Brave


2012年7月21日(土)「メリダとおそろしの森」

BRAVE・2012・米・1時間40分(米版は93分)

日本語字幕:手描き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(2.35、デジタル)/ドルビー・デジタル7.1ch、(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS)

(米PG指定)(3D上映、日本語吹替版もあり)

同時上映・短編「トイ・ストーリー」

SMALL FRY・2011・米・7分
日本語字幕:手描き風書体下/シネスコ・サイズ(デジタル、1.85)

同時上映・短編「ラ・ルーナ」

LA LUNA・2011・米・7分
日本語字幕:手描き風書体下/シネスコ・サイズ(デジタル、1.85)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/merida/home.html
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

王家の幼い1人娘のメリダ(声:ケリー・マクドナルド)の誕生日、母のエリノア王妃(声:エマ・トンプソン)は娘をりっぱな王女にするため厳しく女らしく育てようとしていたが、父のファーガス王(声:ビリー・コノリー)は豪放磊落な人物で、弓をプレゼントする。やがて、三つ子の弟たちが出来、年ごろになったとき、ファーガス王と共にこの王国を打ち立てた3人の領主が、第一子を連れて現れ、メリダの結婚相手を決めろと迫る。まだ結婚する気が全くないメリダは、弓で勝負して買ったらという条件を出し、3人をことごとく打ち破る。恥をかかされた諸侯とあわや戦争という状態に。母と喧嘩したメリダは馬で森に入り、鬼火に導かれるように巨石列柱のあるところへ迷い込む。その先に魔女の住む小屋があり、木の彫刻をすべて買う代わりに、母の運命を変えて、自分の運命を変えたいと言う。魔女は特製のケーキを作り、これを食べさせろという。ただし、2日目の夜が明けると魔法は解けなくなるとと。城に戻ったメリダは母にケーキを食べさせると、なんと巨大な熊に変身してしまう。さらに、残りのケーキを三つ子の弟たちが食べ、子グマに変身してしまう。

74点

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 素晴らしいCG。ペラペラではなくちゃんと厚みのある柔らかな布。透明感がありながら存在感がある水、リアルなしぶき。しっかりした感情表現。たとえば充分に驚かせてくれた「トイ・ストーリー」(Toy Story・1995・米)のころのレベルと比べると、ものすごく進化している気がする。「トイ・ストーリー」もものすごいレベルと圧倒されたのに、あっさりとそれを凌駕している。美しい色、世界観、魅力的なキャラクター、いずれも素晴らしい。ただ3Dは必要なかったように思える。

 もちろん感動のおとぎ話なのだが、どこか普通の印象。よくあるおとぎ話のパターンで、展開に驚きはない。わがままなお姫さま、厳しい親、魔法使い、3人の求婚者…… 「どうなるんだ?」ではなく「こうなるだろう」という展開。しかも、娘の気持ちをわかろうとしない母親と、ただ反発する年ごろの娘と、何も出来ない父親という、決まり切った設定。

 女性が主人公のCGアニメというのは、ディズニーでは「塔の上のラプンツェル」(Tangled・2010・米)や「プリンセスと魔法のキス」(The Princess and the Frog・2009・米)、「ムーラン」(Mulan・1998・米)、「美女と野獣」(Beauty and the Beast・1991・米)など、実にたくさん。セル・アニメだったらさらに「白雪姫」(Snow White and the Seven Dwarfs・1937・米)や「眠れる森の美女」(Sleeping Beauty・1959・米)、「リトル・マーメード/人魚姫」(The Little Mermaid・1989・米)、「シンデレラ」(Cinderella・1950・米)、「不思議の国のアリス」(Alice in Wonderland・1951・米)なども女性が主人公で……。よけいに印象が薄い。

 どうも、予告とは内容が微妙に違うようで、森と人との契約とかは一切なかった。予告では使ってはならない魔法が使われて……ということだったが、公開版では単に森の魔女にお願いごとをして、それ時間的な条件があったというだけになっている。そして、ラストのラスト、エンド・クレジットの後で、森の魔女との約束のオチが。早く出てしまうと見られないので要注意。ボクはあれはどうなったのだろうと気になっていたのだが、ここで使ったかと。

 オリジナル英語版の声は……メリダはケリー・マクドナルド。ショッキングな殺し屋映画「ノーカントリー」(No Country for Old Men・2007・米)や、最近だと「ハリー・ポッターと死の秘宝PART 2」(Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 2・2011・米/英)に出ていた人。

 母のエリノア王妃はエマ・トンプソン。「ハワーズ・エンド」(Howards End・1992・)でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、それ以降も何回もノミネートされている演技派。最近では「メン・イン・ブラック3」(Men in Black 3・2012・米)や「ハリー・ポッターと死の秘宝PART 2」に出ている。

 父のファーガス王はビリー・コノリー。トム・クルーズの「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米)で、トム・クルーズの部下を演じていた人。アクションの「処刑人II」(The Boondock Saints II: All Saints Day・2009・米)では、伝説の殺し屋を演じていた。

 森の魔女はジュリー・ウォルターズ。「ハリー・ポッターと死の秘宝PART 2」ではシリーズでずっとウィーズリー夫人を演じていた人。アバの曲を使ったミュージカル「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia !・2008・米/英/独)では、伯母さん3人組の1人を演じていた。

 ディンウォール卿はロビー・コルトレーン。「ハリー・ポッターと死の秘宝PART 2」ではシリーズでずっとハグリッドを演じていた人。ほかに印象的だったのは「007/ゴールデンアイ」(Goldeneye・1995・英/米)と「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(The World Is Not Enough・1999・英/米)のロシアのエージェント役。

 ストーリー(原案)と脚本は、共同監督の1人でもあるブレンダ・チャップマン。これまた王国の跡目をめぐる争いだった「プリンス・オブ・エジプト」(The Prince of Egypt・1998・米)の監督を務めた人だ。原案としては「美女と野獣」(Beauty and the Beast・1991・米)や「ライオン・キング」(The Lion King・1994・米)、「ファンタジア2000」(Fantasia/2000・1999・米)も手掛けている。

 脚本はほかに、共同監督のマイク・アンドリュース、スティーヴ・パーセル、アイリーン・メッキと3人いる。マイク・アンドリュースは短編で何本か監督をしているが、長編は初めて。脚本としてはちょっと残念なSF「ジョン・カーター」(John Carter・2012・米)を書いている。ほかにはストーリーボード・アーティストとして感動アニメ「アイアン・ジャイアント」(The Iron Giant・1999・米)やサム・ライミ版の「スパイダーマン」(Spider-Man・2002・米)などに関わっている。

 スティーヴ・パーセルはビデオ・ゲームのクリエーターで、1990年代から「Sam and Max Hit the Road」シリーズをずっと手掛けている。「カーズ」(Cars・2006・米)では声優も務めたらしい。本作ではカラスの声を担当している。アイリーン・メッキは脚本で「ライオン・キング」のほか、ちょっと印象の薄い「ノートルダムの鐘」(The Hunchback of Notre・1996・米)や「ヘラクレス」(Hercules・1997・米)などを手掛けている。

 公開初日の初回、字幕版を探したら上映している劇場が少なく、見つけるのに苦労した。子供向けがメインということか。子供は上映中うるさいので、字幕版にしたかったのだ。そしてアニメなので3D上映が効果的かと思って3D上映を選んだが、特に3Dである必要は認められなかったし、効果も薄かった。

 六本木の劇場は全席指定で、通常の前売り券だったので金曜に劇場ヘ行って予約。なんと人による受付は2列のみで、当日購入はすべて自動機になっていた。ムビチケなら自宅のパソコンから座席の予約が可能だ。

 12〜13分前に開場。字幕板だから子供は少ないだろうと思っていたら、下は幼稚園児くらい(ただ外国の人)から、少ないが中高年までいた。日本人は小学生低学年くらいのファミリー結構多くいたが、字幕が読めるんだろうか。メインは20代くらいのカップルか。男女比はほぼ半々くらい。最終的には164席がほぼすべて埋まった。

 気になった予告編は……明るいまま始まった最新情報の「リンカーン/秘密の書」や「ロラックスおじさんの秘密の種」は良く見えなかった。新しくて明るい設備でもこうなのだから、古い劇場は暗くしてやって欲しい。もちろん新しい劇場でも。劇場は暗くして上映するのが基本。

 やや、暗くなって本格的な予告に。日本映画の「ツナグ」は死者と話ができる青年の話らしい。ちょっと日本っぽい湿った感じがしたが。10/6公開。

 「アナザー」は日本らしい学校が舞台のホラー。結構、怖そう。8/4公開。

 上下マスク「最強のふたり」は全身マヒの大富豪の気難しい男と、スラム街育ちのいい加減な青年の物語らしい。スラム街の男が大富豪の世話係になるようだ。おもしろそうだが……。9/1公開。

 3D上映になってから「アベンジャーズ」の予告。まだ完全に暗くなっていない。3Dはメガネを掛けただけで暗くなるので辛い。しかも予告はカットが早くて3Dを認識しているヒマがない。メインのものがフレームで裁ち落とされている場合もあり、立体感はほとんどなかった。「日本よ、これが映画だ」なんて言われてもなあ。逆効果でなければいいけど。これだけで、かなりハードルが上がった。8/17公開。

 リアル3Dのデモの後に……単価が上がるからか、3D上映が増えているようで、劇場限定公開で、古い「ファインディング・ニモ3D」9/15、そしてモノクロの「フランケンウィニー」12/15、「モンスターズ・インク3D」が2013年夏に、公開されると。うむむ。

 予告の後、ようやく暗くなって、本編かと思ったら「海賊版」の警告があって、それから本編へ。


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