Act of Valor


2012年6月23日(土)「ネイビーシールズ」

ACT OF VALOR・2012・米・1時間49分(IMDbでは110分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、池村正志/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、デジタル、HDTV)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
http://navyseals.gaga.ne.jp/official/
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

フィリピンのマニラで東南アジアのテロリスト、アブ・シャバール(ジェイソン・コットル)によって爆弾テロが発生、アメリカ大使とその息子が犠牲となる。CIAのリサ・モラレス(ロゼリン・サンチェス)とウォルター・ロス(ネストール・セラノ)はアブ・シャバールを追ってコスタリカに潜入、アブ・シャバールが麻薬や武器密売を手掛けるクリスト(アレックス・ヴィードフ)と関係があるらしいことをつきとめるが、突然クリストの手下が侵入してきてロスを射殺すると、モラレスを連れ去ってしまう。アメリカ政府はネービーシールズにモラレスの奪還を要請、チーム7が派遣される。チーム7は隊長のローク大尉(本人)、副官のデイヴ(本人)、スナイパーのワイミー(本人)、通信士のレイ(本人)、爆発物担当のサニー(本人)、ムエタイの名人エイジェイ(本人)、20年のベテラン、マイキー(本人)らからなっていた。それぞれに家庭があり、子供がおり、出撃前みなで集まって「良き父であったか」「悩みはないか」と自身に問う。ダウンレンジのことで悩んでいると活躍できないからだ。

73点

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 実際にあった事件に基づき、ネイビーシールズ全面協力で、実際の隊員がメインキャストを演じるというTVのような再現ドラマの大スケール版。ちゃんと有名俳優たちも出ていて、ドラマがちゃちなものにならないようにしている。かなり怖い。

 といってもストーリーはほとんどなく、困難なミッションに対して隊員たちが、どうやって挑み、どうやってそれをクリアして行ったかを淡々と描いただけ。しかし、ゲームの「ドゥーム」のようなPOV(主観ショット。ヘルメット・ショットも使っている)を所々に挟みながら、まるで観客も一緒な戦っているかのような気分にさせる。そして、家族のような戦友たちと、どういう思いで任務に赴くのか。それが押しつけがましくなく、さらりと描かれているので、すっと入って来て感動的だ。アメリカにはバカなヤツも、悪いヤツもいっぱいいるけど、良き市民・国民で、国のために命をかけるヤツもいっぱいいると。まさにエリート・ソルジャー。怒鳴ることも、叫ぶことも、熱く語ることもないが、その思いは静かに伝わってくる。

 公式サイトのプロダクション・ノートによると、ドラマ部分はフィルムで撮影し、戦闘シーンはデジタル・ビデオ・カメラ、また撮影監督のシェーン・ハールバットがキヤノンのEOSベースで作ったものを使ったらしい。しかも、監督やスタッフも初めてという、実弾による撮影も行われているらしい。もちろんすべてではないだろうが、なにしろ演じているのは本物のプロ。問題はなかったらしい。血糊の感じや、それが飛び散る感じも、実にリアル。一層怖い。ただ、POVのカットでEOTechのスイッチが入っていなかった気がするが……見えにくかっただけか。

 使われていた銃器は、基本M4A1カービン。サイトはエイムポイント、エルカン・スペクターDR、イオテックなど。レーザー・サイトも使われていた。迷彩を施したものもあった。中にはより短銃身のCQB-Rも混じっていたような気がする。サイドアームはP226。GM系もあったようだが確認していない。また作戦によっては一部MP5も使われていた。スナイパーはM16系で7.62mmだったかもしれない。サウンド・サプレッサーとスコープを装着し、全体にはネットを被せていた。ボートにはFN MAG(M240)。ほかにミニミ(M249)、ミニガン(M134)なども登場。ナイトビジョンも登場するが、ヘルメットには通常シュアファイアーのヘルメット・ライトHL1。敵は、まずAK47、そしてMP5、G3、ウージーなど。ラストに儀仗用のM14も出てくる。シールズのM72LAWに対して、敵はRPG。

 CIAのリサ・モラレスぱロゼリン・サンチェス。ジャッキー・チェンの「ラッシュアワー2」(Rush Hour 2・2001・米/香)に出てきた美人の捜査官。ほかにミリタリー・ミステリーの「閉ざされた森」(Basic・2003・米/独)にも出ているが、最近はTVが多かった模様。もう少し映画で活躍して欲しいなあ。

 ちょい役だが、その相棒ウォルター・ロス役はネストール・セラノ。基本TVの仕事が多く、悪役か刑事という役が多い。有名なところでは「24 TWENTY FOUR」(24・2005・米)シーズン4にも出ている。映画では「交渉人」(The Negotiator・1998・独/米)や「ショウタイム」(Showtime・2002・米/豪)がある。最近はほとんどTV。

 メキシコのトラックで突っ込む指揮官を演じていたのはゴンザロ・メネンデス。映画はあまり出ていないが、日本で知られているアメリカの刑事ドラマ系にはほとんど出ている。「24」「コールドケース」「CSI」「ボーンズ」「クリミナル・マインド」「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」……などなど。

 企画協力にベスト・セラー作家、トム・クランシー。「レッド・オクトーバーを追え」「パトリオット・ゲーム」などが有名だが、TVゲーム好きでゲーム開発会社も持っているらしい。なんとそこで開発したテロリストと闘うゲーム「レインボーシックス」はアメリカ軍兵士の戦闘訓練用プログラムとして使われているのだとか。その人が加わっているからコソのリアリティなのかも知れない。

 脚本はカート・ジョンスタッド。製作スタッフから脚本家になった人。本作の前には「300〈スリー・ハンドレッド〉」(300・2006・米)を手掛けている。このあと「300」の続編の脚本を手掛けるらしい。ストーリーを映像で語るタイプの人のようなので、楽しみ。

 監督は制作も手掛けるマイク・マッコイとスコット・ワウの2人。マイク・マッコイはスタントの仕事から映画に関わるようになり、監督としてアメリカ海軍の特殊部隊サポート要員の短編ドキュメンタリー「ネービーSWCC」を撮っている。そこから本作へと発展したのだろう。以前は自転車レースをやっていたらしい。スコット・ワウはスタントマン出身で、大作にも多く関わっている。最近だと「Mr. & Mrs.スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)のスタントマンをやっていたらしい。ドキュメンタリーのプロデューサーもやっていたことからマイク・マッコイと出会ったようだ。日本でも劇場公開された自転車レースのドキュメンタリー「ダスト・トゥ・グローリー」(Dust to Glory・2005・米)のプロデューサーを2人で務めている。

 ちなみに、原題の“Act of Valor”の意味は「勇気ある行動」なんだとか。

 公開2日目の初回、六本木の劇場は全席指定で、前日にムビチケのインターネットの座席指定で確保。まずスタバへ行ってコーヒーを飲みながら時間調整して、15分前くらいに行って機械でチケットを発行。10分前くらい前に上の劇場へ。上のロビーにもイスがあるとか言っていたが、まったくどこにあるのかわからなかった。

 観客層は若い人と中高年が半々くらい。普通の映画からしたら若者層が多い。特殊部隊ファンだろうか。ほとんど男性で、女性は20人に1人くらい。ただ関係者らしい一団が10人くらい。多いって。スクリーンの小さい劇場で、最終的に180席に7割くらいの入り。これは宣伝をしていない割には良いのか、悪いのか、微妙なところ。宣伝をもっとしていればもっと入ったのでは。

 明るいまま始まった予告はほとんど見えない。なぜ明るいままやるのだろう。遅れてくるのを推奨しているようなものではないか。せめて半暗にはして欲しい。気になったのは…… 3D-CGアニメの「ロラックスおじさんの秘密の種」は「怪盗グルーの月泥棒3D」(Despicable Me・2010・米)のスタッフが作った類似作のようで、どうやら子供向け。

 時代劇で2万人vs500人という「のぼうの城」はコメディのようだが、まだティーザーで内容が良くわからない。ただ「300〈スリー・ハンドレッド〉」みたいでそこが引っかかる。11/2公開。

 上下マスク「リンカーン/秘密の書」は新予告。だんだん内容がわかってきて、とんでもない設定ながら面白いのかもしれないと思えるようになってきた。11/1公開。

 上下マスク「ハンガーゲーム」は、命をかけたサバイバル・ゲームに、妹の代わりに姉が出るというような話らしい。久しぶりに予告を見た感じ。9/28公開。

 驚いたのは上下マスクの「遊星からの物体Xファースト・コンタクト」。さまかリメイクのリメイク。前2作はどちらも面白かったので、それをこえることなんてできるのか。テクノロジーだけは進んでいて、いろいろ表現できるのだろうが、はたして……。ティーザーなので内容は良くわからない。8/4公開。

 上下マスクの「さらば復讐の狼たちよ」はチョウ・ユンファが出る、ひと時代前のアクションらしいが、これもティーザーで内容不明。モーゼル・ミリタリーが大量に出てくるようだ。見たいが、前売り券は作っていないのだとか。うむむ。7/6公開。

 関係者が出て行って、スクリーンが左右に広がってからやっと暗くなって本編へ。しかし、どこの劇場でも携帯を煌々と光らせて使っているヤツはいる。老若男女関係なし。


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