Dark Shadows


2012年5月19日(土)「ダーク・シャドウ」

DARK SHADOWS・2012・米・1時間53分

日本語字幕:丸ゴシック体下、石田泰子/ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT)

(米PG-13指定、日PG12指定)(日本語吹替版、フィルム上映、IMAX版もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/darkshadows/index.html
(全国の劇場リストもあり)

1760年、イギリス・リバプールからコリンズ家は新大陸アメリカへ向けて出発する。そして着いた土地で水産会社を始め成功、定着を決心する。その土地はコリンズポートと名付けられ、丘の上に大きな屋敷、コリンウッドを15年掛けて建てた。ところが1人息子のバーナバス(ジョニー・デップ)がメイドのアンジェリーク・ボーチャード(ブシャール、エヴァ・グリーン)に手を出してしまったことから、一族の運命が激変する。バーナバスにとってアンジェリークは遊びで、本命はジョセッテ(ベラ・ヒースコート)だったのだ。しかもアンジェリークは魔女だった。彼女は怒りからバーナバスの両親を事故死に見せかけて殺し、バーナバスに恋する女はすべて死ぬように呪いをかけ、ジョセッテは投身自殺してしまう。さらにバーナバスをヴァンパイアにすると、町の人々にそれをバラし、鉄の棺に閉じ込め土中深くに埋めさせてしまった。1972年、若い女性ヴィクトリア(ベラ・ヒースコート)は家庭教師の面接を受けるため、コリンズポートにやってくる。コリンズ家はすっかり没落し、町はエンジェル・ベイという会社が牛耳っていた。そんなとき、工事現場で金属製の棺が発見され、そこにいた全員が惨殺される事件が発生する。

73点

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 雰囲気は同じティム・バートンとジョニー・デップのコンビによる「スリーピー・ホロウ」(Sleepy Hollow・1999・米/独)のような感じ。恐ろしさと喜劇の融合。感情が良く伝わってくるし、怖くて、ちゃんと笑える。ただ、なぜ今同じ様な作品を作ったのか。2人が一緒に仕事をしたかったということか。

 本作はリメイクにあたり、オリジナルはアメリカで1967年から1971年にかけてTVで放送された同名ホラー。日本では放送されていないようだ。すでに「血の唇」(House of Dark Shadows・1970・米)として一度映画化もされているらしい。ハリウッドの流行としては、コミック原作(日本の漫画原作と一緒か)と、リメイクがメインのようだし。もともとはティム・バートン監督がTV番組の大ファンだったということらしい。そして製作の1人にジョニー・デップが加わっている。

 だからなのか、時代設定も1970年代になっている。ピッピーやゴー・ゴー・ダンスなどの70年代の風俗が描かれ、1970年代に流行ったであろう古い曲も使われている。映画「避暑地の出来事」(A Summer Place・1959・米)の主題歌「夏の日の恋」や、カーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド」、ディプ・パープルの「ハイウェイ・スター」、コカコーラのCMで使われた「愛するハーモニー」などが使われている。音楽好きな人にももっと懐かしい曲があったのではないかと思う。ここも面白いところ。そんな懐メロが好きな人にはサントラはたまらないだろう。

 また、プロダクション・ノートによると、コリンウッドでの舞踏会のシーンでコリンズポートの住人が集まるが、その中にTV版のキャスト、ジョナサン・フリッド、ララ・パーカー、キャスリン・リー・スコット、デイビッド・セルビーの4人がいるのだそうだ。しかもアリス・クーパーの役で本人が出ている。また、船長役でドラキュラ役で有名なクリストファー・リーが出ている。

 派手な爆発もあるし、リボルバーとポンプ・ショットガンも出てきて撃つ。SFXにもお金が掛けられている。鏡に映らないとか、太陽光の直射で煙を出すとか。ただ、太陽光の下にも、陰なら出て行けるなど、ちょっと気になるところがないわけではない。

 バーナバス役のジョニー・デップはティム・バートン監督の「シザーハンズ」(Edward Scissorhands・1990・米)に出て以降、ティム・バートン作品にはほとんど出ている。ボク的には実時間進行サスペンス「ニック・オブ・タイム」(Nick of Time・1995・米)が好きだなあ。異色ウエスタン「デッドマン」(Dead Man・1995・米/独/日)も良かったけど。本作では製作も務めている。

 コリンウッドの女主人エリザベスはミシェル・ファイファー。ジョン・ランディスの「眠れぬ夜のために」(Into the Night・1984・米)がめちゃくちゃ良かったが、最近はファンタジー・アドベンチャー「スターダスト」(Stardust・2007・英/米/アイスランド)で悪役を演じるなど、幅が広がってきた感じで、本作も良い人の役ではない。

 魔女のアンジェリーク・ボーチャード(ブシャール)はエヴァ・グリーン。フランス生れで、何とルネ・クレマンの「雨の訪問者」(Le passager de la pluie・1970・伊/仏)のヒロイン、マルレーヌ・ジョベールの娘なんだとか。なかなか面白かった「ルパン」(Arsene Lupin・2004・仏/伊/西/英)にルパンの恋人役で出ていて、その後リドリー・スコットの「キングダム・オブ・ヘブン」(Kingdom of Heaben・2005・米/英ほか)、「007/カジノ・ロワイヤル」(Casino Royale・2006・英/チェコ/米ほか)のヒロインや残念なファンタジー「ライラの冒険 黄金の羅針盤」(The Golden Compass・2007・米/英)の悪役と立て続けに大作に出た後、インディペンデント映画に行き、しばらく姿を見なかった。目や口が大きいので、実に妖艶な雰囲気で役にピッタリ。憎たらしい雰囲気も良かった。

 コリンズ家の長女キャロリンはクロエ・グレース・モレッツ。あのマイケル・ベイの残念なリメイク・ホラー「悪魔の棲む家」(The Amityville Horror・2005・米)に娘役で出ていたとは驚きだが、アクション・コメディ「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)で大ブレイク。3Dファンタジー「ヒューゴの不思議な発明」(Hugo・2011・米)はなかなか良かったが、本作はあまり活躍していない。

 コリンズ家の精神科医ジュリアはヘレナ・ボナム=カーター。私生活でティム・バートン監督のパートナー。結婚はしていないらしい。ティム・バートンの前作「アリス・イン・ワンダーランド」(Alice in Wonderland・2010・米)の赤の女王は強烈だった。小さな役でもしっかり印象に残る人。本作も強烈なところがあり、ラストは不気味。

 脚本・原案はセス・グレアム=スミス。これから公開される「リンカーン/秘密の書」の原作「ヴァンパイアハンター・リンカーン」を書いた人。TVの脚本を書いていて、長編劇場映画は初めてらしい。「リンカーン/秘密の書」にも期待したい。

 監督はティム・バートン。外見からしてオタッキーな雰囲気。だからこだわりが面白いのか。基本はホラーとコメディという感じ。「ビートルジュース」(Beetle Juice・1988・米)はめちゃくちゃだが面白かった。そのあとボク的にはファンタジーの「ビッグ・フィッシュ」(Big Fish・2003・米)が良かった。「アリス・イン・ワンダーランド」も独特の雰囲気で良かったが。

 公開初日の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由だが、金曜に当日券と交換しておいて35分前くらいに着いたら、すでに開場していたが長蛇の列。20分前開場と言っていたのに……。どうやら次回以降の人も並んでいたので、混雑していたらしい。しかし、全日全席自由じゃなくなったんだから、初回のみ全席自由を残しているのはなぜだろう……と思っていたら、係員を捕まえて全力で怒っているおばさんがいた。エレベーターが動き出したのがわからないとか何とか。確かに、全席指定ならエレベーターはどうでもいいことだが、動き出したのがわからないと全席自由の場合は、劇場に入った者勝ちだからちょっと問題があると思っていた。やっぱりトラブったか。全日全席指定にすれば良いのに。ただ、モニターに埋まった席と空いている席を表示するのは、全席指定なら必須だと思う。紙に描いた座席表で選ばせるなんてどうかしている。

 場内はすでに20人くらいの人。それから徐々に増えていったものの、下の行列ほどの勢いはなかった。ということは、次回以降の予約だったか。最終的には469席に6割ほどの入り。中高がメインで、若者は少し。男女比は4対6くらいで女性の方が多かった。やっぱりジョニー・デップ人気か。スクリーンはビスタで開いていた。

 明るいまま羽島のった予告で気になったのは……当然くらいシーンの見にくい事。遅れてくるヤツより、今いる客を優先して欲しい。あちことでケータイは光っているし、まったく。

 上下マスクの「The Lady ひき裂かれた愛」はミシェル・ヨーがアウン・サン・スー・チーに雰囲気がそっくり。予告だけで泣き来そうになってしまった。監督は、もう撮らないとか言っていたリュック・ベッソン。中国では上映禁止らしい。期待できそう。ただ上映劇場が心配。7/21公開。

 「白雪姫と鏡の女王」は、なんと悪役がジュリア・ロバーツ。かなりわがままな役らしい。ヒロインは眉毛が濃くて太い人。監督が「落下の王国」(The Fall・2006・米/印)のターセム・シンだから、期待できるのではないだろうか。9/14公開。

 イ・ビョンホンのビデオ・メッセージから始まったのは上下マスクの「G.I.ジョー バック2リベンジ」。「1」はかなり残念だったが、「2」は予告で見る限りは面白そう。はたして……。最後にブルース・ウィリスも登場。8/10公開。

 上下マスク「ホビット 思いがけない冒険」は、再びあの大冒険が始まるという感じ。同じキャストが再集結し、同じ絵柄が……。愛しいしと、も。「ロード・オブ・ザ・リング」ファンにはたまらないのでは。12/14公開。

 関係者らしい一団が20人くらい、後ろの手すりのところに鈴なり。驚いた。何なんだろう。本編直前に出て行った。


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