Catch.44


2012年4月8日(日)「キリング・ショット」

CATCH.44・2011・米・1時間34分

日本語字幕:丸ゴシック体下、高橋 澄/シネスコ・サイズ(デジタル、Red One)/ドルビー・デジタル

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://gacchi.jp/movies/killing-shot/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

町から遠く離れたダイナーに、ストリップ・バーでウエイトレスをしているテス(マリン・アッカーマン)と同僚のカラ(ニッキー・リード)とその姉のドーン(デボラ・アン・ウォール)がやって来る。町のボス、メル(ブルース・ウィリス)の命令で、ここで自分に無断でヤクの大きな取引が行われるらしいから、それを押さえて探れというのだった。しかし予定の深夜2時30分を過ぎ3時になっても何も起こらない。3人は女店主が知っているはずと行動を起こすが、意外な女店主の反撃でカラがショットガンで撃たれてしまう。そのころ、町の外れで車が故障して路肩に停めていたロニー(フォレスト・ウィティカー)を不審に思った保安官補のエルモア(P・J・マーシャル)が職質を掛けるが……。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 うーむ、クズのようなヤツらが、ゴミ溜めであがき潰しあい、そして誰もいなくなるヴァイオレンス満載、血まみれの映画。痛快でも、爽快でもなく、感動もなければ、カタルシスもない。破滅的で悲観的ではないにしても、希望や未来はほとんどない。一体何が描きたかったのか。IMDbではわずか4.8点という低評価。

 せめて、感情移入できる彼(または彼女)が腐った世界から抜け出そう、まともになろうと努力しているのなら、まだ救われるが、友達さえ出し抜こうとし、友達が死のうと気にもしないようでは、同情できない。どうにでもなれという感じ。

 昔からある手法だが、特に「メメント」(Memento・2000・米)あたりから多用されるようになった時間軸をばらばらにして再構築した物語。最初は何が起こっているのかわからないが、次第に1つに収れんして行って全貌が見えてくると。雰囲気としては音楽の通りウエスタンを狙ったのかもしれない。そして悪の群像劇、それぞれの人間模様を描きたかったのかもしれない。ちょとアーネスト・ヘミングウェイの「殺人者」の匂いがしないでもない。

 日本語のタイトルも意味が良くわからないが、英語の原題も良くわからない。.44口径をくらうということか。

 男優は豪華。まず、精神異常とも思えるようなどうしようもない悪党のロニーがフォレスト・ウィティカー。古くは話題になったベトナム戦争映画「プラトーン」(Platoon・1986・英/米)や、イーストウッドのジャズ映画「バード」(Bird・1988・米)ではチャーリー・パーカーを演じ、そして大ショッキング映画「クライング・ゲーム」(The Crying Game・1992・英/日)にも出た。殺し屋ムービー「ゴースト・ドッグ」(Ghost Dog: The Way of the Samurai・1999・仏/独/米/日)では、日本の葉隠れを語って見せた。さらには「ラストクキング・オブ・スコットランド」(Last King of Scotland・2006・英)で狂気のアミン大統領を演じて怖かった。最近はSFアクションの「レポゼッション・メン」(Repo Men・2010・米/加)に出ていて、やっぱり怖かった。スゴイ人だ。使っていた銃は、サイレンサー付きキンバーとニッケル・メッキのガバメント。頭が半分飛んじゃうメイクがスゴイ!

 町のボス、メルはブルース・ウィリス。アクション快作「ダイ・ハード」(Die Hard・1988・米)でブレイクした人で、以来アクションを中心に活躍を続けている。意外な作品で良かったのはハートフル・ホラーの「シックス・センス」(The Sixth Sense・1999・米)。コメディにも良く出て入るし、悪役もやる。最近はロートル・アクション「RED/レッド」(Red ・2010・米)。使っていたのはパイソンかキングコブラ、もしくはアナコンダのシルバーでアイボリー・グリップを付けたもの。老人のシミとぼさぼさヘアーのメイクがすごかった。

 保安官はちょっとしか出てこないのだが、それでも印象に残るのはブラッド・ドゥーリフ。ほとんど悪役専門のような人で、古くは名作「カッコーの巣の上で」(One Flew Over the Cucoo's Nest・1975・米)や、興行に失敗した超大作西部劇「天国の門」(Heaven's Gate・1981・米)、人形ホラーの「チャイルド・プレイ」(Chil's Play・1988・米)などに出ていて、最近はSFヴァンパイア映画「プリースト」(Priest・2011・米)に出ていた。

 女優陣はいまひとつメジャーな人がいなかった。主役級らしい扱いの金髪美女はスウェーデン出身のマリン・アッカーマン。「ウォッチメン」(Watchmen・2009・米)やサンドラ・ブロックの「あなたは私の婿になる」(The Proposal・2009・米)に出ていたようだが、あまり印象にない。使っていたのはグロック。

 銃器は他にS&WのM66系のもの、モスバーグらしいポンプ・ショットガン、そして正体不明の小型オートなど。

 監督・脚本はアーロン・ハーヴィー。監督としては2作目で、1本目は日本劇場未公開の「The Evil Woods」(2007・米)。IMDbでは3.1点という驚くべき低評価。これでなぜ本作が撮れたのか。しかも有名俳優まで出てくれて。よほどプロデューサーの腕が良かったのか。

 公開2日目の初回(と言っても午後から)、六本木の劇場は全席指定で、ムビチケ。公開当日の0時からの予約受付で、オンラインで登録。40〜50分前に着いてVITで入場券を発行し、スタバへ。お昼を食べて12〜13分前に戻ったらすでに開場済み。

 観客はほとんど中高年で、若い人が少し。25〜26人。男女比は6対4で男性が多かった。最終的には164席に3割ほどの入り。うーむ、まあ、こんなものか。

 半暗になって始まった予告で気になったのは……「Anotherアナザー」は漫画からアニメになって、ついに実写化というホラー。8/4公開。

 上下マスク「タイタンの逆襲」は、第1作があまりに残念だったので見ないつもりが、新予告になったらビジュアルはスゴイかも。4/21公開。

 逆に、「ブラック&ホワイト」は新予告になったら、くだらない感じがしてきた。実際どうなのか。4/20公開。同じタイトルの韓国映画があってややこしい。

 やっぱり1作目は残念だった「G.I.ジョー」の続編「G.I.ジョー バック2リベンジ」は、ドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンが出ていることで戦闘アクションが本格的らしく、イ・ビョンホンがカッコいい。これはひょっとすると面白いかも。8/10公開。

 タイトルがなかなか出ない「ダーク・ジャドウ」は、ジョニー・デップが出ている時代錯誤のヴァンバイアの話らしく、コメディ・ホラーらしい。5/19公開。


1つ前へ一覧へ次へ