Colombiana


2012年9月2日(日)「コロンビアーナ」

COLOMBIANA・2011・仏・1時間48分(IMDbでは111分版もあり)

日本語字幕:丸ゴシック体下、岸田恵子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Arri)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(仏U指定、米PG-13指定、日PG12指定)

公式サイト
http://colombiana.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1992年、コロンビア。マフィアのボスのドン・ルイス(ベト・ベニテス)は重要なデータを握っている幹部のファビオ(ジェス・ボレッゴ)の殺害を、右腕のマルコ(ジョルディ・モリャ)に命じる。それを察知したファビオはデータをメモリー・カードに入れ1人娘のカトレア(アノンドラ・ステンバーグ)に渡し、自分たちに何かあった時はこれを持ってアメリカ大使館へ行けと教える。さらに、シカゴの親戚を訪ねろとメモを渡す。その直後、ファビオと妻はマルコに殺されるが、カトレアはマルコの手をナイフで刺すと逃走、そのままアメリカ大使館へ駆け込む。アメリカに渡ったカトレアは、職員の隙をついて逃走、シカゴの親戚エミリオ(クリフ・カーティス)のもとにたどり着くと、自分を殺し屋にしてくれと頼む。

72点

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 うーん、普通に面白いアクションだが、あまり感情が伝わってこない。設定はどこかで聞いたようなものばかり。受けるアクションの要素を詰め込んだだけのような、ちっともハラハラドキドキしない、安心して見られるアクション。ラストは落ち着くべきところへ落ち着く。たぶん他の人が書いた脚本なら映画化されないのだろうが、リュック・ベッソンという名前があるから映画になるのでは、とまで思ってしまう。

 もし、9歳くらいの女の子が最後まで主人公で、激しいアクションを繰り広げるのなら、「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)のようで面白かったかもしれない。ちょっと9歳のアクションを長めに取っていたところは買えるが、結局は「15年後」などと出て大人の女になって、美女として登場する。後半の女殺し屋ものは、なかなかのアクションだったが良くあるパターン。

 まあ、殺し屋として育てられた少女というのなら「ハンナ」(Hanna・2011・米/英/独)がある。こちらも少女が大人と戦って見せている。本作はハリウッドB級スタイル。プロの殺し屋として育てられ、復讐を果たす。しかし殺された両親というのも結局は組織の人間っぽいし、犯罪者なのでは。となると、あまり同情できない。内輪もめではないか。さらに、自分の復讐のため親戚の家族まで巻き込み、最悪の結末を迎える。自業自得。しかも途中でやめるチャンスがありながら、そうしない。

 途中で突然、恋人らしい絵描きの二枚目が現れ、ベッド・シーンがあって、「愛」っぽいものが語られる。唐突過ぎてついていけない。ここは出会いからじっくり描いてくれないと、二人の間の絆みたいなものは伝わってこない。ただエッチ・シーンをやりたかっただけではないかと。

 そしてFBIは追ってくる敵で、CIAは悪と手を組む悪者、というありがちな設定。安直じゃないかなあ。まあベッソン印だけど。

 主演の女殺し屋カトレアはゾーイ・サルダナ。「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Peal・2003・米)で女海賊の船長を演じていたようだが、目立つち始めるのは時間巻き戻し群像アクション「バンテージ・ポイント」(Vantage Point・2008・米)のTVリポーター役あたりからか。たぶん映画としてはシリーズ中最も良かった「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)のウフーラ役を経て、一番知られるようになったのはジェイムズ・キャメロンの世界的ヒット作「アバター」(Avatar・2009・米/英)のヒロイン、ネイティリ役。使っていた銃はベレッタ90TWO、Px4、そしてグロックに、スナイパー・ライフルのブレイザーR93のたぶん.338ラプーア・マグナム口径。ただ57mm弾も防ぐという窓ガラス(そんな戦車みたいなガラスがあるのか?)を易々と貫通してしまうのはどうなのか。銃が凄いのか、ガラスが弱いのか、よくわからない設定だったが、彼女が持つととてつもなく大きく見えた。本作はノーブラでがんばっていた。

 親戚の伯父さんエミリオはクリフ・カーティス。シュワルツェネッガーの「コラテラル・ダメージ」(Collateral Damage・2002・米)で敵役を演じていた人。「ダイ・ハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米/英)では一転してFBIのボスを演じていた。使っていた銃はS&WのM629のカスタム。しかし、行きなり町中でぶっ放すって、ありえなさすぎ。

 敵のボスの右腕のようなマルコはジョルディ・モリャ。ドラッグ・ディーラーの男を描いた「ブロウ」(Blow・2001・米)で、クリフ・カーティスと共演している。最近では「ナイト&デイ」(Knight and Day・2010・米)に出ていた。だいたい悪役が多い人。使っていた銃はベレッタのM92FSと90TWO。

 FBIの捜査官ジェイムズ・ロスはレニー・ジェイムズ。ラッセル・クロウの「スリーデイズ」(The Next Three Days・2010・米/仏)でも刑事の偉い人を演じていた。

 9歳のカトレアを演じたのはアマンドラ・ステンバーグ。4歳からモデルをやっているらしい。本作が映画デビュー作。これから公開される「ハンガー・ゲーム」や「ロックアウト」にも出ているらしい。これからが楽しみ。

 脚本は、製作も兼ねるリュック・ベッソンとロバート・マーク・ケイメンの2人。リュック・ベッソンは監督としても、プロデューサーとしても映画界への貢献度は大きいが、どうしても2000年代に入ってからも手掛ける本数が減っていない分、薄くなってきた気がする。監督はもう辞めたとか宣言していたようだが、つい最近「The Lady アウンサンスーチー 引き裂かれた愛」(The Lady・2011・仏/英)を監督している。

 ロバート・マーク・ケイメンは、トム・クルーズも出ていた「タップス」(Taps・1981・米)で脚本家としてデューし、「ベストキッド」(The Karate Kid・1984・米)シリーズを書いた人。「フィフス・エレメント」(The Fifth Element・1997・仏)以降、リュック・ベッソンと組んで脚本を書いているらしい。

 監督はオリヴィエ・メガトン。TVや短編映画を撮っていたのをリュック・ベッソンに見出されて長編監督デビュー。本作の前にシリーズ第3作となる「トランスポーター3アンリミテッド」(Transporter 3・2008・仏/英/米)を撮っている。IMDbでは本作のーが6.2点、「トランスポーター3アンリミテッド」が5.9という評価だが、ボクには「トランス……」の方が良かったなあ。

 銃は他にデザート・イーグル、P226、MP5、ミニ・ウージー、UMP、M4カービン、G36C、FNC、SG552、など。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。10分前くらいに開場になって、場内に入ると若い人から中高年まで、意外と幅広い客層。男性メインで、女性は若い人が多かった。ゾーイ・サルダナのお陰か、まだリュック・ベッソンの名に力があるのか……最終的には149席に8割くらいの入り。これは多いのか少ないのか。

 気になった予告編は……ピアノの中身のワイヤーフレームCGでクラシックっぽい曲が流れ、最後のグランド・ピアノが出るという意味不明の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」は、なんなんだろう。「希望は残っているよ。どんな時にもね」って何。前作を見た人はわかるということか。この奇をてらった感じは、どうなんだろう。11/17公開。

 上下マスク「ハンガーゲーム」は新予告に。原作は全世界で5,000万部以上売れている大ヒット小説なんだとか。9/28公開。

 「白雪姫と鏡の女王」はジュリア・ロバーツ、フィル・コリンズの娘のリリー・コリンズ、ネイサン・レイン、ショーン・ビーンという豪華な顔ぶれで、監督がターセム・シン。衣装はもちろん石岡瑛子。鮮やかな色使いと、ファンタジーらしい世界観。しかもコミカルな味付けらしく、楽しそう。まさにおとぎ話の世界。「スノーホワイト」とは真逆の方向か。9/14公開。

 上下マスクの「ハーバー・クライシス」は台湾のアクション満載の刑事ドラマらしい。ヒロインがまたかわいくて、アンジェラベイビーというらしい。見たいけど前売りが無くて……9/8公開。

 上下マスクの「デンジャラス・ラン」は、デンゼル・ワシントンが悪役を演じるらしいアクション。新予告は意外とアクション満載の模様。9/7公開。

 スクリーンが上下に狭まって、シネスコ・サイズになって、海賊版撲滅の後、暗くなって本編へ。


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