Battleship


2012年4月14日(土)「バトルシップ」

BATTLESHIP・2012・米・2時間10分

日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://battleship-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

2005年、地球にそっくりの惑星が見つかり、アメリカでビーコン・プロジェクトが立ち上げられた。それは、従来の5倍の出力を持つ高パワー通信機を使い、ハワイからその惑星に向けて電波を送るというもの。数年後、アメリカ海軍中佐のストーン・ホッパー(アレクサンダー・スカルスガルド)は、弟のアレックス(テイラー・キッチュ)の誕生日をバーで祝っていた。そこに海軍のシェーン提督(リーアム・ニーソン)の娘、金髪美女のサム(ブルックリン・デッカー)が入って来て、空腹なのでチキン・ブリトーを食べたいというが、品切れだと断られる。それを見たアレックスはすぐに声をかけ、5分で手に入れてやるとコンビニに向かうが閉店した後。そこで店に侵入し金を払ってチキン・ブリトーを持ち出すものの、パトカーが駆けつけてあえなく逮捕。兄は海軍に入るよう命令する。さらに数年後、ハワイでアメリカ海軍主催によるRIMPAC(リムパック、環太平洋合同演習)が行われ、14カ国が参加、そこにアレックスも大尉として参加していた。そんなとき、NASAは宇宙空間で地球に編隊で向かってくる未確認飛行物体5機を捉える。

72点

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 素晴らしいSFX。これはもっと大きなスクリーンで見たかった。しかも3Dを意識したような絵作りで、差額が700円もしなければ3D上映があっても良かったのでは。とにかく、絵。この映画は「絵」。何も考えずに「絵」。

 内容は……設定は怖くて良い。正体不明の凶悪で強い宇宙人が、たぶん侵略に来る。それは良いとして、ご都合主義満載。リアリティとか考えちゃダメらしい。まるで冗談のようなお話。夜中にコンビニに侵入して捕まって、兄が海軍の将校だというだけで海軍に入れて、しかも大尉? 海軍兵学校に行ったのだろうか。大学と同じで4年のはずなのに、そんなに年月が経っているように見えない。っていうか、そんな不祥事を起こしたヤツを海軍兵学校が入学させてくれるのか。しかも後先を考えないケンカっぱやいバカ。一歩間違えばバカ映画になるところ。

 しかも、ありがちなストーリー展開。ハリウッドの定石過ぎるだろっと突っ込みを入れたくなるほど。無軌道な若者が、過酷な実戦で自覚を得て、大きく成長する。生きる気力さえも失ったような傷病兵が、再び立ち上がる。犬猿の仲の男2人が、共通の敵と戦って、親友になる。とっくに引退したベテランが、再び活躍して若者たちを助ける。……などなど。艦船版「トップガン」(Top Gun・1986・米)のような感じも、

 それでありながら、というか、それゆえ、見終わればすべての問題が解決して、すっきり爽快。ハラハラ、ドキドキ、とにかく2時間10分の間、スクリーンに引きつけられる。これは、小難しいことを言うインテリ風の映画よりは、わかりやすくてスッキリし、楽しめる。ただ。何も残らない。

 つまり、考えちゃいけない映画。頭を真っ白にして、ジェットコースターに乗ったように楽しめばいいタイプの映画。ただ、あまりに単純に終わらないように、エンド・クレジットの最後にオマケを付けたと。早く出てしまった人はそれが見れなかったことになる。一部で「続編を作る気なの」の声も。

 アレックス役のテイラー・キッチュ。同時公開の「ジョン・カーター」(John Carter・2012・米)で主役をやっている人。ヒュー・ジャックマンの「ウルヴァリン:X-MEM ZERO」(X-Men Origins: Wolverine・2009・米)にガンビット役で出演。長編劇場映画のデビュー作は、サミュエル・・ジャクソンの航空パニック「スネーク・フライト」(Snakes on a Plane・2006・独/米/加)なんだとか。その前はTVに出ていたらしい。M4カービンを使う。

 恋人で提督の娘、金髪美人のサマンサはブルックリン・デッカー。モデルからTVを経て、日本では受けないアダム・サンドラーの「ウソツキは結婚の始まり(未)」(Just Go with It・2011・米)で長編劇場映画デビュー。2本目が本作になると。

 日本の妙高の艦長、永田は浅野忠信。コメディからシリアルまで何でも演じ、たくさんの作品に出ている。最近では残念な「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)にも出ていた。日本映画だと「ステキな金縛り」(2010・日)か。人気TVドラマの「3年B組金八先生(3)」(1988)に出ていたとは意外。「殺し屋1」(2001・日)は怖かったなあ。公開が控えているハリウッド作品も多数。すごい。

 提督はリーアム・ニーソン。この人も文芸作品から歴史物、そしてB級の小作品でも普通に出ている感じ。概してアクションものがいい感じ。アクション・ミステリーの「アンノウン」(Unknown・2011・米/独ほか)、ラッセル・クロウの「スリーデイズ」(The Next Three Days・2010・米/仏)、本当にプロっぽく見えた「96時間」(Taken・2008・仏/米/英)、西部劇の「セラフィム・フォールズ(未)」(Seraphim Falls・2006・米)など。

 水兵の1人、小型ボートの射手レイクスは歌手のリアーナ。映画への出演は初めてだそうで、なかなかうまかった気がする。歌を歌っているときとは全く雰囲気が違って、さっそうとした兵士の雰囲気が出ていた。使っていた銃はM134ミニガンとM4カービン。

 銃器は他に、エイリアンのロケット弾だか擲弾だかを迎え撃つ艦艇の防御システムはファランクス。M2ブローニング、ポンプ・ショットガンも登場する。地元警察のジープに積んでありリハビリ中のビッグ・ガイが使うのがHの416。

 脚本はエリック・ホーバーとジョン・ホーバーのコンビ。兄弟だろうか。2人でケイト・ベッキンセールのホラー「ホワイトアウト」(Whiteout・2009・米/加/仏)、中高年アクション「RED/レッド」(Red・2010・米)などを書いている。どちらも結構面白かったのに、本作はなぜ、という感じも。

 監督は俳優で、プロデューサーでもあるピーター・バーグ。キャメロン・ディアスのコメディ「ベリー・バッド・ウェディング」(Very Bad Things・1998・米)で監督デビューし、それが高く評価されたらしく、次にドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンの痛快アクションの「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」(The Rundown・2003・米)を撮る。そしてFBIとテロの戦いを描いたアクション「キングダム/見えざる的」(The Kingdom・2007・米/独)も手堅くまとめ、ウィル・スミスの「ハンコック」(Hancock・2008・米)は残念だったが、本作に至ると。やぱりアクションがいい印象。ただ「ハンコック2」が伝えられているのが信じられない。

 本編中、海軍は距離をヤードで伝えているが、軍は結構前からメートル法じゃなかったのだろうか。違ったかなあ……。それと、字幕が途中でときどきギザギザの目立つものになったが、どうしたのだろう。急きょの変更で、高解像度のものが間に合わなかったのだろうか。気になった。

 絵作りが3Dっぽかったけれど、3D上映を考えていたのではないだろうか。そうでなくて良かった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて30分前くらいに到着。ロビーさえも持ち込み禁止となったので、スタバのうまいコーヒーを1Fの入口ホールで飲む。以前はこのホールに座席が合ったのに、いつの間にか撤去されていっさいイスがなくなった。これって……。そこまでして持ち込みをさせたくないのか。

 10分前くらいに開場となってエスカレーターへ。ユニバーサル100周年記念作品なのに小劇場とは。ほとんどは中高年で、しかも高齢者が多い。男女比は5.5対4.5くらいでやや男が多かった。最終的には157席がほぼ埋まった。

 ほぼ暗くなって始まった予告で気になったのは……それにしても、マナー啓蒙広告が笑いを入れようとして下品な印象を受けるのは実に残念……

 上下マスクのリメイク版「トータル・リコール」は日本語での予告。シュワちゃん版とはだいぶ印象が違うが、なかなか面白そう。コリン・ファレルがロンパワー・カスタム風のリボルバーを持っていたが。8/10公開。

 スクリーンの上下が下がってシネスコ・サイズになってから「スノー・ホワイト」はグリム童話白雪姫の実写シリアス映画化版。かなりダークな感じで面白そう。シャーリーズ・セロンが悪役というのも良さそう。6/15公開。

 左右マスクで「MIB3」は新予告。今度は時もさかのぼって、若い頃のエージェントKが出てきたり、待ってました、という感じ。日本人的にはサントリーのトミー・リー・ジョーンズのCMが少しダブる。また3Dか……チビ銃が欲しかったなあ。前売り券を早く買いすぎた。5/25公開。


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