In Time


2012年2月19日(日)「TIME タイム」

IN TIME・2011・米・1時間49分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(デジタル、OTTO)/ドルビー、DATASAT(IMDbではドルビー・デジタルも)

(米PG-13指定)(デジタル上映もあり)

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/time/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

近未来、そこではすべての人間が25歳で成長がストップし、それ以降は余命1年で、あとは時間を労働などによって買うしか生きる術はなかった。そして残り時間は腕に表示され、通貨の代わりに使われ、他の人とやりとりすることも可能だった。富裕層はほとんど100年以上の時間を持ち、寿命で死ぬことはなく、区分けされた富裕ゾーンに住んでいた。ある日、スラムゾーンのウィル・サラス(ジャスティン・ティンバーレイク)は身なりの良いヘンリー・ハミルトン(マット・ボマー)をギャングの襲撃から救い、116時間の寿命をもらう。そのとき、ローンを払ったウィルの母レイチェル(オリヴィア・ワイルド)が、バス代が値上がりしていたため歩いて帰るハメになり、時間切れで命を失ってしまう。怒りを覚えたウィルは富裕層をメチャメチャにしてやろうとニュー・グリニッチへ入り込み、カジノでどんどん時間を増やしていく。そして大富豪のフィリップ・ワイス(ヴィンセント・カーシーザー)と知り合い、家に招かれて娘のシルビア(アマンダ・セイフライド)と運命的な出会いをする。

72点

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 これはSFではあるが、SFという形を借りた青春ギャング映画ではないのか。ちょっと「俺たちに明日はない」(Bonie and Clyde・1967・米)のような雰囲気があるし、実際にアメリカであった「パトリシア・ハースト事件」みたいではないか。ただ、お金を盗むのではなく、それに相当する時間を盗むのだが。そして、映画では盗まれる側が富裕層で、明らかに搾取している設定だが。

 そのため、搾取される側が気の毒でかわいそうなのに、どうしてもスラム育ちの主人公と誘拐された大富豪の娘の行動は、理解はできても引っかかるものがある。全面的に支持できない。義賊として、ねずみ小僧次郎吉のように盗んだ時間を庶民に分け与えているものの、その行為によって、悪いことをしているわけではない警察官たる時間監視員、タイム・キーパーの命をも奪ってしまう。それでいいのか。目的が正しければ、手段はどうでもいいのか。犠牲もしかたがないものだと。うーむ。

 ギャング映画なので銃はたくさん出てきて、銃撃戦も多い。その多くはSF感を強めるためか、シルバー系の色のものが多かった。市民がコルト・ポリス・ポジティブ4インチ、ギャングがノンフルートのルガー・スーパー・レッド・ホークの2.5インチ・バレル、ボディガードがM92FSのサイレンサー付きとか、いろいろ持っており、タイム・キーパーがAUGなどを使用。

 主役のウィル・サラスはジャスティン・ティンバーレイク。音楽の世界でも活躍し、多くのTVに作詞・作曲・パフォーマーとして曲を提供している。つい最近は役者として「ソーシャル・ネットワーク」(The Social Network・2010・米)に出ていた。使っていた銃は、金持ちのボディカードから奪うシルバー・スライドのグロックとS&WパフォーマンスセンターのM945カスタム、そしてブーツに隠している。COP 357デリンジャー。

 相手役の富豪の娘のシルビアはアマンダ・セイフライド。ABBAの曲をメインにしたミュージカル「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・米/英/独)で主演して注目された人。その後、ミーガン・フォックスのホラー「ジェニファーズ・ボディ」(Jennifer's Body・2009・米)、「親愛なるきみへ」(Dear John・2010・米)、「ジュリエットからの手紙」(Letters to Juliet・2010・米)などを経て、つい最近、童話ベースのホラー「赤ずきん」(Red Riding Hood・2011・米/加)に出ていた。使っていた銃はウィルからもらうS&WパフォーマンスセンターのM945カスタム。身長が160cmくらいと小柄なので、.45口径はかなりでかく見える。

 彼らを追うタイム・キーパーのレイモンド・レオンはキリアン・マーフィー。「バットマン・ビギンズ」(Batman Begins・2005・米/英)のスケアクロウはかなりインバクトが合ったし、アイルランドの戦いの歴史を描いた「麦の穂を揺らす風」(The Wind That Shakes the Barley・2006・アイルランド/英ほか)の主役も強烈だった。そしてレオナルド・ディカプリオの大ヒット作「インセプション」(Inception・2010・米/英)でも重要な役を演じていた。使っていた銃はシルバー・スライドのグロック。

 庶民が住むスラム・ゾーンのギャングのボス、フォーティスはアレックス・ペティファー。つい最近「アイ・アム・ナンバー4」(I Am Number Four・2011・米)で主演を張っていた人。悪役もなかなかの雰囲気。使っていた銃はS&WのM500マグナム4インチ。

 外見上は25歳に見えるウィル・サラスの母、レイチェル・サラスはオリヴィア・ワイルド。リメイクSFの「トロン:レガシー」(TRON: Legacy・2010・米)で出演してから注目され、「スリーデイズ」(The Next Three Days・2010・米/仏)や「カウボーイ&エイリアン」(Cowboys & Aliens・2011・米)に続けて出演。最近あちこちに引っ張りだこ。小さな役なのに、贅沢な使い方かも。

 同じく小さい役だが、スラム・ゾーンに迷い込んでくる富豪の男、ヘンリー・ハミルトンはマット・ボマー。「フライトプラン」(Flightplan・2005・米)や「テキサス・チェーンソー・ビギニング」(The Texas Chainsaw Massacre: The Beginning・2006・米)に出た後、TVシリーズの「ホワイトカラー」(2009〜2011・米)で主役の泥棒ニールを演じた人。とても二枚目で、上品な感じ。今後映画でも重要な役をやりそうだ。

 グリーンの数字がアルファベットに変わって行くタイトルは、クレジットではMTMCT MTMCTとあったと思う。良くあるパターンだが、なかなかうまい。武器係はたしかイアン・ケイとあったと思う。IMDbではどちらも表記がなかった。

 脚本と監督はアンドリュー・ニコル。ニュージーランド出身で、だいたい監督と脚本を両方手掛けていて、見ていないが高い評価を受けたSF「ガタカ」(Gattaca・1997・米)や、あまり好きではないが評価の高い「トゥルーマン・ショー」(The Truman Show・1998・米)の脚本、アル・パチーノのバーチャル女優ドラマ「シモーヌ」(Simone・2002・米)、トム・ハンクスのコメディ「ターミナル」(The Terminal・2004・米)の原案、武器密売を描いた「ロード・オブ・ウォー」(Lord of War・2005・仏/米/独)などを撮っている人。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。この時点で8割くらい埋まっていた・これは珍しい。人気のようだ。当日は10分くらい前に開場。中高年もいたが20代くらいが多く半数ほどもいただろうか。男女比は4.5対5.5くらいでやや女性が多い感じ。最終的には157席が満席となった。遅れてくるヤツが多く、携帯をライト代わりに煌々と光らせて入ってくるヤツまで。腰をかがめて人の邪魔にならないようになんて気は毛頭ないらしい。遅れて来たくせに、まず座ってケータイのチェックかよ。

 気になった予告編は……スクリーンが左右に広がり、少し上下が狭まってシネスコ・サイズになってから、「タイタニック3D」。3Dで撮っていないんだから、疑似3Dということになるが、デジタル部分は作り直せるとして、どうなんだろう。まあ元が良いから大スクリーンで見て損はないと思うけど。4/7公開。

 アクション満載のラブ・コメという感じは「ブラック&ホワイト」。CIAのエージェントの男2人に、二股をかける女1人、という映画の定石、黄金の三角関係。アクションが本格的なようで、それなら面白いかも。4/20公開。


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