Endhiran


2012年5月13日(日)「ロボット」

ENDHIRAN (ROBOT)・2010・印・2時間19分(IMDbでは155分、米版174分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、柏野文映(オリジナル:タミル語、ヒンディー語吹替+英語版)/シネスコ・サイズ(マスク、Arri、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts(IMDbではドルビー・デジタルのみ)


公式サイト
http://robot-movie.com/
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

インドの天才工学博士バシーガラン(ラジニカーント)は、恋人のサナ(アイシュワリヤー・ラーイ)と会う時間も惜しみ、10年間心血を注いで人工知能を持つ人間型ロボットを完成させる。そしてインド・ロボット学会でバシーガラン博士によって発表され、絶賛されるものの、かつてのバシーガラン博士の恩師、ボラ教授(ダニー・デンゾンパ)に危険だと反対される。そこで役に立つことを証明するため、サナのお手伝いとしてロボットを貸し出すことになる。チッティと名付けられたロボットは、買い物の手伝いをし、雑誌や書籍をスキャンして知識として取り込み、料理や掃除まで覚えるが、あちこちでトラブルを引き起こし、ロボットに人間の感情は理解できないと決めつけられ、反発から感情をプログラミングし教育を始める。そんなとき、落雷があり、チッティを直撃。チッティはサナに対して強烈な恋愛感情を持つようになり暴走を始める。

73点

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 ドラマは稚拙、ストーリーも強引で、インドでしかありえないような展開ながら、こてこての重力無視のワイヤー・アクションも使いつつ、レベルの高いCG合成によって、これでもかと暴走ロボットとそれを止めようとする軍や警察、そして主人公たちの闘いを徹底して描き、見事。もちろん大人数によるインド映画お約束の、美女とハイ・レベルなダンスと歌のシーンは、実にノリが良く気持ち良い。

 良い設定やシーンはハリウッド映画からちゃっかりいただいて、それでも憎めないのは、それ以上にオリジナル・アイディアの面白いシーンをてんこ盛りにしているところ。とにかく観客を楽しませようと努力を惜しまない。この姿勢が素晴らしいし、見る者にしっかりと伝わってくる。ストレートな力。真っ直ぐな姿勢。

 いくつかのバージョンがあるようで、ボクが機内上映で見たのは確か英語字幕版だったと思う。ロボットのチッティとサナのシーンが長く、もっと買い物に行ったりいろいろしていた気がする。そしてその分、ラストの戦闘シーンがもっと短かったような。機内だとあまり暴力シーンは多くできないとか、そんな規制があるのかもしれない。DVDとかBDが発売されると、フル・サイズなのかはわからないが、174分版なんていうのも見られるようになるのだろう。もともとインド映画は長いというから。

 本作も途中で「インターミッション」の文字は出るものの、一瞬だけですぐに次に続いていく。3時間くらいになるとトイレ休憩の意味もあるのだろう、休憩があったもの。たしか「七人の侍」(1954・日)のリバイバル上映の時が一番最後だったような。みんなトイレに行き、飲み物を買ってきたりする。集中するので15分くらいだと間に合わない場合もあったりするので、結構ドキドキ。

 主演はもちろんインド映画のスーパー・スター、ラジニカーント。本編が始まる前に、わざわざ「スーパー・スター、ラジニカーント」と出てから始まる。日本的には「ムトゥ踊るマハラジャ」(Muthu・1995・印)のあと1本あって、それ以来ずっと見ていなかった気がする。もうかなりの歳だと思うが(1949年生れらしく、63歳?!)、アクションもこなすし、ダンスも見事。さすがスーパー・スター。本作では2役だもんなあ。

 相手役のヒロインは、アイシュワリヤー・ラーイ。1973年生れというから39歳らしいが、そんなに行っているとは見えない。29歳くらいの感じ。さすがに大学生は言い過ぎのような気がしたけど。1994年の「ミス・ワールド世界大会」で世界一になった人。残念なできだが、ハリウッド映画の「ピンクパンサー2」(The Pink Panther 2・2009・米)にも出演している。スゴイ美人だが、ちょっとぽっちゃりしている感じも。

 恩師のボラ教授はダニー・デンゾンパ。どこかで見たような気がすると思ったら、ブラッド・ピットの「セブン・イヤーズ・イン・チベット」(Seven Years in Tibet・1997・米/英)に出ている。

 セリフや詩を除く脚本は、監督のシャンカールのほか、すでに亡くなってしまったようだがスジャータという女性(?)も書いているらしい。1935年生れだが、1986年頃から映画界で活躍を始め、メインはセリフ担当だったようだ。

 監督はシャンカール。日本公開された作品だとアイシュワリヤー・ラーイの「ジーンズ/世界は2人のために」(Jeans・1998・印)を撮っているらしい。

 登場した銃器は、制式ライフルだったFAL、たぶんインドの5.56mmAKことINSAS、M4カービンなど。手榴弾はHE36と呼んでいた。たぶん元はイギリス軍のミルズ型手榴弾ではないだろうか。

 インドの映画でありながらタミル語のヒンディー語吹き替え版の上映のようで、口の動きとセリフが合わず違和感があった。ただ、画質は非常にいい。デジタル世代の画質。昔は昔の香港映画のように古い機材で撮ったような超アナログな感じの解像度の低いものが多かったが、最近はハリウッド作品に見劣りしない。邦画を越えている部分が多々ある。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保して30分前くらいに到着。ここはとにかく1Fのエレベーターから混むが、朝早かったせいかストレスなくロビーに上がれた。豆乳入りカフェオレ飲んで待っていると、10分前くらいに開場。

 意外と若い人から中高年まで幅広く、男女比は7対3くらいで男性が多かった。最終的には149席に8割くらいの入り。キャパが小さいので、こんなものか。ただ、あちこちでケータイを点灯させるスマートじゃないヤツらが。どうして外でできないのだろう。エンド・クレジットになったらすぐ点けるし。外で出るまで1〜2分が我慢できないのか。1〜2分を争う状態なら映画に来るな。電話を掛けなければいいと思ってる。

 明るいまま始まった予告編で気になったのは……上下マスクの「愛と誠」は新予告というか、ついに絵付きの予告に。妻夫木聡と武井咲、監督は三池崇なんだぁ。なんと歌あり笑いあり(予告で結構笑いが起きていた)のミュージカル・コメディ(!)のもよう。面白そうだが、オヤジが見に行くのはちょっと恥ずかしいかもなあ。6/16公開。

 小さなスクリーンが、さらに上下が狭まってシネスコになり、暗くなって本編へ。まず「スーパー・スター、ラジニカーント」と出てからタイトルへ。CGを駆使したロボットが組み立てられていくオープニングは、「ターミネーター」の3だか4の予告とそっくり。後半ぐだぐだのTV版「ターミネーターサラ・コナー・クロニクルズ」でもやっていたなあ。ウィル・スミス「アイ、ロボット」(I, Robot・2004・米/独)でも見た気がする。


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