Brave Hearts


2012年7月15日(日)「BRAVE HEARTS 海猿」

2012・フジテレビジョン/ROBOT/ポニーキャニオン/東宝/小学館/エー・チーム/FNS27社・1時間56分

シネスコ・サイズ(Arri)/ドルビー・デジタル

(一部字幕上映もあり)

公式サイト
http://www.umizaru.jp/index.html
(全国の劇場リストもあり)

仙崎大輔(伊藤英明)は、第10管区の隊長の話を断り、全国どこでも救難に向かう海難救助のエキスパートだけからなる「特殊救難隊」に、バディの吉岡(佐藤隆太)と共に採用され、横浜に住居を移していた。仙崎の妻、環菜(加藤あい)のお腹には2人目の赤ちゃんがおり、吉岡と、その彼女のキャビン・アテンダント矢部美香(仲里依紗)とともに結婚5周年のお祝いをする。そんなとき、大阪湾でシケのためタンカーとコンテナ船が衝突する事故が発生。コンテナ船のコンテナの1つからトルエンが流れ出し、爆発の危険があるということで、「特救隊」が出動することになる。ところが、後わずかのところで、最後の1人を助けることができない。要救護者を全員救うことが信条の仙崎は激しく落ち込む。そこへ今度は、シドニーから日本へ向っていたジャンボ機が羽田沖でエンジン・トラブルにより、エンジンを2基失ったうえ、主脚が出ないという事態に。仙崎の提案で、東京湾に着水させることになるが、そのジャンボにはCAとして矢部美香も乗務していた。

75点

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 来た。良くできた感動ストーリー。それも、それを語るのではなく、絵で見せていく。特に、救出に協力しようと各機関が団結し、さらには民間までもがどんどん集結するさまは本当に感動的。あやうく涙がこぼれそうになった。そして人のために命をかけて戦う男たち、そしてキャビン・アテンダントとしての女性たちの姿、責任感や情熱が良く伝わってくる。

 驚くことに、給料は高くないという。これは世界的にも共通らしい。海上保安官だけでなく警察官も消防士も似たようなもの。ようするにお金が目当てでこの職業に就くようではダメだということなんだろう。しかし、使命感とか崇高な精神とか自己犠牲とかを考えると、国会議員などという人々は経費も多いし、給料をもらい過ぎなんじゃないか……。そんなことを、つい思ってしまった。

 事故の場面や、緊急出動、対策本部の群像劇、そしてメインの救出シーンはいずれも秀逸。素晴らしいスピード感と緊張感。そして高揚感。スケールも大きく、迫力もあってリアル。若干、コンテナ船のコンテナ落下の水しぶきと、ジャンボの着水の水しぶきがデジタルっぽ過ぎた気はするが、それ以外はCGのレベルも高く、まるで現場で撮影したかのようなリアルさ。素晴らしい。日本のレベルも上がったんだなあと再認識できる。スケールも実に大きい。細かな部分までリアルだったのかは、ちょっとわからないが。

 ただ、普通のシーンというか、ドラマ・シーンというか、食事の場面やデート場面、隊内でふざけあってるシーン、ギャグを盛り込んだ男2人の全裸シャワー・シーンなどが残念。わざとらしくリアリティがなく、伝わってこなかった。惜しい。

 主要メンバーは前作から続投。仙崎の伊藤英明、吉岡の佐藤隆太、環菜の加藤あい、救難課長の時任三郎、第五管区の服部が三浦翔平といった面々。

 新たに登場するのは、吉岡の恋人のキャビン・アテンダントに仲里依紗、ジャンボ機パイロットに平山浩行、国土交通省の管理官に矢島健一、東京国際空港の空港長に螢雪次朗といった人たち。

 脚本は福田靖。劇場版の「海猿」全シリーズ、TV版「海猿」、そしてNHKの大河ドラマ「龍馬伝」(2010)、TV版と劇場版の「HERO」(2006・2007)、映画では「容疑者Xの献身」(2008・日)、「20世紀少年」(2008・日)などを手掛けている。古くは「催眠」(1999・日)や「陰陽師」(2001・日)も手掛けている。「20世紀」はともかく、感動作を作るのがうまい人だと思う。

 監督は大人気シリーズ「踊る大捜査線THE MOVIE」(1998・日)などの助監督から、TVの演出を経て、シリーズ第1作の「海猿ウミザル」(2004・日)で劇場作品監督デビュー。瑛太のスキー映画「銀色のシーズン」(2007・日)、綾瀬はるかの「おっぱいバレー」(2008・日)、アクション「ワイルド7」(2011・日)なども手掛けているが、「海猿」以外はどうなんだろう。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。15分前ほどに開場。下は小学校の低学年くらいから、中高年までと幅広い。男女比はほぼ半々。最終的には301席の8割くらいが埋まった。さすが話題作。結構グシュグシュやっていた人もいた。さすがの横綱相撲という感じ。でも、なぜこの作品が2番スクリーンで、最大の1番スクリーンが「ヘルター・スケルター」なんだろ?

 気になった予告編は……上下マスク「のぼうの城」は、でくのぼうの「のぼう」らしい。2万vs500人というのが、「300」のパクリみたいでちょっと不安だが、予告は面白そう。11/2公開。

 アニメ「おおかみこどもの雨と雪」は新予告に。絵がかなり立体的でリアル。7/21公開。

 スクリーンが左右に広がって「踊る大捜査線THE FINAL新たなる希望」の新予告。あのテーマ曲を聴くとアガる。9/7公開。

 遅れて入って来て、ケータイを懐中電灯代わりか。まったく情けない。


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