また3D上映か。しかもかなり子供っぽい。

 場内が暗くなってから遅れて入って来て、座るといきなりケータイを点ける。電源を切っているのかもしれないが、めちゃくちゃ明るくてジャマ。外で切って入ってこい。それくらいの時間、いくらでもあるはず。懐中電灯代わりにしているヤツよりはましだけど。


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