The Amazing Spider-Man


2012年6月30日(土)「アメイジング・スパイダーマン」

THE AMAZING SPIDER-MAN・2012・米・2時間16分

日本語字幕:丸ゴシック体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(Shot on RED、3D、デジタル、RAW)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)(3D上映、IMAX版、吹替版もあり)

公式サイト
http://www.amazing-spiderman.jp/
(入ったら音に注意、全国の劇場リストもあり)

ピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)の父はオズコープ社で働く科学者。彼がまだ幼いとき、両親はピーターをベン(マーティン・シーン)とメイ(サリー・フィールド)の伯父夫婦に預けると、慌てた様子で出ていったきり戻らなかった。伯父夫婦に育てられ高校生になったピーターは、写真好きの内気な青年になっていた。ある日、地下室で父のブリーフ・ケースを発見し、中を調べると、隠しポケットにオズコープ社の同僚カート・コナーズ博士(リス・エヴァンス)と父が一緒に写った写真や、00崩壊式が書かれたスクラップブックなどが出てくる。興味を持ったヒーターはオズコープ社の見学ツアーに紛れ込み、関係者以外立ち入り禁止のバイオケーブル研究所内でクモの糸を生み出している蜘蛛に刺されてしまう。すぐにピーターに変化が表れ、五感が鋭くなり、筋力も大幅にアップする。そして、ピーターがトカゲと異種間遺伝子交換の研究をするコナーズ博士に、00崩壊式を教えると、コナーズ博士は自分を実験台に人体実験をおこなうが……。

72点

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 IMDbでは7.7点という考えられない高得点。しかし、ボクは合わなかった。つじつまの合わない細かな点が気になって、映画に入り込めなかった。なんで、前作からこんなに早くリメイクしたのか。考えてみると、映画会社はまだまだ続編で稼げるものを終わりにされ、主人公の年齢的な問題もあって、若返らせるとともに新シリーズとしてリスタートさせたかったということなんだろう。しかし、時間が経っていない場合、よほど視点が違うとか、印象の違うものにしてくれないと意味がないのではないだろうか。

 主人公のアンドリュー・ガーフィールドはさわやか系で、どうにかがんばっているが、ヒーローと普通の生活の間のギャップで悩んだり、そこに恋愛がからんできて……ほとんど前作と同じではないか。リアルにしようという姿勢は評価できるが、結局はコミックスの雰囲気を活かしているのか、漫画的な表現もあり、サム・ライミ版(2002〜2007年、全3作)とたいして変わらない。むしろ、敵となるモンスターが中途半端な印象で、地味。顔だけ人間みたいなトカゲ人間って……。アクション・シーンなんて、ほとんどCGなんじゃないかという気がして、凄いアクロバティックなのに、感動も驚きもない。

 手首からクモの糸が出ることに関しても、新解釈としてオズコープ社が開発したクモの糸を腕時計のような装置の中に一杯詰め込んで撃ち出すように、ピーター・パーカー自身が作ったことになっている。しかし、この程度の説明じゃ、手首から直接出るのとあまり変わらない。スーツも自分で作ったことになっているが、こんなにカッコ良くつくれるか? しかもミシンさえ使わない手縫いで!? ダメだ、付いて行けない。

 3Dもほとんど立体感はなく、パンフォーカスも少ないのでオマケ的な印象。あえて3D上映を選ぶ必要もないだろう。暗くなるし、メガネはじゃまだし、2Dで充分。

 ピーター・パーカーを演じたアンドリュー・ガーフィールドは、ロバート・レッドフォードの「大いなる陰謀」(Lions for Lambs・2007・米)で生意気な学生を演じていた人。最近では「ソーシャル・ネットワーク」(The Social Network・2010・米)に裕福な家庭の息子で出資者となる役で出ていた。本作も普通じゃない学生役で、そういう点では向いていたのだろう。あまりヒーロー向きではない気もするが。

 ヒロイン、グウェン・ステイシーは前シリーズでキルステン・ダンスト演じたメリー・ジェーン・ワトソンとはどういう関係になるのだろう。演じたのはエマ・ストーン。あの面白かったゾンビ映画「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)で、詐欺師姉妹のウィチタを演じていた人。

 驚きはベン伯父さんがマーティン・シーンで、メイ伯母さんがサリー・フィールドだったこと。マーティン・シーンと言えば「地獄の黙示録」(Apocalypse Now・1979・米)のウィラード大佐だもんなあ。最近スパイ・サスペンスの「顔のないスパイ」(The Double・2011・米)に出ていた。一方サリー・フィールドも大ベテランで、「トランザム7000」(Smokey and the Bandit・1977・米)や「グレートスタントマン」(Hooper・1978・米)などバート・レイノルズ作品で活躍。最近はTVが多かったようだが、「キューティ・ブロンド/ハッピーMAX」(Legally Blonde 2: Red, White & Blonde・2003・米)に議員役で出ていた。

 モンスターとなるコナーズ博士はリス・エヴァンス。キアヌ・リーヴスの痛快スポーツ・コメディの「リプレイスメント」(The Replacements・2000・米)でスモーカーのサッカー選手を演じていた人。「Jの悲劇」(Enduring Love・2004・英)では偏執的な恐ろしい男を演じていた。こういう役は向いているのかも。

 脚本はジェームズ・ヴァンダービルト、アルヴィン・サージェント、スティーヴ・クローヴスの3人。ジェームズ・ヴァンダービルトは面白かったミステリー「閉ざされた森」(Basic・2003・米/独)や痛快アクション「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」(The Rundown・2003・米)の脚本を手掛けた人。最近はイマイチといった感じだったが、新作が4本も控えているらしい。

 アルヴィン・サージェントは傑作「ペーパー・ムーン」(Paper Moon・1973・米)や、アカデミー脚色賞を受賞した「ジュリア」(Julia・1977・米)、2度目のオスカーを手にした「普通の人々」(Ordinary People・1980・米)の脚本も手掛けている。しかも前シリーズの「スパイダーマン2」(Spider-Man 2・2004・米)と「スパイダーマン3」(Spider-Man 3・2007・米)も書いている。

 スティーヴ・クローヴスは大ヒット・シリーズ「ハリー・ポッターと賢者の石」(Harry Potter and the Socerer's Stone・2001・米/英)の第1作から全7作のすべての脚本を手掛けた人。本作のあとハリウッド版の「Akira」を手掛けるらしい。

 監督はマーク・ウェブ。ビデオ・ドキュメンタリーから「(500)日のサマー」((500)Days of Summer・2009・米)で劇場長編映画、監督デビュー。日本ではアート系の限定公開だったが、これで高い評価を得て本作につながったらしい。エンターテインメント大作に向いた人だったのか、IMDbでの評価は高いので、アメリカでは受けたということなのだろうが……。

 公開初日の初回、といっても一部で先行公開があったが、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保。10分前くらいに開場。観客層は小学生くらいから中高年まで幅広かったが、目立っていたのは20代くらいの若い層。これは意外。男女比はほぼ半々くらいだった。最終的には607席に4割くらいの入り。話題作の割には少ないが、先行公開があったからだろうか。

 下品なマナー広告に続いて始まった予告編で気になったのは……上下マスクの「エクスペンダブルズ2」は新予告。ちょっと内容がわかるものになってきた。面白そうだが、スタローンもシュワちゃんも、NRAから銃嫌いハリウッド・セレブ8人にリストされているからなあ……。ちょっと興ざめ。10/20公開。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってから、なんとあのテーマ曲を使わずに「007/スカイフォール」の予告。珍しい。今度は絵作りが凄い。カッコいい絵の連続。えっ、レイフ・ファインズ? 内容はまだ不明だが、いままでの007映画とは違う感じがした。銃はPPKだったけど。12/1公開。

 たぶんシネスコでは初予告となる「トータル・リコール」。大きいスクリーンだと迫力が違う。公式サイトには「リコール社日本支社長:高田純次」とあったが、必要ある? それとも今度の「トータル……」はコメディなのか? 本格SFアクションじゃないの? お金の使い方、間違っていないかなあ。何でも目立てばいいということか。

 「スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン」はなぜ日本で作ることになったのか。そして、どうもセリフと3D-CG画面がかい離して見えるのと、シリーズは「1」以外どんどんスケールが縮小して悲惨なものになっているというのに、その続編って……。

 3Dメガネを掛けるように指示があってから「バイオハザードV」の予告。これまでの登場キャラクターが総出演する感じ。おもしろそうだが、一体どんな展開になるのだろう。9/14公開。


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