Gekijou-ban SPEC Ten


2012年4月8日(日)「劇場版SPEC天」

2012・TBS/東宝/角川書店/キングレコード/MBC/CBC/オフィスクレッシェンド/RKB/TCエンタテインメント/HBC・1時間59分

ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル



公式サイト
http://www.spec-movie.jp/index.html
(全国の劇場リストもあり)

2012年9月6日、海上のクルーザーでミイラ化して凍死したグループの死体が発見される。その事件の捜査を未詳こと警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係が担当することになり、瀬文焚流(せぶみたける、加瀬亮)と当麻紗綾(とうまさや、戸田恵梨香)はクルーザーの調査に出かけ、被害者が政府関係者ではないかとにらむ。そこへ美鈴(みれい、福田沙紀)から助けを求める緊急電話が入り、2人で行くと、CIRO特務班、アメリカのシールズ出身でSIT教官だったキルビルこと青池里子(栗山千明)とバディの宮野珠紀(三浦貴大)が凍死したグループの1人が所持していたDVD-BOXから特殊能力によって何かの情報を得たから、逮捕して尋問するという。そのころ、死んだはずの一十一(にのまえじゅういち、神木隆之介)は「御前会議」と称するグループに紛れ込み、全員をスペックホルダーの伊藤淳史(伊藤淳史)に刺殺させると、その様子を撮影したDVDを未詳に送り付けてくる。

72点

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 ああ、劇場版は作らないと宣言しておきながら(わざとだろうが)、劇場版を作り、すべての謎が解けるといっておきながら、謎を作って終わって、劇場版の続編があると(出ないからとわざと言わせているが)……これって、狙った裏切り? あえて言えば、こういうことはTVでやれ。TVシリーズの後の映画なら、きっちりと落とし前をつけて見せるべき。笑えない酷い裏切り。TVのスペシャルで良いじゃん。続編も。TVスペシャルの「翔」は「承」で、映画版の「天」は「転」で、「結」があると。うむむ。

 今回の話も、一度倒したヤツが出てきて、同じ敵との対決という繰返し。ということはやっぱりつなぎ? イントロは「20世紀少年」(2008・日)を思わせる、未来からの回想という形。ストーリー的には「HEROESヒーローズ」(Heroes・2006〜2010・米)で、構成と味付けはTVドラマ「ケイゾク」(1999・TBS)と「トリック」(2000・テレビ朝日)かなあ。渡部篤郎が阿部寛になって、加瀬亮になったと。中谷美紀が仲間由紀恵になって、戸田恵梨香になったと。「ケイゾク」の野々村光太郎は本作でも野々村光太郎で、竜雷太が演じているし。「トリック」の書道の先生、野際陽子は本作で戸田恵梨香が受け継いでいる。

 画もテレビっぽくて、色が浅い。特に空はいつも白で、青さがない。ハリウッドのようにカラリストまで付けるのは無理だろうが、もう少しどうにかならないものだろうか。ひょっとしたらTVの延長ということで、あえて同じにしているのかもしれないけど。逆に、TVと同じ機材で撮っている可能性も。画質的には問題ないはずだから。

 加瀬亮と戸田恵梨香にあえてイメージと違う役をやらせるというのも…… 面白いし、はまっていたけど、わざと感があって「ケイゾク」や「トリック」と一緒の手法だからなあ……。それにしても、栗山千明をキルビルと呼ぶとは。まあ伊藤淳史は伊藤淳史の役だが。たぶん浅野ゆう子が演じたマダム陽(ヤンは楊じゃなかったけど)がわかる人はどれだけいたんだろう。「W3ワンダースリー」とか。

 登場した銃は、加瀬亮と戸田恵梨香が使うのがUSPコンパクト。特殊部隊はMP5。チーフ系のシルバーも出ていた。銃器特殊効果はTV版から引き続きBIG SHOT。気持ち良く薬莢が舞っていた。栗山千明はS&Wの2インチ・バレルのフラット・サイド。M340PDかM&P360あたりか。

 加瀬亮は北野武映画「アウトレイジ」(2010・日)にも出て入るが、どちらかといえばおとなしめの役が多い感じ。クリント・イーストウッド作品「硫黄島からの手紙」(Letters from Iwo Jima・2006・米)の元憲兵役は抜群に良かった。本作ではとてもエキセントリック。勢いだけで何でもやろうとする。いつも拳銃を入れた紙袋を持っているのが良い。

 戸田恵梨香は漫画原作の映画「DEATH NOTE デス・ノート」(2006・日)の弥海砂役は衝撃的カワイサだった。その後多くの話題作に出まくりだが、「アマルフィ 女神の報酬」(2009・日)の日本大使館の研修生役ははまっていた気がした。つい最近「DOG×POLICE 純白の絆」(2011・日)に出ていたが、合っていたのかどうか。乱暴な言葉遣いが、急にしおらしくなって「ハイ」なんていうと、実に良い感じ。いつもソフト・キャリー・バッグをガラガラと引きずっているのが、いまどきの女の子っぽいのか、面白い。

 脚本は西荻弓絵。TVで活躍している人で、なんと「ケイゾク」を書いていたんだとか。似ているわけだ。コメディ系のものが多いようだ。

 監督は堤幸彦。いろんなジャンルを撮っている人だが、やはりシリアスな問題をコメディっぽく描く感じが素晴らしい。そして、独特の「毒」のようなものを持っている。1991年に「ホームレス」という映画を撮っていて、2012年にまた「MY HOUSE」というホームレス系らしい作品が公開される。

 いい感じの主題歌はTHE RiCECOOKERSの「NAMInoYUKUSAKI」。ぶつ切りになる感じがおもしろく、気になって心に残る。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保、25分前くらいに着いたらちょうどビルが開いたところ。開き直ってコーヒーを持ってロビーへ。さすがに場内へ持っては入らない。ここですべて呑む。10分前くらいに開場となって場内へ。客層は、下は小学生くらいから、中年くらいまで。高齢者は少ない。幅が広いのはTVの映画化だからか。男女比は4.5対5.5くらいでやや女性が多い感じ。最終的には301席、ほぼすべて埋まった。さすが。

 とにかく携帯を使っているヤツが多い。「映画館なう」などとやっているのかと思うとゾッとするが、とにかく場内ではケータイを使うな。ロビーでやれ。

 少し暗くなって始まった予告編で気になったのは……なんと、あのアニメが実写映画化されると。上下マスク「ひみつのアッコちゃん」は綾瀬はるか主演。驚いた。9/1公開。

 「ヘルタースケルター」は沢尻エリカ主演映画。かなりエロティックな感じで、こうなったかという感じ。7/14公開。

 「宇宙兄弟」は漫画原作でアニメにもなった人気作だそうで、夢をかなえて宇宙へ行って事故に遭った弟のため、夢を捨てた兄が頑張って宇宙を目指すという話らしい。子供が一杯こなければいいかも。

 上下マスク「テルマエ・ロマエ」は阿部寛が古代ローマ人で、現代にやってきて、普通に日本語で話しているというスゴイ話で、どうなんだろう。4/28公開。


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