The Revelation of the Pyramids


2012年2月18日(土)「ピラミッド 5000年の嘘」

THE REVELATION OF THE PYRAMIDS・2010・仏・1時間46分

日本語翻訳:星野祥子/日本語監修:大地舜/日本語ナレーション:森川智之/ビスタ・サイズ


公式サイト
http://pyramid-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

高さ146m、底辺の一辺が230m、建造期間20年……と言われるエジプト、ギザの大ピラミッド。しかし、この大ピラミッドに関する学説は証明されておらず、その元となった資料そのものの記述も実はあいまいだという。しかも、学説どおりにピラミッドを建造しようとすると、8つの離れ業を成し遂げなければならないことになる。そこで、私(バトリス・プーヤール)は1つ1つ実際に検証してみることにした。

 点

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 うーむ、衝撃の真実が明かされるドキュメンタリー……かと思ったら、すでにどこかのテレビでやっていたネタ。特に新しくもない。しかも、ザギでは3大ピラミッドが知られているのに、なぜクフ王の大ピラミッドのみを謎解きの対象にしているのかの説明もある。むしろTVでやっていたオリオン座のウエスト・ベルトの配置だという説の方が説得力があるし、スフィンクスの説明も不足している。これもTVでは26000年周期で星座が変わるという説の、スフィンクスが作られた時代が獅子座の時代で、顔だけ後で作り替えられた説とかの方が驚きもあった。いまさら黄金比があるとか、円周率があるとか、8面だとか、手あかまみれのネタだもんなあ……。

 まあ、その説をできるだけ科学的に検証しようとしたというならいいのだが、数人のインタビューと現地での現場映像だけでは(行っただけましだが)、掘り下げが足りない。だいたい、我々のブレーンとか言う人物の名前も顔も隠しているところからうさん臭い。本作のほとんどの説はこの1人の人から来ているというのも弱い。

 フランスは古くからピラミッドに興味を示していた。ナポレオンも1798年に軍を率いてエジプトに遠征している。このときピラミッドはまだ半分くらい砂に埋まっていたとか。現在もフランスのチームが研究を続けているし、日本チームより早く通気孔のロボットによる調査を提案しているとも聞く。

 もちろん、本当に驚くべきこともあった。学者が、私たちは遺物が何に使われていたか研究はするが、どうやって作られたかは研究していない(関心がない)と明言していたり、赤平ミッドのキャップストーンが誰かの手によって作り替えられていたり、主流となっている学者たちの定説に大した根拠がなかったり、巨石文明の遺跡があるイースター島と、テオティワカン、ギザと一直線上に並ぶとか、多くの古代遺跡が第2の赤道上に存在するとか(これは聞いたことがある気も)。

 ようするに、かつて超古代文明があって、数千年後も残る巨石遺跡にメッセージを残したと。スフィンクスも含めた(建造年がだいぶ離れているはずだが……)天文時計だと。……うーむ、特に新しくもなく、衝撃でもない。残念! 太陽の時代は終わり、地球のNとSが入れ替わる時、何かが起こるかもしれないと脅す。いま起こっている気候変動はその予兆だと。しかし、地球はこれまでにも数百回(100万年に1.5回くらい)も入れ替わってきているそうなので、地磁気が消えて大変なことが起こるという脅しにあまり説得力はない。何かは起こるだろうが、磁極の移動はポールシフト(地軸のことをさす場合もあるが)として知られるわりとポピュラーな言葉だし。

 原作本とナレーションの台本、脚本はジャック・グリモー。この人はブレインではないのか。ややこしい。

 監督・脚本・編集はパトリス・プーヤール。フランスのTV出身の人で、本作の前に日本劇場未公開の「サバイブ・ルーム」(Qui veut devenir une star?・2001・仏)というSFサスペンス・ビデオがあるらしい。しかしなぜ本作を劇場映画にしたのか。TV向きのネタだと思うけど。その分、期待はしてしまったけど……。

 公開初日の初回、銀座の劇場は全席指定で、前日に確保。25分前くらいに着いたらすでに開場済み。中には7人ほど。まもなく17〜18人になって、メインは中高年で、若い人も少し。女性は5人。

 ケータイで話しながら入ってくるババアが。驚いた。ロビーでやれ。電話が終わってから入ってこい。

 最終的には350席に7.5割ほどの入り。メインは高齢者で、白髪が目立っていた。女性はだいたい1/3ほど。関係者は最初は3人くらいだったが、最終的に10人前後に。多いって。しかも本編が始まると出て行くから、ドアから灯が入ってジャマ。うーむ。

 気になった予告編は……またまたTVの劇場版、テレ朝の「臨場」。どうなんだろう。TVは見ていなかったが、検視官のドラマらしい。6/30公開。「外事警察」はNHKドラマから。暗い雰囲気だが、面白そう。6/2公開。

 実在の片腕の女性サーファーを描いた「ソウル・サーファー」は、主演が「テラビシアにかける橋」(Bridge to Terabithia・2007・米)の美少女アナソフィア・ロブ。タイトルをもっと早く出して欲しい。覚えられないし見逃してしまう。何のための予告なのか。どうも作っている人の自己満にしか思えない。6/9公開。

 その点アニメの「虹色ほたる」は実に正しい。最初から右上にタイトルが出たまま。覚えやすい。5/19公開。

 上下マスクの香港映画「捜査官X」は天才捜査官を演じる金城武と、謎の平凡な男を演じるドニー・イェンが共演するちょいと昔の時代のミステリー・アクションらしい。PG-12指定。おもしろそう。4/21公開。

 さらに上下マスクの「青い塩」は実に韓国映画らしいラブ・アクション。元ヤクザの中年男と、実は彼を殺そうとしている女暗殺者の少女のラブ・ストーリーというか壮絶アクション。監督は「イルマーレ」(Il Mare・2001・韓)のイ・ヒョンスン。主演は名優ソン・ガンホ。また少女役の新人らしいシン・セギョンのかわいいこと。3/17公開。


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