Safe House


2012年9月8日(土)「デンジャラス・ラン」

SAFE HOUSE・2012・米/南ア・1時間55分

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Panavision〈IMDbではArri〉)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
http://d-run.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

南アフリカのヨハネスブルグ。マット・ウェストン(ライアン・レイノルズ)が管理人を務めるCIAのあるセーフ・ハウスに、CIAの尋問チーム7-Rとともにある男が運び込まれる。彼の名はトビン・フロスト(デンゼル・ワシントン)。かつてはCIAの腕利きの工作員だったが、9年間CIAの情報を売っていて10年前にCIAと決別、人の心を操る名人で、最も危険な裏切り者と呼ばれていた。その彼が、イギリスのMI6のエージェント、アレック・ウェード(リーアム・カニンガム)からある情報が収められた電子チップを受け取ったとたん、重武装した謎の集団に強襲され、しかたなくアメリカ領事館へ逃げ込んだためだった。そして、セーフ・ハウスで尋問チーム7-Rのリーダー、ダニエル・キーファー(ロバート・パトリック)が尋問を始めると、重武装の謎の集団が襲いかかってくる。激しい銃撃戦の末、マットはトビンを連れてからくも脱出するが。

74点

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 予告から想像される内容とは違ったが、アクション満載で楽しめる。セリフで説明してるだけでなかなか話が進まないものとは全くおもむきを異にする。といとって荒唐無稽では無く、ありそうな話で怖い。ただ、CIAはいつも悪者というワン・パーターンはどうなんだろう。この辺は「ジェイソン・ボーン」のシリーズと同じ。人の心を操る名人、という部分は映画本編とはほとんど関係ない。

 ただ、シネスコにしておきながら、このカメラのゆらゆらはダメだろう。手持ちの生々しさを出したかったのだろうが、短いカット、ズームが多いこともあって、酔いそうになる。目が回るし落ち着かない。これがやりたいんだったら、ビスタでやれ。もしくはスタンダードで。この監督は、特にシネスコの経験があまりないのでは?

 アクションの生々しさというか、危ない感じは、良く出ていた。これはカメラを動かし、短いカットを重ねたお陰かもしれない。しかし、ここぞというところで使えばいいのであって、他のシーンまで使うことはないはず。その辺のバランスが残念。でも、アクションはいい。そして、南アフリカという場所や、フィルムの独特の感じ、ちょっとコントラストが強めで、気温の高さが伝わってきそうな、危ないような雰囲気は見事。

 トビン・フロストを演じるデンゼル・ワシントンは、製作総指揮も兼ねていて、最初印象を悪くするためなのか、髪も長めで、ヒゲも生やしている。「サブウェイ123激突」(The Taking of Pelham 123・2009・米/英)や「アンストッパブル」(Unstoppable・2010・米)のレールものは今ひとつで、最後に良かったのは「デジャヴ」(Deja Vu・2006・米/英)や「インサイド・マン」(Inside Man・2006・米)というところ。冒頭のMI6との取引後レストランで発砲する銃は、レアなシュタイアのM9A1。そしてM92も使う。

 マット・ウェストンはライアン・レイノルズ。つい最近、残念なコミックの映画化「グリーン・ランタン」(Green Lantern・2011・米)に出ていた。良かったのは「ブレイド3」(Blade 3・2004・米)と「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」(Smokin' Aces・2006・英/仏/米)か。良い男なのに作品に恵まれないという感じか。使っていたのは、スクリーではありま見かけないSIG Pro 2022。

 マットのCIAの上司デビッド・バーローはブレンダン・グリーソン。「ハリー・ポッター」シリーズでヘンテコな目のアラスター・マッド・アイ・ムーディ先生を演じている人。戦争映画「グリーン・ゾーン」(Green Zone・2010・仏/米ほか)では、CIAのエージェントをやっていたから、本作とイメージは一緒だ。使っていたのはグロック。

 CIAのアフリカ支局長キャサリン・リンクレーターはヴェラ・ファーミガ。「15ミニッツ」(15 Minutes・2001・米)で東欧から来た美容師を演じていた人。独特の色気のようなものがある。ポール・ウォーカーの「ワイルド・バレット」(Running Scared・2006・独/米)ではウォーカーの色っぽくて気丈な奥さんを演じていた。

 CIAの作戦副本部長はサム・シェパード。1970年代から活躍している人で、悪役が多いが、元は劇作家だったらしい。カンヌ映画祭でグランプリを獲得した「パリ、テキサス」(Paris, Texas・1984・西独/仏/英/米)の脚本を書いている。宇宙開発ストーリー「ライトスタッフ」(The Right Stuff・1983・米)で注目されたらしい。戦争映画「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米/英)では作戦を立案した将軍を演じていた。つい最近実話に基づいたCIAスキャンダル「フェア・ゲーム」(Fair Game・2011・米/アラブ首長国連邦)で、主人公の父親をやっていた。

 CIAの尋問チームのリーダー、ダニエル・キーファーはロバート・パトリック。「ダイ・ハード2」(Die Hard 2・1990・米)も目立っていたが、何と言っても「ターミネーター2」(Terminator 2: Judgement Day・1991・米/仏)のT-1000が強烈だった。しかし2000年代に入ってTVが増えたようで、劇場最新作は「ヤギと男と男と壁と」(The Men Who Stare at Goats・2009・米/英)あたりか。使っていた銃はM4A1カービン。

 脚本はデヴィッド・グッゲンハイム。雑誌編集者からの転身で、本作が劇場長編映画デビュー作なんだとか。他にTVムービーへの脚本も手掛けており、これから映画化される作品が何本かあるらしい。

 監督はデンマーク出身のダニエル・エスピノーザ。1977年生れというから35歳という若さ。前作の日本劇場未公開「イージーマネー」(Snabba Cash・2010・スウェーデン)がハリウッドの注目を集めたらしい。さて、次へつながるのか。

 他に登場した銃はP226、トカレフTT-33、シュタイアーM9A1、H&K UMP、ウージー、M4ショート・モデル、AK47など。

 公開2日目の初回、六本木の劇場は全席指定で、ムビチケでオンラインで金曜深夜、日付が変わってから確保。当日は10分前くらいに開場。ほぼ中高年で、女性は1/3くらいで、若い子は2〜3人。最終的には148席に8割くらいの入り。これは多いのか少ないのか。ただ、作品の出来から言ったら、もっと大きい小屋が良いのではないかと。この入りだとつり合わないが……。

 気になった予告編は……明るいまま開場と同時に始まったらしいTOHOニュースで(途中から見ることになったが)J.J.エイブラムス本人がビデオで「スタートレック2」のことを語っていたが、映像はなし。ただ場内販売があって、その声がニュースの音と被るという、これは何?

 驚いたのは「終の信託」。とても新作とは思えない昭和の時代を感じさせるような画質。内容が暗いから、わざとこの画質にしているのか。10/26公開。そう言えばつい先日、フジフィルムが国内の映画撮影用と上映用フィルムの製造を2013年3月で終了するという発表があったばかり。うむむ。10/27公開。

 「レ・ミゼラブル」は、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライドとキャストは超豪華。でも何回か映画化されてるからなあ。リーアム・ニーソンも1998年にやってるし。まあミュージカルの舞台の映画化ということなんだろうけど……。12/22公開。

 「シルク・ドゥ・ソレイユ3D彼方からの物語」はドキュメンタリーかと思ったら、違うらしい。ジェームズ・キャメロンが製作を担当するんだとか。一体どんなものになるのか。11/9公開。

 ドキュメンタリーの「JAPAN IN A DAY」はリドリー・スコットが手掛けた世界中の3.11を描くものだとか。予告だけでヤバい。11/3公開。

 ナチの残党が月にいて、そこから地球に攻めてくるというトンデモな上下マスク「アイアン・スカイ」は、思ったよりちゃんとした作りのよう。面白いかも。9/28公開。

 スティーブン・ソダーバーグの女スパイ・アクション上下マスクの「エージェント・マロリー」は、かなりのアクションのよう。9/28公開。

 上下マスクの「ボーン・レガシー」は長い新予告。とにかくアクションが凄い。9/28公開。


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