Robo-G


2012年1月15日(日)「ロボジー」

2011・フジデレビ/東宝/電通/アルタミラピクチャーズ・1時間51分

ビスタ・サイズ(Arri)/ドルビー・デジタル



公式サイト
http://www.robo-g.jp/index.html
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

家電メーカの木村電器で、別棟に追いやられた社員、小林弘樹(濱田岳)・太田浩二(川合正悟)・長井信也(河島潤哉)の3人に、3ヶ月後の第13回ロボット博覧会までに、二足歩行できるロボットを完成させて出品するよう、社長(小野武彦)から直接命令が下される。しかし3人ともまったくロボットの知識がない門外漢ばかり。1週間前にようやく完成した試作は窓から転落して大破してしまう。困った3人はロボット博の1日だけならと一計を案じ、密かに着ぐるみの中に入るアルバイトの募集をする。そこに応募してきたのが、定年して毎日やることもなく暇を持て余している一人暮らしの老人・鈴木重光(五十嵐信次郎)。体形がピッタリだったことから鈴木が選ばれロボット「ニュー潮風」の中に入ることになるが、イベント当日、無線が届かなくなって指示が聞こえない鈴木は、つい隣で踊りを踊るロボットに合わせて安芸節を踊る。そして、たまたまその場に来ていたロボットオタクの女子大生・佐々木葉子(吉高由里子)を、倒れ掛かった支柱から救ってしまう。それがTVで放送され、「ニュー潮風」はいちやく驚異のロボットとして注目を浴びることになる。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 うーむ、コメディでなければ許されない展開。破滅への道をまっしぐら。待ち受けているのは、現実的には悲劇しかない。これが許されるのは、コメディ・ファンタジーだから。しかしあまり笑えないとコメディとして成立しないことになり、結果として許されないということに。許せた人は面白かっただろうし、許せなかった人は残念と。ボクは笑えなかった。見てるとホ○ダのロボットが何だったのかと思えてくる。バカにしてるということはないだろうけど……。

 ロボットのデザインは秀逸。だから見たといっても過言ではないほど。説得力のある今にピッタリのロボットらしい外観でありながら、実に魅力的。確かに人間が入っているようには見えない。そして、この造形の素晴らしさ。ちょっとC3POとR2D2を足したような雰囲気が抜群。フィギュアが欲しくなるほど。10cmくらいのもいいけど、1/6でもいいかも。これで映画の出来も良かったら、間違いなく買っていたなあ……。

 冒頭の、本当に自分で歩く「潮風?」の中身は、ちょっと前に日本で話題になった中国の二足歩行ロボット「先行者」みたいだったのは、狙いだろうか? それとも気のせいか。クレジットによるとロボット・デザインは清水剛。美術担当の人で、「ゴジラ2000ミレニアム」(1999・日)、「ローレライ」(2005・日)、「戦国自衛隊1549」(2005・日)などの美術を手掛けている。最近だと「THE LAST MESSAGE海猿」(2010・日)。

 そして、チラシやエンド・クレジットに使われている絵が良い。サントリーのトリス風というか、アメリカン・カートゥーン「宇宙家族ジェットソン」のような絵が絶妙。開発者となるチビ、デブ、ノッポの3人組も雰囲気そっくり。誰が描いているんだろう。極端な話、実写より、マンガに向いている物語だったのかも。マンガだったらこんな展開でも許せたかも。笑えただろうし。

 典型的な老人をリアルに、ちょっと汚く演じたのは、ミッキー・カーティス改め五十嵐信次郎。1938年生れというから、74歳。まさにピッタリか。やはり昔に良い作品が多い。自分の中では岡本喜八の名作「独立愚連隊」(1959・日)や「暗黒街の顔役」(1959・日)に出ていて、ちょっと後になって「ガンヘッド」(1989・米)や「KAMIKAZE TAXI」(1995・日)も印象に残った作品。

 窓際の3人組、チビ・デブ・ノッポがいい。濱田岳は最近良く出ているが、とぼけた感じが抜群。「THE LAST MESSAGE海猿」や「鴨川ホルモー」(2009・日)も良かったが、「ゴールデンスランバー」(2009・日)の連続殺人犯のような怖い役も、そのアンバランスさから逆にいい味が出ていた。たでも一番印象に残ったのはインテルのTV・CMだったりして。あの続き、ないのかなあ。

 川合正悟はお笑いコンビ、Wエンジンのチャンカワイ。俳優としての初作品らしい。違和感はなかったが、あまり笑える作品ではなかったので、キャリアのプラスになったのかどうか。

 河島潤哉は劇団出身の人で、芝居のほかTVに出ており、映画では「曲がれ!スプーン」(2009・日)に出ているらしいが、映画自体を知らない。

 監督・脚本は矢口史靖(やぐちしのぶ)。1967年生れの45歳。大ヒットで連続TVドラマにまでなった「ウォーターボーイズ」(2001・日)やちょっと話題になった同系シリーズ「スウィングガールズ」(2004・日)、航空業務の裏側を描いた「ハッピーフライト」(2008・日)など。だいたいクスっと笑えるものが多い。そして最後に感動させると。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定。下は小1くらいの父子から、中高年まで幅広い。若い層も多かった。男女比は半々くらい。最終的には301席に4割くらいの入り。まあ、こんなものだろう。これから増えて行くかどうか。ボクは難しいと思うけど……。

 気になった予告編は……逆の意味で気になったのは、アダム・サンドラーが1人2役で双子の妹も演じるという「ジャックとジル」。IMDbでは2.9という考えられないほど低評価。もともとアダム・サンドラーは日本ではウケないのに、なぜ? セットで買っちゃったとか。

 上下マスクの「天地明察」は江戸時代に太陰暦を作る話らしい。監督・滝田洋二郎、主演・岡田准一というのも気になる。9/15公開。

 「麒麟の翼」は新予告に。面白そうなのだが、TV「新参者」の劇場版というのが引っかかる。それ以外は凄く魅力的。

 「ライヤーゲーム再生」は、予告で見るとバラエティ番組のような印象だが、映画としてどうなのだろう。これも逆の意味で気になる。


1つ前へ一覧へ次へ