日本語字幕:手書き風体下、古田由紀子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS
(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)
ある冬、城の中の庭園に真っ赤な薔薇が1輪残っていた。女王は真っ白で純真な子が授かるようそれに願を掛ける。翌年、無事に女の子が生まれ、スノーホワイトと名付けられた。スノーホワイト(クリステン・スチュワート)はハモンド公爵(ヴィンセント・リーガン)の息子ウィリアム(サム・クラフリン)と共に兄弟のように育てられたが、女王は間もなく亡くなってしまう。そんなある日、突然この王国に謎の軍隊が侵入してくる。マグナス王(ノア・ハントリー)が出陣しその軍を打ち払うと、1人の人質が見つかる。それはラヴェンナと名乗る美女(シャーリーズ・セロン)で、王は一目ぼれ、翌日には結婚式を挙げる。ところがラヴェンナは魔女で、すべては彼女が仕掛けた罠だった。王は殺され、王国はラヴェンナに乗っ取られ、幼いスノーホワイトは塔に幽閉されてしまう。
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ホントは怖いグリム童話の設定そのままに、あくまでもダークなファンタジーに徹した映画。ほとんど笑いもなく、つねに眉間にしわが寄ったような状態。画面も常にダークで、曇天。重苦しい空気が漂っている。七人の小人も全く明るくなく、後で大活躍してくれるものの、ひねくれている。男たちはほとんどひげ面で薄汚れていて、ヒロインも塔に幽閉されていたから薄汚れた顔。服も汚い。そして悪役のみが衣装もきれいで、顔もきれいという、逆の設定。映画としては良くできているし、ダークな雰囲気は素晴らしいでき。リベンジのリベンジのような物語が、冒険また冒険で描かれて行く。 ただ、ヒロインのクリステン・スチュワートが「トワイライト〜初恋〜」(Twiright・2008・米)シリーズというあまり印象の良くない作品のイメージが強く、ヒーロー的なハンツマンを演じるクリス・ヘムズワースもあまり印象の良くない(アメリカでは好評だったようだが)「マイティー・ソー」(Thor・2011・米)のイメージが強く、2人ともそれぞれの作品のイメージを引きずっていて、非常に印象が良くない。2人とも笑顔が素敵なのに。そこがまず残念。 SFXは素晴らしくリアルで、トロールなんか本当にそこにいて一緒に撮影したようにしかみえないが、とくにアクション・シーンでカメラを動かし過ぎ。横長のシネスコなので、揺れが強調されて非常に見にくく、疲れる。動かしたいのならスタンダードでやれ。せいぜいビスタまでだろう。シネスコでやるな。 また、ごく一部、予告編で使われていた映像が、本編で使われていなかったものがある。長すぎて削ったのかも知れない。予告は何回か目にしたので、余計に印象に残り、無いと違和感を感じる結果に。そして気になったのは、字幕のサイズが大きすぎる気がする(この2/3くらいでいいんじゃない? じゃま)のと、ナレーションなどで斜体になるとジャギーが目立つこと。 他の映画からのいただきというか、オマージュ的なものもいくつか感じられた。だいたいラヴェンナ女王自身が吸血鬼っぽい。若い女から精気を吸い取るのだが、それが血を吸うのに近い。「血の魔力」って言ってるし。しかも何羽ものカラスになって白雪姫を追って行くが、吸血鬼はコウモリになって飛んで行く。黒い森はティム・バートンの「スリーピー・ホロウ」(Sleepy Hollow・1999・米/独)のようだし、トロールはデザインは違うが「ハリー・ポッターと賢者の石」(Harry Potter and the Socerer's Stone・2001・米/英)のイメージな重なる(同じトロールということもあるけど)。緑の森の奥にいる白い鹿は宮崎駿の「もののけ姫」(1997・日)だろう。そして妖精的なものは倉本聰と与勇輝の「ニングル」的でもある。小人や火葬シーンは「スターウォーズ/ジェダイの復讐」(Return of the Jedi・1983・米)のイウォーク的でベイダーの最期的だった。ラストの戦いのシーンで体系を組む感じはそのまま「レッドクリフPart I」(Red Cliff: Part I・2008・中)という感じ。 しかし、男のキスで白雪姫が蘇るのに、幼なじみのウィリアムのキスではなく、お父さんのような狩人、猟師のキスというのは……これで良いのだろうか。タイトルが「白雪姫と猟師」で、猟師役のほうが有名俳優なのだから狙いだろうが、ブレていないか。三角関係になるのか。 もっとも目立っていて、がんばっているのは、魔女ヴェンナ役のシャーリーズ・セロンだろう。どうもSFアクションの「イーオン・フラックス」(AEon Flux・2005・米)あたりから低迷しているような印象があって、日本ではそれ以降、ほとんどアート系の小劇場での公開。かろうじてSFコメディの「ハンコック」(Hancock・2008・米)がメジャーな作品だったが、内容があれでは……。本作は久々のメジャー話題作で、このあとリドリー・スコットの「プロメテウス」もあるのだから復活か。 クリステン・スチュワートとクリス・ヘムズワースは上に書いたとおり。イメージがよろしくない。七人の小人にはいろんな人が扮している。しかも身長は普通なのに、本作では明らかに小人。「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings:The Fellowship・2001・ニュージーランド/米)や「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(The Curious Case of Benjamin Button・2008・米)の手法が使われているのだろう。ボブ・ホスキンスは最近悪役が多いが、実写とアニメを合体させた「ロジャー・ラビット」(Who Framed Roger Rabbit・1988・米)なんかに出ていた人。最近はゲーム原作のSFアクション「ドゥームズデイ」(Doomsday・2008・英/米ほか)に出ていた。ボク的にはアクションの「ダニー・ザ・ドッグ」(Danny the Dog・2005・仏/米/英)が良かったけど。レイ・ウィンストンも悪役が多い人で、つい最近は面白かったファンタジー「ヒューゴの不思議な発明」(Hugo・2011・米)に出ていた。ニック・フロストは笑えてアクション満載のポリス・アクション「ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!」(Hot Fuzz・2007・英/仏/米)に出ていた。トビー・ジョーンズは「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」(Captain America: The First Avenger・2011・米)に出ていた人……という具合。 脚本は3人で書いており、エヴァン・ドハーティは原案も兼ねており、長編劇場映画は本作が初めて。ジョン・リー・ハンコックはクリント・イーストウッドの「パーフェクト・ワールド」(A Perfect World・1993・米)や「真夜中のサバナ」(Midnight in the Garden of Good and Evil・1997・米)の脚本を手掛けた人で、自身も監督をやり、リメイク版の「アラモ」(The Alamo・2004・米)や「しあわせの隠れ場所」(The Blind Side・2009・米)を監督・脚本している。ホセイン・アミニはリメイク版の「サハラに舞う羽根」(The Four Feathers・2002・)や、渡辺謙が出たミステリー「シャンハイ」(Shanghai・2010・米/中)、多くの賞を受賞したアクション「ドライヴ」(Drive・2011・米)などを手掛けている。 監督はまだ若そうなルパート・サンダース。イギリス出身で、CMの世界で高く評価されて大抜擢されたらしい。なんと本作が初めての劇場長編映画。問題はこの後か。 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保しておいて、30分前くらいに到着。12〜13分前に開場となって場内へ。観客層は若い人から中高年まで幅広く、男女比は4対6で女性の方が多かった。最終的には287席に9割くらいの入り。これはりっぱ。 遅れて入ってくるヤツが多い。続々という感じ。しかもすまなそうな感じはなく、堂々と当たり前のように入って来て、いきなりケータイを煌々と点ける。最低。気になった予告編は…… ジョニー・デップの「ラム・ダイアリー」は、自身が作りたくてプロデューサーをやっているらしい。ただ、残念なことにどうも面白そうな感じが伝わってこなかった。6/30公開。 上下マスクの「ただ君だけ」は韓国映画で、盲目の少女に手術を受けさせるため、男がボクシングをの試合をやるラブ・ストーリーらしい。6/30公開。 スクリーンが左右に広がってから「ボーン・レガシー」の予告。主演はジェレミー・レナーで、マット・デイモンと全く似ていないのにと思ったら、どうもジェイソン・ボーンは何人もいたというような設定らしく、一部これまでのシリーズに登場していた人々も同じ役で出ている模様。面白いかも。9月公開。 |