The Ides of March


2012年3月31日(土)「スーパー・チューズデー 正義を売った日」

THE IDES OF MARCH・2011・米・1時間41分

日本語字幕:丸ゴシック体下、表記なし/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定)

公式サイト
http://supertuesday-movie.com/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

アメリカ合衆国大統領選挙に向けて、民主党候補を決めるための予備選挙が行われていた。ペンシルベニア州の知事マイク・モリス(ジョージ・クルーニー)は、ライバル候補のプルマン上院議員とつばぜり合いを演じていた。勝敗の行方はオハイオ州での結果に掛かっていた。モリスの選挙参謀はベテランのポール・ザラ(フィリップ・シーモア・ホフマン)と有望な若手のスティーヴン・マイヤーズ(ライアン・ゴスリング)。選挙事務所の若い美人インターンのモリー・スターンズ(エヴァン・レイチェル・ウッド)がスティーヴンに声を掛けてくる。すぐに深い関係になる2人だったが、そこへプルマン陣営の選挙参謀トム・ダフィ(ポール・ジアマッティ)が電話をかけてきて、5分で良いから会いたいと言う。

72点

1つ前へ一覧へ次へ
 アメリカ人には衝撃的な内容っだったのではないだろうか。ただ、たぶん一般的な日本人的には理解しにくいのでは。また、逆にこういうことが普通に行われていたとしても、そうだろうな、という感じで実感しにくいと思われる。また、ネタは1つで、ヒネリはない。最初の20〜30分は単調で、ついつい眠くなる。実際隣のオヤジは寝て、あやうくいびきというところ、つついて起こした。

 しかも、こういう展開で、主人公に得はあったのだろうか。当面、職を失わなくてもすんだものの、信頼を失っているのにこの後うまい人間関係を保てるわけもなく、最低で現状維持。それ以上はありえないことになる。つまり、主人公は復讐を果たして溜飲を下げただけということ? そんなの意味があるんだろうか。いや、アメリカでは意味があるんだろう。やられたらやり返す。そうしないと舐められる。意味はなくても立ち向かうことが大切なんだと。しかし、こんな関係でちゃんと仕事ができるわけない。

 政治にかかわる人々は、すべてパワー・ゲームで、裏切りやだまし、嘘、見返り、相手の弱み……なんでも使って勝つことが重要。パワー・ゲームに勝って、上のポジションに就くこと。そのポジションで何をするかなんて、誰も気にしていないし、政治家も関係者も、マスコミさえも期待していないと。最初は本気で何をやるかを期待していた主人公のスティーヴンも、人が変わり、気にしなくなってしまう。劇中、プルマン陣営の選挙参謀が主人公に言うセリフ「共和党の汚いやり方にも慣れろ。本気で泥仕合をやらない」。そして、新聞記者までもが、同じ様な手を使い、パワー・ゲームを挑んでくる。

 原題は「3月15日」で、邦題のスーパー・チューズデーというのは大統領選挙がある2月か3月の火曜日のこと。国土の広いアメリカの選挙の投票は、月曜を移動日とし、火曜に行われるらしい。本作ではそれが3月15日になっている。

 原作は脚本と共同製作も担当しているボー・ウィリモン。実際に大きな選挙に参加した経験から「ファラガット・ノース」という舞台の脚本を2008年に書いてプロ・デビューしたのだとか。

 ほかに脚本は、監督と出演・製作を務めるジョージ・クルーニーと、グラント・ヘスロヴ。グラント・ヘスロヴは、役者としてキャリアをスタートし、最近は脚本、監督、製作も手掛けている人。ジョージ・クルーニーが監督し出演した「グッドナイト&グッドラック」(Good Night, and Good Luck.・2005・米/仏/英/日)から脚本や製作も手掛けるようになって行く。そして続くジョージ・クルーニー監督・主演の「かけひきは、恋のはじまり」(Leatherheads・2008・米/独)でも製作を務め、実在のアメリカの超能力部隊を描いたジョージ・クルーニーの「ヤギと男と男と壁と」(The Men Who Stare at Goats・2009・米/英)では、製作のほかに監督業にも乗り出している。

 監督はジョージ・クルーニーで製作も担当。「コンフェッション」(Confessions of a Dangerous Mind・2002・米/英/独)、「グッドナイト&グッドラック」、「かけひきは、恋のはじまり」に続いて4本目。アート系で公開されることが多いので、見ていない作品が多いから何とも言えないが、たしかに娯楽作品ではない気はする。でも演出がうまいのは間違いないだろう。

 製作総指揮でレオナルド・ディカプリオも名を連ねている。

 主演のライアン・ゴスリングは、サンドラ・ブロックのスリラー「完全犯罪クラブ」(Muder by Numbers・2002・米)で犯人役の悪ガキ高校生を演じ、アート系だったので見ていないが「16歳の合衆国」(The United States of Leland・2002・米)に主演、さらに感動ラブ・ストーリー「君に読む物語」(The Notebook・2004・米)でもメイン・キャストだった。そして、またまたアート系の人形を愛する青年を描いた「ラースと、その彼女」(Lars and the Real Girl・2007・米/加)で主演と、話題街道まっしぐら。が、その後あまり見かけなくなって、「ドライヴ」(Drive・2011・米)で再びメジャーに返り咲いた感じ。そして本作へと続く。これでスターの仲間入りだろう。

 上司のポール・ザラはフィリップ・シーモア・ホフマン。悪役から普通の役までなんでもこなす名わき役という感じの演技派。実在の人物を演じた「カポーティ」(Capote・2005・米/加)でアカデミー賞主演男優賞、ゴールデン・グローブ賞、全米俳優組合賞を受賞。つい最近「マネーボール」(Moneyball・2011・米)で監督を演じていたばかり。

 ライバル陣営の参謀トム・ダフィはポール・ジアマッティ。この人もコメディからシリアスまで幅広く演じている名わき役。最近だとエグイ続編「ハングオーバーII史上最悪の二日酔い、国境を越える」(The hangover Part II・2011・米)に怖い麻薬の取引相手で出ていた。

 タイムズのしたたかなやり手女性新聞記者アイダはマリサ・トメイ。「ことこのビニー」(My Cousin Vinny・1992・米)でアカデミー賞助演女優賞に輝いているが、ボク的には号泣ラブ・ストーリーの「忘れられない人」(Untamed Heart・1993・米)がまさに忘れられない。早くに大成したせいか、その後あまり目立たなくなって、アート系の「レスラー」(The Wrestler・2008・米/仏)で再び注目を浴びる。見ていないがスティーブン・カレルの「ラブ・アゲイン」(Crazy, Stupid, Love.・2011・米)でライアン・ゴスリングと共演している。

 美人インターンのモリーはエヴァン・レイチェル・ウッド。子役出身だそうで、ヴァーチャル・アイドルの「シモーヌ」(Simone・2002・米)でアル・パチーノの娘を、トミー・リー・ジョーンズの西部劇「ミッシング」(The Missing・2003・米)で、ケイト・ブランシェットの娘を演じていたらしい。その後「レスラー」でミッキー・ロークの娘を演じ、マリサ・トメイと共演している。誰かの娘役が多く本作もだが、これからは1人の自立した女としての役で活躍しそうだ。

 使っていたノートPCは、DELL、HP、Mac。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。15分前くらいに開場となって場内へ。観客層は若い人から中高年までいたが。メインはやはり中高年。30人くらいで、女性は2〜3人。どうも政治がテーマだと日本ではウケないようだ。最終的に232席に3.5割くらいの入り。

 半暗になってはじまった予告で気になったのは……アニメの「劇場版TIGER & BUNNY The Begining」は、TVシリーズのSFヒーローもので、2人のコンビによるバディものらしい。昔の刑事ドラマはバディものが多かったなあなんて思い出した。9月公開。

 続編となる「大奥〜永遠〜」が作られるらしい。まずその前に連続TVドラマが作られると。映画は12/22公開。

 こちらも続編で上下マスクの「エクスペンダブルズ2」はシルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、チャック・ノリス、ブルース・ウィリス、ジェット・リー、ジャン=クロード・ヴァンダム、アーノルド・シュワルツェネッガーといったそうそうたる顔ぶれ。ただ、スタローンとシュワルツェネッガーは銃嫌いとして知られているというのがなんとも残念。10/20公開。

 上下マスク、岡田准一の「天地明察」は新予告になったが、まだあまり内容はわからない。面白そうな感じはするのだが……。

 上下マスクの「ファミリー・ツリー」はハワイに住む家族のドラマらしい。妻の浮気が発覚し……という話、ちょっとうんざりな感じはするが。なぜか日本語吹替での予告。5/18公開。

 モノクロ、セリフなし、音楽のみらしい「アーティスト」は「雨に唄えば」(Singin' in the Rain・1952・米)的な匂いがするが、面白そうな予感。犬がまたかわいい。4/7公開。


1つ前へ一覧へ次へ