Take Shelter


2012年3月24日(土)「テイク・シェルター」

TAKE SHELTER・2011・米・2時間00分

日本語字幕:丸ゴシック体下、池村正志/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Arri)/ドルビー・デジタル、SDDS

(米R指定)

公式サイト
http://www.take-shelter-movie.com/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

小さな街の土木工事会社で働くカーティス(マイケル・シャノン)は、嵐がやって来て、オイルのような黄色い雨が降る夢を見て、うなされて目覚める。幼い娘のハンナ(トーヴァ・スチュワート)は耳に障害があり、カーティスは妻のサマンサ(ジェシカ・チャステイン)とともに手話教室に通っている。次にカーティスは嵐がやって来て飼い犬がおかしくなって噛みつかれる夢を見る。さらに嵐で鳥の大群が群れをなして飛び回り、黒い雨が降る夢を見る。自分でも不安になったカーティスは図書館で精神疾患の本を借りてくる。そんなとき、サマンサが娘のハンナが耳の手術を受けられることになったと言う。しかし悪夢で上の空のカーティスは、嵐の夢が予知夢に思えて、心配で仕事も手に付かなくなり、嵐から家族を守るため、ローンを組んで金を借り、庭の地下にあるシェルターを頑丈で本格的なものにする工事を始める。

68点

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 IMDbで7.7と驚異の高得点。ネガティヴではないが非常に暗い映画。なおかつ、ほとんど何も起こらない。男が見る悪夢と、それによる日常での異常行動。やってはいけない行動をとり、本来それは愛する人のため、家族のためであるはずが、家族をないがしろにしても実行しようとする。ということは、すでに目的を失ってしまうわけで、単に自分だけが助かりたいのではないかと思えてくる。まったく愚かな行為。矛盾しまくり。かなり退屈で眠かった。悪夢と現実が交錯して行く物語は、結局ラストも夢ではなかったと言い切れない構成。これで良いのか。

 しかも、嵐が来ると言うので、庭の簡単な地下シェルターの横に、もっと本格的なシェルターをコンテナを改造して埋めて作るのだが、これがまた竜巻みたいなものを避けるのには役立つかもしれないが、豪雨になって洪水になったら1発でアウトと思われる代物。ラストじゃものすごい嵐で、雷雨かつ津波のようなものまで描かれているから、あんなシェルターじゃ、ダメじゃん。日本のシェルターのように水に浮いて生き延びられるというようなものでないと。

 ある意味、ノアの箱船的なお話なのかもしれない。村人にバカにされたが、男は神の教えを守り雨も降っていないのにせっせと全財産を注ぎ込んで大きな船を造り、動物と自分たちだけが助かりましたとさ、みたいな。

 見る前の予想は2つ。嵐による惨劇とその後まで描き、どう生き延びるかを描くB級映画にありがちなディザスターものか、頭の中でだけ起こっていることを描く「“アイデンティティー”」(Identity・2003・米)系のものか。結局後者だったわけだが、「“アイデンティティー”」のように想像を超えるほどではなく、ありがちな結末という……。低予算だったのか。

 予知夢的な映画だと、ざっと上げても「ノウイング」(Knowing・2009・米/英/豪)、「ナンバー23」(The Number 23・2007・米)、「リーピング」(The Reaping・2007・米)などたくさんある。今更でもあるしなあ。

 とにかく周りに迷惑かけまくり。ちゃんと自分が見た夢をていねいにきちんと誰かに話すべき。少なくとも妻には話すべきだろうし、親友や弟にだって話しても何の問題もないはず。そしてどう思うかと意見を求めればいいのではないか。自分の中にこもってしまって、誰にも話さないから、ちょっとした疑問は大きな疑いとなり、不安として増大し、被害妄想のように自分を縛ってしまう。結局。自業自得ではないか。いや、あれだけ周りに迷惑を掛けたら、自業自得だけではすまない。ちゃんと大人として責任を取らなくては。子供じゃないんだから。一歩間違えば、シェルター作りではなく銃に手を出していたかもしれない。そんな危険な話。ラストだって本当に天災かどうかわからない。それでも最後まで見捨てない妻がすごい。そういう話か?

 いかにも神経症的な雰囲気で名演技だったカーティス役のマイケル・シャノンは、オリジナル監督自身によるハリウッド・リメイク、「ロシアン・ルーレット」(13・2010・米)で、試合と言うかゲームの冷血な進行係をやっていた人。しかにあれでも怖かった。本作でも怖い。そしてそんな暗い系の物語の出演が多い。

 振り回される妻サマンサはジェシカ・チャステイン。いろいろなTVドラマに出た後、テレンス・マリックの話題作「ツリー・オブ・ライフ」(The Tree of Life・2011・米)でスクリーン・デビュー。その後がシェイクスピアの現代翻案「英雄の証明」(Coriolanus・2011・英)で、そして本作だから、アート系の作品が多い。もちろん演技は自然で、素晴らしいと思うが、せっかくの彼女の美しさが生かされたものがないのは残念。公開が控えている作品が6本以上もある人気ぶり。

 監督・脚本はジェフ・ニコルズ。同じく監督・脚本を担当した「ショットガン・ストリーズ(未)」(Shotgun Stories・2007・米)に続く劇場長編映画2作目。1作目もマイケル・シャノンの主演。気が合うのか。3作目の製作中の作品もマイケル・シャノンが出るらしい。ということは、やっぱり暗い傾向の話なのだろうか。

 公開初日の初回、新宿の劇場は午後からのスタートで、全席指定。金曜に確保しておいて、30分前くらいについたら、またまた下の入口から渋滞。入口付近にkinezoとかいうオンライン予約システムの機械があって、そこに行列ができているのだ。さらに小さなエレベーターが3台あるのだが、案内係が捌いているのだが、これが小さすぎてまた渋滞。上にあがるとチケット・カウンターでまた渋滞で、フード&ドリンク(コンセッション?)が渋滞。コーヒーを飲みたがったが、たぶん並んでいたら予告編が始まるまでに合いそうもないので止めた。うむむ。

 10分前くらいに開場し、場内へ。若い人から中高年まで、割と幅広いが、やや若い人が多いか。男女比は6対4くらいで、男性が少し多い感じ。最終的に138席はほぼ満席状態。意外に人気があるようだ。そういう作品ではない気がするが……。関係者らしい1団は4〜5人。

 明るいまま始まった予告編で気になったのは……アニメ「009 RE:CYBORG」はプロダクションI.G.作品。大人なタッチで雰囲気が「攻殻機動隊」っぽかった。面白そうだが、やっはり混むんだろうなあ……。秋公開。

 かつて劇場予告に紛れて上映されていた、謎の3D-CGの人体模型がダンスするだけの映像、どうやら劇場アニメとして公開されるらしい。「放課後ミッドナイターズ」は謎の映像だったときより描き込みが少なくなっている感じはするが、たぶん同じ人体模型だろう。前売りを開始したと。でも内容も良くわからないのに、これだけの予告では……。あまり奇をてらったものはいかがなものか。ただ、3D-CGによる絵は素晴らしい。マニアで混むだろう。夏公開。

 上下マスク「MY HOUSE」はモノクロで重苦しい雰囲気。意外なことに監督は堤幸彦なんだとか。うーむ。5/26公開。

 アニメ「劇場版タイガー&バニー」は、わざわざ劇場版と謳うということは、TVアニメからのスケール・アップだろうか。ファンには嬉しいのだろうが、ボクにはサッパリ。たぶんこれも混むのは間違いないだろう。9月公開。

 上下マスクの「キラー・エリート」は、かつてのサム・ペキンパー監督の「キラー・エリート」(The Killer Elite・1975・米)とは関係ないらしい。原作はラヌルフ・ファインズのノンフィクションらしい。元SASの男の実話なんだとか。ロバート・デ・ニーロ、ジェイソン・ステイサム、クライヴ・オーウェンという豪華な顔合わせ。面白そう。5/12公開。

 上下マスクの「バトルシップ」は新予告に。日本語吹替? 残念な「ハンコック」(Hancock・2008・米)の監督で、玩具メーカーのハスブロー社が前面に出ているのが気になる。絵もすごいのだが「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)にすごく似ていて、ちょっと嫌な予感も。はたして……4/13公開。

 上下マスク「センター・オブ・ジ・アース2神秘の島」は登場人物に合っていない声の吹替版での予告。ドウェイン・ジョンソンが出ているのでアクションがメインなんだろうけど、名優マイケル・ケインが出ているのには驚いた。まさか。3/31公開。

 上下マスク「ドライヴ」はたぶん新予告。面白そう。3/31公開。

 スクリーンが上下に狭まって、シネスコ・サイズになって本編へ。


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