This Means War


2012年4月21日(土)「Black & White ブラック&ホワイト」

THIS MEANS WAR・2012・米・1時間38分(IMDbでは97分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米:当初R指定、再編集版PG-13指定)

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/blackwhite/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

CIAの腕利きエイジェント、独身のプレイボーイFDRフォスター(クリス・パイン)と、相棒のバツイチ子供1人のタック(トム・ハーディ)は、香港のあるビルのペントハウスのパーティ会場に強引に入り込むと、そこに国際テロリスト、ハインリッヒ兄弟がヘリコプターで、麻薬の取引に現れ、香港ヤクザを皆殺しにしてブツも金も持ち去ろうとする。フォスターとタックはすぐにハインリッヒ兄弟を拘束しようとして銃撃戦になり、弟は倒すが、兄(ティル・シュヴァイガー)に逃げられてしまう。容疑者を取り逃がしたことから、上司(アンジェラ・バセット)に内勤を命じられた2人は、ヒマな時間を利用して、恋人探しを始め、タックが出会い系サイトでローレンス・スコット(リース・ウィザースプーン)と知り合うが、フォスターは出会い系サイトは危険だから見守ってやると、デート場所の近くのレンタルDVD店に潜む。しかし無事デートは成功、タックとローレンスは良い雰囲気に。帰りがけ、映画好きなローレンスはレンタルDVD店に入り、彼女がタックのデート相手と知らないフォスターは一目ぼれし、猛烈にアタックを仕掛ける。

70点

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 IMDbでは6.7点という高評価。しかし、そうは思えなかった。きっと原語がわかる人なら面白く、アメリカではウケる内容なのだろう。日本人的には悪ふざけと映ってしまう気がする。「SEX」連呼のお下劣さ。一体何回叫んでいただろうか。

 たぶん、このままの内容でも、本格スパイ・アクションに軸をおいて、味付けを2人の男と1人の女の黄金の三角関係のコメディにした方が面白かった気がする。少なくとも日本人的には、あるいはボク的には楽しめたはず。あまりにお手軽、ご都合主義で、リアリティなさ過ぎ。そこを狙ったロマンチック・コメディなんだろうけど……。

 アメリカではウケるんだろう。アシュトン・カッチャーの「キス&キル」(Killers・2010・米)もそうだったし、トム・クルーズの「ナイト&デイ」(Knight & Day・2010・米/豪)もそうだった。ジェニファー・アニストンの「バウンティ・ハンター」(The Bounty Hunter・2010・米)も似たようなものだし、もっとさかのぼれば「Mr.&Mrs.スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)もそうだろう。上げて行けばキリがないほど。よくあるパターン。タイトルまで「○○&△△」とかになっているのが逆に悲しい。

 客は入るのだろうが、どれもおおむね評価が低い。面白いと思えたものは、やっばりアクションの部分を本気で撮っているものだ。そして悪役は怖ければ怖いほど良い。本作ではアクションはオマケ。悪役も怖いのだが、出てくるのは始めと終わりだけで、すぐやられてしまう。残念……。

 もうCIAの設定からしてズサン。CIAをよく知らないボクでも、こんなのおかしいだろうと思うところが山盛り。だいたいこんなアホなエイジェントがいるとは思えない。ところがクレジットを見ると、ちゃんとCIAテクニカル・アドバイザーがいて、ポール・モーリスという人の名前があった(IMDbにはなし)。脚本の時点でプロデューサーは気にもしなかったか。そして撮影でも監督は聞き入れなかったとか。プロダクション・ノートによると、ポールは軍事アドバイザーで、戦時経験があるのだとか。つまり単にアクション・シーンのアドバイスをしただけか。確かにアクション・シーンだけ見ると、良いとは言えなくても、悪くはないが……。

 FDRフォスターはクリス・パイン。「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)で若き日のカーク船長を演じて注目された若手。あの作品ではバカな若者から大人への成長が描かれカッコ良かったが、本作ではまるでバカに見える。本作は彼のキャリアーの足しにはならないだろう。反面教師的役割なら果たしたかもしれないが。使っていた銃はP226とVz61スコーピオン。

 相棒のタックはトム・ハーディ。レオナルド・ディカプリオの衝撃作品「インセプション」(Inception・2010・米/英)で偽造のイームスを演じていた人。やっぱりこの人も「インセプション」ではカッコよく輝いていたが、本作では別人かと思うほど輝きを失っている。使っていた銃はP226とMP7、そして麻酔銃として二脚とスコープをつけたレミントンM700、ポンプ・ショットガン。

 ヒロインのローレンスはリース・ウィザースプーン。「カラー・オブ・ハート」(Pleasantville・1998・米)で注目され、「キューティー・ブロンド」(Leaglly Blonde・2001・米)ですっかりラブ・コメディの女王になった人。しかし、最近は作品に恵まれないようで、生活でも離婚するなど振るわない感じ。久々の話題作も、2人の男をもてあそぶような役では何の足しにもならない。マイナスにならなかっただけまだ良いか。

 最悪はローレンスの友人トリッシュを演じたチェルシー・ハンドラー。下品でエロボケで無責任でいい加減。こんなヤツとは一緒にいたくないというようなキャラクター。うまく演じれば演じるほど嫌らしさが際立って、役者とイコールのイメージになっていく。そんな役だったのではないだろうか。主にTVで活躍している人らしく、あまり見かけたことがない。ベストセラー作家でもあり、トーク・ショーの司会もやるなど才女であるらしい。しかしこの役は残念。

 悪役のハインリッヒ兄はティル・ジュヴァイガー。まあ、絵に書いたような悪役顔で、せっかくこの怖い人を使いながら、活躍させないなんてもったいない。出てくるシーンは皆怖いのに、コブ・コメにしたかったようで出番が少ない。「ドリヴン」(Driven・2001・米/加/豪)が一番目立っていた気がするが、最近では「イングロリアス・バスターズ」(Inglourious Basterds・2009・米/独)に出ていた。この人もオートを使っていたがP226か?

 CIAの女性の上司はアンジェラ・バセット。イエール大学出の才女。「TINAティナ」(Ehat's Love Got to Do wuth It・1993・米)で主演のティナを演じた。最近は残念な「グリーン・ランタン」(Green Lantern・2011・米)に出ていた。

 問題ありと思えるストーリーと脚本は、ティモシー・ダウリング、マーカス・ガウテセン。脚本と製作にサイモン・キンバーグ。ティモシー・ダウリングは役者としての作品の方が多く、脚本を手掛けた作品はほとんど日本劇場未公開。マーカス・ガウテセンは長編劇場映画の脚本は始めて。そんな中にあってイギリス出身のサイモン・キンバーグは「Mr. & Mrs.スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)や「トリプルXネクスト・レベル(未)」(xXx: State of the Union・2005・米)、「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holms・2009・米/独/英)を手掛けている。またヒット作「X-MENファイナルディシジョン」(・2006・)も書いている。唯一の汚点は「ジャンパー」(Jumper・2008・米/加)か。

 監督は製作としての作品の方が多いマックG。TVの製作総指揮が多く、「The OC」シリーズ、「SUPERNATURAL スーパーナチュラル」シリーズ、「CHUCK/チャック」シリーズ、「NIKIT/ニキータ」シリーズなどを手掛けている。なぜか英語とカタカナの組み合せのタイトルが多い。映画の監督としては「チャーリーズ・エンジェル」(Charlie's Angels・2000・米/独)シリーズ、「ターミネーター4」(Terminator Salvation・2009・米/独ほか)を手掛けている。「ターミネーター」風で行けば良かったのに「チャーリー」で行ってしまったんだなあ……シリアス・アクションの方が向いていると思う。残念。

 プロデューサーの1人として、俳優のウィル・スミスが参加している。「ハンコック」(Hancock・2008・米)の感覚なのだろうか。あれは良くなかったけど。

 公開2日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。10分前くらいに会場となって場内へ。若い人から中高年まで、わりと幅広かったが、メインは若い世代。半分くらいは若い人たちだった。男女比は3.5対6.5くらいで女性が多かった。そして最終的には127席がほぼ埋まった。

 気になった予告編は……上下マスクの「アメイジング・スパイダーマン」は2Dの新予告。ティーザーはまったく面白そうではなかったが、内容がわかるようになってきたら、ひょっとしたら楽しめるかもと思えるようになってきた。6/30公開。

 上下マスクの森の映像から始まったのは「ブレイキング・ドーンPart 2」。まだやってたんだ。もうどうでもいいわ。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってから、ある洞窟で壁画が発見されるという始まりは「プロメテウス」の予告。ついに「エイリアン」シリーズ最新作が、リドリー・スコットの手で作られる。とにかく絵がスゴイ。雰囲気がモロに「エイリアン」だ。スペース・ジョッキーも出てくるようだし、期待すでにMAX。ノミオ・ラパスがシガニー・ウィーバーみたいで、マイケル・ファスベンダーがいかにも人造人間という感じ。8月公開。3D上映らしいが、絶対見なきゃ!

 左右マスクで「幸せへのキセキ」は新予告。母親を失った家族が小さな動物園を建て直す話らしい。ありがちだが、予告を見ると面白そう。6/8公開。

 隣の男の口臭が臭くて困ったが、暗くなって本編へ。1つ気になったのは、字幕の一部にジャギー(ギザギザ)が出ていたこと。たぶん斜体を使ったところではないかと思うが、あるいは後から変更してそこだけデジタルだったとか……。「バトルシップ」でもあったけれど、気になる。


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