Odoru Dai-Sousasen


2012年9月9日(日)「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」

2012・フジテレビジョン/アイ・エヌ・ビー・2時間06分

シネスコ・サイズ(デジタル、RED Camera)/ドルビー・デジタル



公式サイト
http://www.odoru.com/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

12月21日、湾岸警察署(WPS)管内の日本科学未来館で開催中の国際環境エネルギーサミット会場から関係者の男性が拳銃を持った男に拉致される事件が発生。すぐに本庁が乗り込んできて、捜査本部がWPS内に設けられる。管理官は鳥飼警視(小栗旬)。しかし、間もなく連れ去られた男の射殺体が発見される。弾丸が回収されたにも関わらず、捜査会議で鳥飼は銃の種類は不明と発表。しかも上の命令で、所轄を排除して、本庁職員のみで捜査をするという。そして、係長の青島警部(織田裕二)に、まったく関係なさそうな男の写真を渡し、見つけて逮捕しろと命じる。

74点

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 前作から2年、4度おなじみのメンバーが集まって、安心して見られるファミリー的警察ドラマが展開する。ありえない展開のギャグためのアバン・タイトルがあって、カッコいい曲とともにタイトルが出てオープニングが始まる。待ってましたの面白さで、観客・ファンを決して裏切らない。安定した面白さ。とくに今回は、事件の展開が結構緊迫していて、緊張感がある。ちゃんと笑わせ、ハラハラドキドキで、感動させて、さわやかに締める。青島を中心とした湾岸署群像劇。

 今回は不必要そうなサイド・ストーリーを極力減らし、1本の柱の事件に関わる小さなエピソードをちりばめている。あえて別ストーリーといえば、すみれさんが警察をやめようとするというエピソードくらいだろう。あとはすべて本筋に関わってくるお話。

 悪い奴らは、ほとんど犯人よりも憎たらしく、しかも警察内部にいる。この憎たらしさ、ふてぶてしさが、なかなか良い。そして事件を起こした動機も納得でき、しかも同情できる。ただ、毎回思うが、青島が演説をぶつと、いつも内容がないというか、わかりにくくて何を言っているのか理解困難。せっかく最後のもり上がりでも、雰囲気を壊してしまう感じ。なぜなんだろう。

 そしてエンディングは、事件が解決してもすぐに終わらず、長い。ただ、ラストの織田裕二の歌は拍手したくなるタイミングの良さと、希望を感じさせるもので、実に良い感じだけど。

 出演者はほぼすべて前作からの続投。「2」の出演者や、TV・SP版の出演者も総出演という感じ。ただ、そりゃ15年もやっているといろいろあるようで、出演できなくなった人がいるとかいないとか、出演者同士の不仲説が流れたり、素晴らしいテーマ曲(日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞)に黒い噂が出たり、いかりや長介と小林すすむの2人が亡くなったり。新しい出演者は、だいたい犯人。今回の犯人は香取慎吾。

 脚本はTVシリーズからもTVスペシャル、映画版、スピンオフ版、すべて君塚良一。これは凄い。普通、TV版などは何人か交代で書いたりするものだが、ずっと1人で担当しているとは。だからすべてがつながっていて、首尾一貫しているということはあるのだろう。ただ、1つ不思議なのは、TV版の演出は映画版の監督でもある本広克行のほか、澤田鎌作も担当しているのに、「秋の犯罪撲滅スペシャル」(1998)以外担当していないこと。なぜなんだろう。

 澤田鎌作は「踊る……」のあと「HERO」(2001)、「西遊記」(2006)、「ガリレオ」(2007)のフジテレビのドラマを手掛け、劇場版「西遊記」(2006・日)も手掛けている。個人的には「西遊記」は?だが、そこで深津絵里と香取慎吾と仕事をしている。

 登場する銃は、トカレフTT-33。担当したのはパイロテック。ヘリや突っ込むバスはどうもCGっぽかったが……。エンド・クレジットにレイバンとあったのは、目にけがをしてずっとサングラスをしていた管理官の鳥飼を演じた小栗旬が掛けていたあれだろうか。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。12〜13分前に開場し、観客層は幼稚園くらいの小さな子から、中高年まで幅広く、男女比は4.5対5.5くらいで女性の方がやや多かった。最終的には607席ほぼすべて満席。さすがは話題作。

 気になった予告編は……上下マスクの「のぼうの城」は新しい長いバージョン。実話なんだとか。面白そう。11/2公開。

 スクリーンが左右に広がってから、草なぎ剛の「任侠ヘルパー」。バイオレンスというか、乱暴な言葉満載で、粗暴な感じだが、泣けそう。11/17公開。


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