Always


2012年1月22日(日)「ALWAYS 三丁目の夕日'64」

2012・日本テレビ/ROBOT/小学館/バップ/東宝/電通/読売テレビ/阿部秀司事務所/読売新聞/白組/STV/MMT/SDT/CTV/HTV/FBS・2時間22分

シネスコ・サイズ/ドルビー・デジタル

(字幕上映、3D上映もあり)

公式サイト
http://www.always3.jp/
(全国の劇場リストもあり)

1964年(昭和39年)、東京オリンピック開催まで後わずかという頃、駄菓子屋と一杯飲み屋を営む茶川家にTVが届く。同じ日、新しもの好きの向かいの鈴木オートにはカラーTVが届く。鈴木オートには新しく後輩従業員のケンジ(染谷将太)が加わり、息子の一平(小清水一輝)はロックに目覚めエレキギターをかき鳴らす毎日。そんな中で先輩従業員、星野六子(堀北真希)はそわそわと落ち着かない。毎朝、梵天堂病院に通勤する医師の菊池(森山未來)と挨拶を交わすためだった。一方、茶川家ではヒロミ(小雪)が妊娠、臨月を迎えており、高校生となった養子の淳之介(須賀健太)を東大に進学させるため、竜之介(吉岡秀隆)は頑張っていた。しかし「冒険少年ブック」誌はマンガ主体に変更することになり、2本の連載、竜之介が書く「銀河少年ミノル」と、新人作家の緑沼アキラが書く「ヴィールス」のうち、どちらかを終了することになる。そんな時、竜之介のもとに「チチキトク、スグカエレ」の電報が届く。

74点

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 マンガ、コメディなので大げさなところはしようがない。やがて気にならなくなる。物語は三丁目からちょっと離れて行ってしまう感じがするのが残念だが、きっちり感動させて泣かせてくれる。この辺は期待どおり。懐かしさ、ノスタルジー、古き良き時代。そして人との絆、家族、幸せ、愛。そしてラストはいつもの美しい極上の夕日。それは明日を信じる力みたいなものなのかもしれない。

 ご近所付き合いがあって、平気でお隣さんの家に入って行けて、鍵もかけずに外出できて、貧しかったけれど家族みんなで笑いあえた時代。それが甦ってくる。涙腺の緩んできた中高年には特に突き刺さるものが多いのではないだろうか。

 今回は、好きなもの「物書き」をやり続けるという茶川家の話、鈴木オートの六子の恋と結婚の話が同時進行で進む。東京オリンピックとかVAN、みゆき族、カラーTV、バカンス、植木等、加山雄三、ベンチャーズ、スモッグ、シェー、ひょっこりひょうたん島、コカコーラ……。

 ただ、気になるところもいくつかあって、それが気になると楽しめないかもしれない。ボクは六ちゃんの結婚で、青森の本当の両親が全く出てこないことが一番気になった。結婚の申し込みは良いとして、本チャンの結婚式に両親がいなくて、花嫁がおさだまりの「お世話になりました」を鈴木オート夫妻に言うとは。言っても良いけど、まず本当の両親にだろう。

 だいたい六ちゃんは就職して6年もたっているのに、いまだスーズー弁まる出しというのも、いかにも設定という感じでいただけない。回りで他に誰も同じ言葉を使っていなければ標準語になって行くのは当たり前では。

 そして3D。2Dで見たんだけど……なぜホーム・ドラマで3Dなのか。冒頭のわざとらしい東京タワーとゴム動力飛行機、そしてラストのゴム動力飛行機と俯瞰カットくらいだろう。あえて必要ないものを付け加えた感じでよろしくない。

 やはり良いのは鈴木オートの夫婦を演じた堤真一と薬師丸ひろ子。この2人につきる。ややマンガ的な人物を大げさにならずに、わざとらしくせずに演じている。うまいなあ。ギャグが自然。

 そして驚いたのは、子役の2人がとても大きくなったこと。やっぱり子供の成長は早い。大人はほとんど変わらない印象だが、鈴木オートの一平クンも、淳之介クンもすっかり大きくなってしまって、面影さえない感じ。これは正直残念だった。それに対して六チャンはたぶん高卒で集団就職だから、あまり印象が変わらない。スーズー弁と一緒であえて変えていないのかも。

 一平クンを演じた小清水一輝は1995年生れだから、第1作目の時ちょうど10歳で、今作では17歳。日本のTVドラマをあまり見ないせいもあるが、本シリーズ以外ではあまり見かけない感じ。

 同じく淳之介クンを演じた須賀健太は1994年生れ。今年18歳。本シリーズ以外でも「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」(2006・日)なんか抜群のおもしろさだった。最近は「桜田門外ノ変」(2010・日)にも出ていたが、やや印象が薄くなってきた感がないでもない。

 やはり良かったのは鈴木オートの鈴木夫妻。堤真一はシリアスな役も良いが、こんなコミカルな役も良い。2011年は「プリンセストヨトミ」(2011・日)や「SP 革命篇」(2011・日)に出ている。一方、薬師丸ひろ子は、本作以外はTVが多いようで、映画の出演は少ない。ただ本作で、理想的なお母さんのイメージができたのではないだろうか。

 脚本は山崎貴と古沢良太の2人。古沢良太は本シリーズの最初から関わってきた人で、本作以外ではTVの「相棒」シリーズを手掛けている。須賀健太が主演した「釣りキチ三平」(2009・日)も古沢の脚本。

 山崎貴は白組で特殊効果マンを経て、「ジュブナイル Juvenile」(2000・日)で劇場映画監督デビューを飾った。「Returner リターナー」(2002・日)もなかなか日本映画のイメージを越えていて良かったが、最近は「BALLAD名 もなき恋のうた(2009・日)や「SPACE BATTLESHIPヤマト」(2010・日)などパッとしなかった感じも。本作では監督・脚本・VFXを担当。日本版モンスターズ・インク的な「friends もののけ島のナキ」(2011・日)は見ていない。すべてタイトルは英語を併記。なぜ……。

 公開2日目の2D版初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。13〜14分前に開場となって場内へ。小学生連れのファミリーから中高年まで広い観客層。男女比は半々くらい。ファミリー層が多い。子供にも面白い内容なのかわからないが。最終的には607席に6割くらいの入り。みな本当に3D上映の方がいいのだろうか。

 気になった予告編は……「LOVEまさお君が行く!」も「荒川アンダーザブリッジ」もTVからの映画化。上下マスクの「テルマエ・ロマエ」もマンガの映画化というより、TVアニメの実写化という印象。上下マスクの超能力刑事ドラマ「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜天」にしてもTBSの番組だし。4/7公開。「麒麟の翼」もTBSのTVドラマ「新参者」だし。1/28公開。今はそういう時代なのか。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってからの「おおかみこどもの雨と雪」は「サマーウォーズ」(2009・日)の細田守監督のアニメ。7/21公開。姉の雪と弟の雨は、実は狼の子で人間の女性、花が育てるというような話らしい。


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